2005年11月14日

日経ビジネス「社員が壊れる」2005.10.24より

5408f25c.jpg

タイムリーと言うか、昨日高速道で玉突き事故が発生し、7人が死亡、多くが重軽傷を負う事件があった。トラックとバンの衝突事故に続いて、後続の車両が次々と衝突した事件だ。

 

「社員が壊れる」の意味は、高収益を出している企業の底支えをしているのは、実はビジネス社会の底辺に位置する人たちに低賃金+長時間労働を押し付けた結果であるという事。

 

僕も以前から、何故誰も問題にしないのか、不思議に思っていた事だ。例えばトヨタの看板方式=ジャストインタイムと言えば在庫を圧縮する方法と言われているが、実際に部品は今までより細かい単位で注文が入るのだから、配送回数は増えるが、配送会社の請求金額は同じ。倉庫に空きが出なければ、部品を積んだトラックは外で待つしかない。その間ガソリン代節約のために、炎天下でもクーラーは付けられない。

 

コンビニの在庫を持たない商売も、結局は誰かがいびつな形で歪みを抱える事で成長したモデルだ。フリーターと呼ばれる人々は、聞こえの良い「自由労働」という名前の下、コンビニで長時間低賃金で働き、覚える事は毎日次々と増え、しかし給料は全然増えないという「大企業の成長のメカニズム」に歯車として巻き込まれたのだ。これでは何の為にフリーターを選んだのか分らない。

 

日経ビジネスの取材によると、例えば長崎を当日16時に出た、生鮮食品を積んだ「追っかけ」と呼ばれる10トントラックは、翌日の夜23時に千葉に到着するまで、ほとんど寝ない。途中で荷物を積み下ろししながら、仮眠はトラックの中。

 

一ヶ月に5〜6回長崎東京間を往復する長距離トラック運転手は、当然体が持たないから、途中でコップ酒を飲みながら、眠気を誤魔化して走る。以前は月給50万円以上もらえていたが、親会社の値引き要求で、給料は40%削減されて、仕事はよりきつくなった。これが大手企業の「ジャストインタイム」の実態である。

 

しかし、その事を指摘する新聞記事はなく、どれも大企業の努力を褒め称えるだけだった。まるで大本営発表の戦果と同じで、良い事ばかり言っている日刊新聞。まさに道徳の欠如した新聞と人間性を失った大企業の作った被害者が、トラック運転手であり、今回の交通事故で無くなった人たちだろう。

 

今回の記事でもトラック運転手が悪者にされるのだろう。でも、よく考えてみよう。そんな仕組を作ったのは、一体誰なのか?泥棒が生まれたりするのは、100%とは言わないが、社会の責任もいくらかは存在すると僕は思っている。

 

少なくとも、自分の目の届く範囲内では、手抜きは認めないが、家庭や社会を壊すような、必要以上の値引きや強制はしたくない。周囲でも、そういう事が起こらないようにしたい。それが、精々今の僕に出来る事だろう。

人気blogランキングへ

トラック野郎と呼ばれた時代が懐かしい。



tom_eastwind at 17:13│Comments(0)TrackBack(0) 日本ニュース 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔