2006年05月05日

失敗を恐れる風土

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2000年頃のコラムで「後5年で勝者と敗者が決まる。この5年はやりたい放題だ。何故なら既成権力が崩壊して新しい権力とルールが生まれるまでの空白期間だからだ」と書いた。

 

 

最近の企業の入社式や新聞の論評ではよく「失敗を恐れぬ心を持って欲しい」って言うが、そりゃ無理でしょ。

 

 

 

個人が起業して失敗したら、個人資産まで巻き上げてしまうという現実の中で、誰が家族を路頭に晒してまで起業するものか。

 

それよりも政府の敷いた「黙ってついてくれば餌あげるよ」方式にのっかった方が簡単だ。その為には良い学校を出て一流企業または公務員になること。

 

これに対してマスコミは「最近の若者は覇気がない」と言う。ふざけるなと言いたい。貴様ら何物だと言いたい。自分こそ真っ先に企業に逃げこんでおきながら。起業すればどぶに落ちるという仕組がある事を、失業して電車に飛び込む父親を見て知っている子供は、そんな危険な事はしないのだ。

 

実にたちが悪いのはマスコミで、社会の仕組を知っているくせに、ちょっと粋がって「俺は新聞記者だ、頭が良いのだ〜」みたいに、政府の行動をチェックする反体制みたいな格好見せながら、実はいつの時代も政府の街宣車をやっていたのが大手新聞ではないか。

 

失敗を許さぬ構造にする事で起業家=政府に反対するものを潰す。きちんと政府のいう事を聞いていれば、楽天みたいに成長させるが、いう事を聞かないならライブドアみたいに潰すぞという事だ。

 

サラ金業界もそうだった。結局政府が再度制御環を取り戻したのだ。そんな中で戦後の日本株式会社を再興させるという事は、規制社会に戻るという事だ。

 

今まで頑張ってきた人、お疲れ様。もうこれで受付終了、ここから先に起業家になりたければ、政府の言う事聞いて大手と組んでね、そう言うことだ。

 

「最近の若者は覇気がない」のではない。社会に擂り潰されて殺されていく大人を見て、より利口になっているだけなのだ。そういう社会を片方で作りながら、偉そうに「最近の若者は〜」等と言ってるんじゃねえっての。

 

まったく、マスコミの程度の低さはどこまでも低空飛行だ。待ってろ、いずれ無料新聞とブログが、君らの息の根を止めるよ。

 

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tom_eastwind at 00:25│Comments(2)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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この記事へのコメント

1. Posted by 駆け出しパパ   2006年05月06日 05:10
同感です。最近の若者は実は非常に利口なのです。でも、モデルとなりうる先輩が身近にいないためどのように自分のパワーを出せばいいのか分からないだけなのです。
本来その先輩の役目は父親がやるべきなのです。でも肝心の父親はサラリーマン生活ですり減らされ、そんなところまで目が行きません。
会社に滅私奉公している背中を見て育つ子供は、やがて自分の将来に対する希望を失っていく…。これが今の日本です。
マスコミはしたり顔で今の日本について書き立てますが、的を得ているなぁ、とう記事は本当にまれです。貴殿のコメントのほうが実に的を得ている。本来なら団塊の世代でそのことに気がつき、しかるべきアクションをおこしていれば、今のニート世代はもっと違う方面で自らの実力を出せているはずでした。でも残念ながらそうではありません。だからこそ今、40、30台のわれわれの真価が問われていると思うのです。どうでしょう。
2. Posted by tom   2006年05月07日 12:23
日本が管理社会に突入して、これからは景気も良くなるでしょう。

しかしそれは、1990年代に新卒の採用を停止して、社員に低賃金を要求して、退職金削減等、とにかく商品原価における労働部分を思い切り削減してサービス残業を押し付けた結果です。

ニートやフリーターは、大きな視点で見れば、社会構造の変化の狭間に落ち込んでしまった、普通の人々なんだと思います。彼らも、もし10年前に生まれてたら、10年後に生まれていたら、何も考えずに就職して社会人になってたんじゃないかな、そう思います。

我々が出来る事は、楽しく人生を生きている、その背中を人に見てもらい、「あ、いいな、俺もあんな事やってみたいな」と思わせることでしょうね。

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