2006年04月30日

流れる星は生きている。

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作者藤原ていは大正生まれの女性で、昭和20年の日本敗戦で満州から幼い3人の子供を連れて辛酸を嘗めながら引き揚げて来た女性だ。

 

しかし1年にわたる満州から北朝鮮、韓国を経て博多港までの脱出劇の中で心身ともに完全に消滅し尽くした彼女は、諏訪の実家で子供を渡すとそのまま病床へ。

 

死の淵で子供への遺書として綴ったドキュメンタリーがこの本「流れる星は生きている」だ。

 

絶望的とも思える敗戦の最中、肉体的には飢えや疲労、薬も寝る場所もない生活、精神的には、戦前お嬢様育ちだった彼女が受けた怒り、屈辱、裏切り、背任。そして、時に思わぬところで触れる、国籍を超えた人間の優しさ。

 

そのすべてを乗越えて、只一点、生きると言う事に、生への、凄まじいまでの執着を見せるのだが、苦難の旅が続くに連れ、次第に生きる気力も失っていきそうになる。

 

そんな心理描写に読者は、藤原ていやその子供たちと一緒にそこにいるような臨場感を感じさせる。全く感服としか言い様がない。

 

この本、藤原正彦の「国家の品格」の横に、たまたま横に平積みしてあったのだが、実は正彦とは、この脱出劇の中に出る藤原家次男の「正彦」である。

 

当時3歳の正彦が母に引きずられながら朝鮮の山の中を裸足で踏破するが、その足の裏には、奥深くまで山の小石や砂利が詰まっていたそうだ。

 

今の藤原正彦からは想像もつかないが、3際の子供は配給で貰う芋の自分の取り分だけでは空腹を癒せない為、母親の数少ない芋もねだった。そんな母を見かねた兄は、自分の芋を母に渡して言う。「お母さん、僕もうお腹一杯だ、これ食べて」

 

生きる事は楽じゃないし理屈じゃない。生きようとする気力は、すべての理屈を乗越えて人を感動させる。いつの時代もどの国でも変わらない当然の事実を忘れて平和ぼけした連中に、彼女の体験の百分の一でも経験させてみたいものだ。

 

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tom_eastwind at 00:20│Comments(0)TrackBack(0) 最近読んだ本  

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