2005年10月05日

あたりまえが変わる

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「常識が変わる。金融が変わる。」まさに言葉どおりの、今週の日経ビジネスに掲載された広告だ。日本が誇る三井住友銀行グループ内の、かの有名な「プロミス」という消費者金融会社の広告だ。

 

一昔前まではサラ金と呼ばれ、一時は武富士などが新聞に騒がれた「サラ金地獄」だが、今ではすっかり社会に溶け込もうとして、大手銀行と提携している。というか、資本下に入った。そしてこのような広告につながる。仕掛け人は勿論、財務省などの役人である。

 

元々サラ金は1960年代に武富士元会長が、その頃次々と造成された団地に住む主婦向けに、無担保で金を貸したところが始まりだ。

 

1万円とか5万円を無担保で貸し付け、貸し倒れ比率が3%なので、それに見合った利息を取ったが、当時、給料の前借も出来ない、クレジットカードもない、でも団地なので地元商店に信用がなく、お酒も本も現金で買わなければいけない、そういった人たち向けの個人消費者ローンだった。

 

銀行は住宅ローン等担保のあるものしか受け付けず、個人に対しては敷居が高かったのだから、団地住人からすれば、急場凌ぎにありがたい仕組だったろう。

 

しかしその規模が拡大するにつれ、本来お金を必要としない人にも現金を貸して、消費欲を煽り、買物をさせた挙句に「金返せ」とやったものだから、無菌状態で無知識消費者は次々とその罠に陥り、社会問題になったのが1970年代後半からである。

 

日本政府は消費者の目覚めを防ぐ為に、お金に関しては長い歴史の中で様々な規制を敷いてきた。目的は、個人が金を借りずに貯金して、政府に一括管理させる為である。

 

「一括管理したお金は、当然政府の元で各種公共事業に投資するのだから、馬鹿な個人消費者に持たせて下らないハンドバッグ購入に使われるよりも、道路や橋を造るのだから、余程社会の為である」当時の役人は、そう考えたのだろう。

 

しかし、まさに常識は変わった。クレジットカードの分割払いを認め、消費者金融を認知して銀行支配に組み込ませ、消費者に対して「個人責任でお金を使ってね」となったのだ。

 

この意味するところは、失われた十年における個人消費の落ち込みを増加させるところにある。皆が手元に現金が来れば使うだろう、そのためには消費者金融がもっと社会的信用を得て、みんなが借りるようにしなくては、という方針だ。

 

しかし、お金を借りて買物をすれば、それは消費が拡大するだろうが、買物のお金は、金利と共に消費者が払わねばならない。

 

20年前までは、銀行にお金を預けるだけで政府が安定した社会生活を守ってくれたが、今では預けるだけでなく、お金を借りて、商品を買って、金利を払って、と、3回にわたって政府に貢がせるというところまでエスカレートしている。

 

サラ金時代は脱税が当然だった金融会社も、銀行系列に入れれば経理は明確だから、しっかりと税収も入る。まさに政府にとっては金の卵を手に入れたような、銀行と消費者金融の組み合わせである。

 

政府が仕組んだこの仕掛けに、消費者としてどう対峙していくか?

 

答は簡単だ。利口になるしかない。物を買えばお金は必ず払わねばならないという、当たり前の常識を再度理解する事だ。今の時代は、子供でも判るような、そんな基本的な生活の智恵が要求されている。

 



tom_eastwind at 08:25│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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