2005年11月27日

羽田空港と新幹線

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昔から新幹線と国内線の離発着基地として利用されている東京駅と羽田空港は、どちらも日本の首都、東京という地区への関所みたいなところだ。

 

濡れカラスのような黒いどさっとしたコートにねずみ色のしわくちゃスーツを着たおじいちゃん達。どう見ても地方の町議会議員か自治体のお役人と言った風体の彼らは、長年使い古したクラリーノのビニールカバンを小脇に、仕事が終わって新幹線が出るまでの一時を東京駅八重洲口地下のカフェやレストランで、煙突のようにタバコをくゆらせながら赤い顔でビールを飲んでます。おつまみは、やっぱり枝豆セットなんですね〜。今日の議員陳情はうまくいきましたか、おじいちゃん達?

 

羽田空港でも同じように出張前のサラリーマンが殆どが、これはちょっと垢抜けてて、コートも茶系のブランドもの、手荷物はTUMIのバッグと、これから地方出張と言ういでたちの人が目立つ。

 

新幹線がダサくて飛行機が垢抜けという訳でもなかろうが、東京駅八重洲口地下のレストラン街は、見かけから内容まで、実にレトロである。一番面白いのは、自分がレトロになっている事を気付かないレストランオーナーなのであろう。

 

羽田空港は国際線も飛ばすようになり、ターミナルも増設して、空港なのにKihachiのような本格的なレストランを誘致したりと、近代化に励んでいる。最近ではチケットレスも発達して、随分便利になったものだ。

 

両者の共通点は、いわゆる六本木や麻布のような、東京人の生活のための街、ではないという事だ。

 

1970年代、チューリップやかぐや姫、長淵つよし、矢沢永吉等、皆夜行列車に乗って東京駅に着いて、スモッグで薄汚れた空を見上げながら、絶対にビッグになってやるんだと誓った。つまり東京駅は、上京する人にとっての関所なのだ。ここをくぐって、日本の中心に飛び出て、誰よりも強くあろうとした人々の、登竜門だったのだ。

 

時代は変わり、今では九州や北海道などの遠方からは、飛行機が主流となった。しかし近郊ではスピードの速くなった新幹線を利用している。その新幹線も、全く新しい品川駅が出来てから、雰囲気が変わった。品川駅に歴史はないのだ。

 

 

日本は最初から綺麗で近代化されてて、汚い匂いもしないし、雨に濡れながら新幹線を待つ事もなく、そこで働く人々は、最初から「匂いのない、近代的な品川駅」しか知らない。

 

過去に多くの人を乗せて走った新幹線。国際歴史の舞台であった羽田空港。どちらもその様相を変化させ、時代に適合しようとしている。「古い」歴史は、「今の」人にとっては忘れられて消えさられていくものなのだろう。

 

品川駅と新羽田ターミナル。どちらもこれからの東京の発展を暗示するような気がした。



tom_eastwind at 11:00│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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