2005年07月13日

1999年9月 ホームステイの非常識!

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ホームステイの非常識!

 

非常識第2弾、英語学校に続いて今回はホームステイ。自分が真実と思ってるホームステイの実態は如何に?

 

  

あこがれのホームステイ、親切なニュージーランド人家庭の中でホストファザーやホストマザーが優しく接してくれて、小さな子供たちと英語の勉強をする、そして私の英会話能力はどんどん上達していく。これは桃色の夢!そう考えている人は多いだろう。

 

しかし現実はそんなに甘くない。仕事に忙しいご主人とは話す機会もなく、子供の育児に忙しいおかあさんは相手にもしてくれない。

 

仕方ないから生意気なまでに英語の上手な子供に話し掛けても、彼らは発音の違いを理由に一切反応してくれない。夜は8時に寝かされてしまい、テレビも見られない。

 

朝起きてみると、食パン1枚だけが朝ご飯代りにテーブルにのってる。食パンは君に話し掛けてはこない。

 

週末は家族みんなでどこかに遊びに行ってしまい、私はついに鍵っ子ホームステイ。あげくの果てには当初の条件と違って、土曜の昼ご飯が付いてないとか、フラット代金を受取ってないからもう一度払えとか、「これがあこがれのホームステイかー!」とびっくりして飛び出すワーホリのみなさんもいる程だ。

 

勿論そんな家庭は少数であり、自分自身の経験から言っても、そういう人たちを一般的なニュージーランド人とは言いがたい。しかし少数であれ、存在することは事実なのである。これも結局、オークランドなど都会の場合はお金目当てのホストファミリーが存在するからだ。田舎は良い。人の性格が違う。

 

しかしオークランドは家の値段が高く他の街の2倍はかかる。子供を抱えている若いカップルが何とか家を買っても、ホームローンはたっぷり残ってる。でも、せっかく新しい家を買ったのに今更小うるさいキーウィのフラットメイトを入れるのはいやだ。それよりも文句を言えない何も知らない学生を相手に「国際親善」の旗のもと、見かけのいいホームステイをやった方がよほど収入もよい。

 

何せこの金は税務署への申告が不要で、何も知らない日本人学生からもらう現金170ドルの収入は、旦那さんの給料の30%増と同じ価値がある。これは年収4万ドル家族の場合。4万ドル以上もらっている家庭は、ホームステイなど請け負わない。何せ金があるのだ、どうしてそれ以上に面倒のかかる事をする必要があるか。(1999年9月時点のデータです)

 

是非と言ってやりたがるホームステイファミリーがあるのだが、彼らの特徴はいったんお金をもらうと、それまでの親善の旗を捨てて、「あんた達、自分の事は自分でしなさいね、あたしは忙しいんだから!」みたいに学生を扱うことだ。

 

だからホームステイをする人たちが知るべきことは「ホームステイはお客か家族か?」の質問を自分で解く事である。もしお金を払っているならお客だけど、食後に皿を洗ったりベッドの片付けとかをするのなら客ではない。

 

もし家族と思えば風呂洗いまで手伝わされるのも納得できるが、家族でない証拠に子供は好きなものを冷蔵庫から出して食べてるのに、自分は勝手に食べる事はできない。

 

このような事を突き詰めて考えれば、結局ホームステイとは、相手の家庭に入り込んだ「特殊かつ期間限定」の、お客と家族の中間にある存在であり、この「存在」がお金を払って家族らしく扱ってもらおうと、かなり下手に出なければいけない制度なのだと言う事が分る。

 

その証拠に、この存在は常に子供として扱われ、主体的な意見を発するようになった瞬間から嫌われはじめる。つい先週まであれだけ好意的だった人たちが、今週から急に冷たくなった、こういった経験をした人も多いだろう。

 

そりゃそうだ。君が素直で可愛いペットでいるうちはよいけれど、ファミリーの言う事を聞かずに食文化を語りはじめると(鯨や犬を食べる話)、「今までの恩を忘れやがって!」と、相手は突然怒りにかられる。

 

相手の家に住まわせてもらってるのだ。これをきっちりと理解しないとだめ。食文化の話は、フラットで東南アジア人同士でやるぶんにはokだけど、ホームステイの期間中は御法度である。つまり、言いたい事を何でも言ってはいけないのがホームステイなのだ。その代わりに外国の生活習慣や言葉を学ばさせてもらっているのだから、相手が聞きたくない事は言わないでおこう。

 

楽しくホームステイをするには、まずお金を払っているという事実を忘れる事。これで客感覚を捨てる。そして親しくない友達の家に居候してると思う事。

 

親しくない友達の家なら勝手に冷蔵庫を開けて食べる事は(普通は・地域によって違うようだが)しないし、一緒に食事をするものの礼儀として、相手が作れば自分が洗うと言う同等の意識を持てるはずだ。そしてとにかく、うまくできなくてもいいから自分から話をする事。

 

今日は何をしたとか、びっくりした事とか、とにかく相手の気をひく事だ。相手も最初から君を嫌っている訳ではないし、邪魔物あつかいにしている訳ではない。一生懸命やってれば「こいつ、何か言いたそうだぞ。」と相手も好意を持ってくれる。

 

自分が何を伝えたいかを具体的に説明する事ができれば、この「ひっかけ作戦」も成功率が高くなる。例えば夜遅く(9時以降)テレビを見る時は、見たい番組を示して、「これ見たいけど、夜遅くなるけど、いいか」と聞く事。

 

この話のポイントは、

 

「見る番組は自分で決めている、問題は夜遅くなるけどいいかどうか。」

 

である。もしこの話を、

 

「Can I watch this TV program tonight?」

 

とやってしまうと、相手は

 

「その番組はつまらないからこれを見ろ」

 

などと、全然見たくない番組を押し付けられた挙げ句、見るはめになってしまう。

 

問題は、見る番組は自分で決めた、しかし夜が遅くなるのでよいかどうかを聞いているという事を相手に理解させられるかどうかだ。これが意志疎通である。

 

意思疎通がうまくいくようになったら、ホームステイもかなり楽しくなっていくはずだ。勿論本当に過ごし易いファミリーがたくさんあるのも事実だが、ホームステイを突き詰めるとやはり自分自身が相手よりも相手の立場を理解してあげて、相手の立場を立てながら共同生活をさせてもらうと言う事になる。

 

簡単に言えば、金を払っている居候と思う事がお互いにハッピーにいけるという事だ。

 

 

 

 

 

 

 



****

1999年当時は、ホームステイに関するクレームが多かった。送客する代理店側も、受入をするファミリーも、お互いに認識不足のまま、大量のワーホリが送り込まれたからだ。

当時情報センターで直接対応していた僕の元には、ほぼ毎日駆け込み寺的に相談があり、その度に日本の代理店やファミリーに説明、交渉していた。自社のお客ではないので無視しても良いのだが、やはり目の前で日本人が困っていたら放置する事も出来ない。

今は時代も変わり、フラットで問題が発生するようになった。これの主な原因は、日本で共同生活を経験する事のなかった社会人体験不足者が起こす「大きな勘違い」と、自分の常識を押し付けてくる韓国、中国オーナーである。一番割を食ってるのが、社会常識のあるフラットメイトと日本人オーナーである。結局いつの時代も、真面目にやる人が損をするのだろうか。

 

 

 

 



tom_eastwind at 21:21│Comments(0) 1999年 来る前に知ろう、常識の嘘! 

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