2006年06月12日

大停電の朝

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今日のオークランド関連のブログは、大停電の朝って事で決まりだろうな〜。

 

晴れたり降ったりの朝、自宅を出て会社に向かう途中、いつも聴き慣れたFMラジオが、突然激しい雑音と共に切れてしまった。朝8時30分。オークランドは激しい雨でテレビ放送が中断したりするので、それの一部だろうと思いながら、シティに車を走らせる。

 

ところがどうも、橋を渡った後の景色が、いつもと違う。高速を降りてファンショーストリートを入った頃には、その理由が分かった。交通信号が全部消えているのだ!

 

1997年の一ヶ月にわたる大停電を経験した人は少なくないだろう。その時に「大都会の停電」という事で世界中から新聞記者が集まったのだが、彼らは最初、電気の消えた都会でどうやって生活するのかを取材に来たのだが、そのうちこの街では、何と信号がなくても交通事故どころか交通渋滞が起こっていない事に気付かされたのだ!

 

普通どのような街でも、信号が壊れれば交通渋滞を引き起こし、車はすべて交差点に向かって我先に首を突っ込み、遂には完璧に立ち往生してしまう。

 

ところがオークランドでは、1997年の大停電の際も、交通警官が誘導もしてないのに、運転者がお互いに左右を確認しながら走っているのだ!

 

ニュージーランドにはランナバウトという、信号のない交差点がある。交差点の真中に円形の台を置き、時計回りにくるくる回る仕組だ。右から来る車が優先で、きちんと順番待ちをしながら回っている。

 

交通信号を置く費用もかからず、夜中など交通量の少ない時間帯は信号待ちが不要なので、実に便利である。勿論交通量が増えたらそうもいかないのだろうが、オークランドの70万台程度の車では、丁度良い具合だ。

 

元々このような仕組がある上に、相互扶助の精神が徹底しているオークランドでは、前回の大停電の際も、交通渋滞もなく一ヶ月を乗り切った。今回の大停電で僕が最初に心配したのは、アジア人だ。

 

彼らの地元は何処の国でも、気が違ったように車の頭を押し付けあって、少しでも前に進もうとする。他人の事など一切考えない。そんな連中が増えてしまったオークランド、どうなる事やらと見ていたら。

何と!アジア人もキーウィのルールに従って、ちゃんと信号を、じゃなかった、周囲の運転ルールを守って、ちゃんと道を譲っているのだ。これは嬉しかったな〜。やっぱり人間は環境が変われば良くもなれるって事を、少なくとも一瞬だけでも良い人になれるって事が分った。

 

停電の原因はオークランドへの送電線が台風並みの風で倒れたということで、夕方のニュースでは首相が「なっさけな〜!」みたいなコメントを発表していた。そりゃそうだ。今回の被害は1億ドルに達するという人もいる。

 

当然うちが入ってるビルも、エレベーターも止まり、スターバックスも開店休業、ガスを使ってないから全く何も作れない状態。それでも人々はけろっとした顔で、状況を楽しんでいた。日本ならパニックだろうね。ここがキーウィの良いところ。状況を素直に受け入れる、心の幅があるよね。

 

結局僕は、一部スタッフと一緒に電気のあるノースショアの自宅に戻り、仕事再開。昼過ぎには少しづつ電気が戻ってきたシティだが、結局お客様の自宅へ行ったりして、今日は出社してない。

 

仕事はメールと電話で片付くし、お客様へは車で自宅訪問すればよいので、それほどの被害はなし。むしろ、オークランドの人の良さを感じられて、何となく気持ちの良い一日だった。

 

首相も立場上、「いや〜、キーウィはいいね〜」とは言えなかっただろうが、誰もが心のどこかで「いや〜、キーウィはいいね〜」と感じてたと思う。

 

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tom_eastwind at 18:57│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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