2005年11月15日
バーでうどん?!その1
大阪の難波に「スイスホテル南海大阪」という、シンガポールラッフルズ系列のホテルがある。
ラッフルズと言えば全室スイートで、サマセットモームの定宿としても、シンガポールスリングスの発祥の地としても知られている、世界の名門中の名門である。
勿論GMは外国人だ。
「南海」という名前の通り、元々は南海電鉄がオーナーだったのが、バブル時代に周囲の環境も考えずに計画して、大阪の地盤不況で赤字経営になり、どうしようもならなくてラッフルズに身売りをしたという話だ。
で、ん〜、それが「うどん」と、どう関係あるわけ?と思うでしょ。もうちょっと聞いてね。
半年ほど前に仕事で大阪に泊る事になった僕は、お客様の住所が難波だったので、地下鉄や電車の都合の良い駅ビルという事で、このホテルを選んだ。インターネットと部屋の広さで決めたようなものだ。値段も、クラスの割には手頃な1万5千円。
地下鉄駅からそのままエレベーターでロビーフロアに上がる。チーン、到着してロビーに向かうと、すごく変な雰囲気が・・・これって、昔の新宿プリンスホテル(知ってますか?当時はやくざの待合室状態でした)みたく、豹柄ドレスに能面みたいな化粧のおばさん&坊主頭にピンクのスーツを着てるおやじとか、ロビーの絨毯にタバコの灰をぱたぱたと落としているその筋の客、そしてそれを無視するホテルマンって、あれじゃない?
まずはチェックイン。機械的な「いらっしゃいませ」から始まって、フロント係が、とにかく人の顔を見ない。本当はいらっしゃってほしくない、だって仕事が増えるだけだもん、そんな気持ちがみえみえちゃん。カウンターの下にあるモニターを見つめながら、パソコンをカチャカチャ操作している。まさかゲームしてるんじゃないだろな?お前はパソコンお宅か?
チェックインがやっと終わり、さて荷物を持とうとすると、やってきたベルボーイ?おやおやお父さん、ボーイじゃないですよね、どう見てもシニアですよね?昨日まで保線区で線路の犬釘を修理してたでしょ。爪の間が真っ黒ですよ。
ところでお父さん、「いらっしゃいませ〜!」と威勢よく言われても、「汽笛一声新橋を!」じゃないし、う〜ん、僕は貨車か?あ、この感覚!そうそう4年位前に京王プラザホテルに泊った時に同じような状況で、やはり保線区作業で酒と太陽に焼かれた人の良さそうなお父さん顔に「こちらでございます、ご主人様!」と言われた時の感覚だ。
鉄道会社からすれば、ホテルなどは所詮付属施設。そこに本体で使えなくなったロートルを、全然研修も受けさせずに送り込み、「もうやってられません」という状態にして自主退職に追い込む方法だ。
僕はかなりお怒りモードながら、おじさんに罪はなし、「いいですよ、自分で持っていきますから」と言うと、まるで仕事を取られたような、哀しそうな顔をするおじさん。ごめんね、やっぱり持って下さい。心の中で、おじさんをこういう場所に追い込んだ経営者に腹が立つ。
社員の首切り狙いだけが怒りマークの対象ではなく、そんな未教育社員を配置する事で、顧客蔑視に繋がるという事を理解出来ない経営者の思考回路も怒りマークの対象だ。
さて部屋に入ってみると・・・ふ、古い!設備が古いし、カーペットも手入れされていない。よく見るとその部屋だけでなく、廊下のカーペットも、長い間大きなスーツケースに引きずられたのだろう、ぼよよ〜んと波打っている。
哀しくなりながら、とりあえず気分転換にシャワーしてからバーへ行こうっと。バーはフロントの反対側だ。と、そこでうどん事件が起こった!
長くなったので、続きは明日、また書きます。