2006年02月07日
模倣犯
宮部みゆきの名作として名高い「模倣犯」だが、文庫本になるまで待ってて、今回の出張でやっと購入。文庫本でも5冊という、物凄い物量だが、その内容たるや、よくここまで書けたなと思うほど、実に素晴らしい。
筋書きの大きな流れを作り、人生に対する作者の肯定感を描き、下町の人々の心のひだを描き、そして語り部としてその素晴らしい文章力で読者をぐいぐいと引っ張っていく力強さは、まさに宮部ワールドだ。
但し大きな問題あり。全部で5巻の大作であり、少しずつ読み進めるような作品でないだけに、これは一気に読む必要があり、一体どこにそれだけの時間が取れるんだよ?という向きには、辛い作品だろう。
そんな事を思いながら福岡空港でキャセイ航空の出発を待っていると、何とラウンジの向かいに座っていた中年のおじさんが、僕と同じように「模倣犯」を読んでいたのにはびっくり。
そう言えば模倣犯、文庫本になってから、またも売上が伸びているとの事。皆、同じ事を考えているんだなと思う。