2005年07月22日

2004年2月 イラク戦争の真実

イラク戦争の真実

 

前回までは宗教の問題を取り上げてきたが、今回のイラク戦争と宗教はどう影響しあっているのだろう?

 

イラクでは米英による侵略戦争が終わり、米国主導で民主政治の導入を進めている。しかし、今も米兵に対する攻撃は容赦なく続き、既に第二のベトナム戦争化の様相を見せている。

 

戦争時に失った兵よりも多くの兵が、占領後に殺されている。本当に戦争は終わったのだろうか?多くの識者の中で出てくる疑問である。実は、国際法上では(この記事を書く時点では)フセインが終戦協定を結んでいないから戦争は終わっていない。これは、占領は終わったが戦争は終わっていない事を示している。

 

ではフセインが逮捕された後も闘っているのは誰だろう?それは普通の国民である。例えばボーア戦争で英国に侵略された農夫達が、自分の土地を守る為にイギリス軍に戦いをしかけたり、マオリ戦争で土地を奪われたマオリが、各部族ごとにイギリス正規軍と戦ったようなものである。

 

そこで、ここで大胆な前提を想定してみよう。CNN等のメディアではフセインが独裁者と報道しているが、実際には独裁ではなく、国民に選ばれた指導者だったのではなかろうか。この現実をまず認識しないと、イラク問題は理解出来ないのではないだろうか。イラクは元々フセインによって「安定した政治と生活」を与えられていたのだと考える事は出来ないだろうか?

 

第二次世界大戦当時の日本も侵略主義と呼ばれ、連合軍との戦いに敗れた時はメディアによって「日本は独裁主義国家である」と言われていた。また、戦後も学校教育の中で「侵略戦争」と呼ばれたが、しかしどれだけ多くの日本人が、その当時の日本を独裁と感じていただろうか?

 

また実際にアジアで植民地化してた多くの国々が、戦後すぐにイギリスやオランダ、フランスから独立した事実を見ると、米英メディア主導の「侵略」や「独裁」という言葉には、素直に頷けないものがある。

 

確かにフセインはクルド人を生物兵器で殺害し、イランとの十年戦争を行ったが、国内的には人気のある指導者だったのかもしれない。だから今も国民は、「侵略者」である米国兵に対してゲリラ戦争を仕掛けているのではないだろうか。ここで間違っていけないのは、終戦協定が結ばれるまでは戦争が継続しており、米英に対する攻撃はテロではなく戦争行為であるという事だ。

 

例えば今、日本が北朝鮮から攻撃をされて日本政府が降伏をしたとしても、国民はそんな不合理を許しはしないから、当然武器を持って自分の家族や民族の為に北朝鮮兵士と戦うだろう。そんな時に自分達の事をテロリストと呼ばれれば、どう思うだろう。それと同じ事を行っているのが今のイラク人である事を忘れてはいけない。

 

大量破壊兵器がない事は、実はブッシュのブレインも知っていた。それでも敢えて事実を無視して侵略戦争を仕掛けたのは何故か?その理由は大きく分けて二つある。一つは勿論米国の伝統的政策である「エネルギー戦略」だ。石油を押さえる事で戦車や飛行機などを押さえて、戦争に負けない力を持つ事だ。産油国として最大のサウジアラビアは既に米国の味方だし、次の産出国がイラクなのだから、ここを押さえればエネルギー戦略は完成する。そしてもう一つの問題はネオコンだ。

 

ネオコンとは、neo conservative、新保守主義である。但しこれは比較的最近になって出来たグループであり、米国人でさえ多くの人がその存在理由を理解していないが、要するに19世紀から20世紀にかけて大陸鉄道や石油などで東部特権階級となった人々が、米国から更に世界までも自分の手中に納めたい、自分の為の地球を作りたいと考えている人々の集まりだ。

 

言葉を変えれば、帝国主義である。彼らは、いかにして自分が利益を得るかのみを考えている。都合の良い時は国連を無視して自分のルールでイラクに戦争を仕掛け、都合が悪くなると国連のルールを持ち出して「国際法違反」と言うのが、彼らの特徴だ。分かりやすい例で言えば、一旦は認めた京都議定書を、自分の不利益になるからとその後拒否した事である。彼らの傀儡がブッシュである。頭の悪い彼には一番の役回りだろう。本当の役者は影に隠れて、ブッシュが表舞台で踊っているだけだ。

 

では、イラクはネオコンにとってどのような利益があるのだろう?それは一つにテロへの復讐と、もう一つ大きなものは、キリスト教対イスラム教の対決という構図を世界中に想起させる事である。

 

ここで初めて宗教問題が出てくるが、何故キリスト教とイスラム教の対決が必要なのか?それは、そうする事でユダヤ人問題が影に隠れるからだ。そう、ネオコンとは実は米国系ユダヤ人の一部派閥なのだ。たまたまブッシュが選挙で勝ったので、力のあるうちに一気にユダヤ問題を片付けてしまえと、彼らの絵を描いたのだ。

 

イスラエルに直接ミサイルを打ち込む事が出来る敵性国はイラクだ。潰してしまえ。フセインは昔みたいに俺たちの言う事を聞かなくなった、やっつけてしまえ。しかしそんな本当の事を言ったら米国人は戦争に反対するから、宗教やテロや大量破壊兵器を持ち出した。

 

但しこの絵には大きな誤算があった。戦争とは政治の一手段であり、必ず妥協点が存在する。勝利の限界点とも言うが、相手が一国家であり、国民を皆殺しに出来ない以上、政治的戦いも自ずとルールが出てくる。現在のルールは、周囲の国家を味方につける事だが、ネオコンが国連の決議を得ないまま戦争に突入した事は一番の誤算だった。そして占領だけでは戦争が終わらないと言う点を知らなかった事が、現在の多くの米兵戦死者が発生した理由である。

 

20年前にアフガニスタンで何が起こったか?どうしてロシアが10年も支配したのに、結果的に退却する事になったのか?ネオコングループは、その多くが机上論者である為、政権内反主流派で戦いを知っているパウエル長官に議論では勝ったが、現場の戦争では負け続けている。パウエルは戦いを知っており、道義のない戦争は勝たないという事を知っていたが、戦いを知らないブッシュは戦いを選んだ。

 

今回のイラク戦争では米国と欧州に亀裂が出来たというが、正確には、米国内ネオコンユダヤグループと欧州政治家グループの亀裂であり、国民レベルの亀裂ではない。

 

ロスチャイルド家を代表とする欧州ユダヤグループは、長い歴史の中で戦いの愚かさや損失の大きさを知っており、今回のイラク問題に関しても、実力行使は時期早尚と判断した。

 

イラク問題に一番反対したのはフランス外務大臣であるドミニック・ド・ヴィルバンであるが、彼も本来なら同じ白人である米国を批判する必要はなかった。それが何故これほど争う事になったのか、その理由は、あまりに子供っぽい西部劇感覚のネオコンが、結果的に世界を再度戦争に巻き込む事に気づいていたからだ。



tom_eastwind at 21:21│Comments(0)TrackBack(0) 2004年 移住とは自分を知る事 

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