2006年08月17日

移住コンサルタント・法の読み方

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移住コンサルティングとは、その家族の生活総合カウンセリングサービスである。

 

だから、法律だけ知っていれば良いとか、税務だけ知っていればよいというものではない。

 

 

 

1・移住に対して適性、耐性があるのか・

2・自分で自分の道を切り開く力があるか。

3・移住するだけの資金があるのか。

4・家族や親戚のOKは出てるのか。

5・生活能力はあるか。

6・どんな家族生活を送りたいのか。

7・どんな性格を持っているか。

8・どんな価値観を持っているか。

 

等など、最初は具体的だが、後半になると完璧に本人の個性や感性の問題になるが、そこまで踏み込んで移住希望者が持つその個性を理解して、その人に応じた道を提供して、その道の歩き方を説明して、道案内をするのが仕事だ。

 

道案内と言っても、僕は免許を持った法律家ではないし、登録された税理士でもない。だから法解釈などと偉そうな事は言えないし、学校に通った事もない。だが、ニュージーランドの法律や社会の実態はある程度理解している積りだ。

 

そこで専門知識のすべてを暗記しているわけでもないので、この知識はどこに聞けば分るかという情報ネットワークを作っている。そして案件ごとに常にその道の地元専門家の人々、つまり弁護士、税理士、医者、企業家、ビジネスマンなど、色んな人から正確で専門的かつ最新の情報を収集しながら道を進んでいくのだ。

 

このガイド、雨の日には傘を用意し、晴天の場合は足を早め、台風の日には動きを止めて避難小屋に入り、とにかくお客様が失敗しないように、天気を読みながら行動する。移住の道案内では天気=周辺の環境(家族の病気、資金の準備、ビザの取得、就職、子供の学校etc)が良く変わる。その度に戦略を練り直す。

 

戦略などと言うと戦いみたいな表現だが、これは実際、僕にとって戦いである。何せ相手(両親・親戚・移民局・検疫所・会社法・不動産etc)があり、相手の動きに合わせてこちらが戦略を変更しながら、最終的な戦略目標である移住の成功=永住権を取得して生活の基盤を作らねばならないのだから。

 

RPGみたいだが、旅の途中で出てくる相手は、移住希望者にとってはまずは会社の上司だろうし、次は家族の説得、そして資金の準備、次に移民局であり現地企業への就職であり、とにかく毎日いろんな、乗越えねばならない問題が出てくる。そのたびに戦略を調整しながら、遠回りをしたり一旦停止したりもする。

 

この時にどれだけたくさんの戦術案を出せるか?ここが移住コンサルタントの腕の見せ所だ。どこに秘密兵器が隠されているか?どこを押せばパワーが取れるか?殆どテレビゲームと同じ。というか、テレビゲームが人生ゲームに近づいているのかな。

 

そして何よりも大事なのが、旅の途中で挫けそうになるお客様を、如何に元気つけて前に向けて歩かせるかだ。

 

時には「NZいいっすよ、早く行きましょう」と言うし、あんまり能天気なお客様には「NZは天国じゃないですよ、そんなに期待していると、後でがくっとしますよ」とも話す。

 

そんな事をしながら、それでも一番大事なことは、とにかくニュージーランドの法律の精神の範囲内で仕事をする事だ。

 

僕は法律を解釈する時、ぎりぎりまで踏み込む。後10cmで違法というところまで踏み込んでいく。でも、決して一線は越えない。それが僕のポリシーだ。

 

でも、このポリシーを基盤として支えているのが、法の精神の遵守である。これはとても大事、というか、これが出来なければ法律をどう解釈しようが意味がない。

 

何故なら法の精神を無視するという事は、ニュージーランドの人々が営々と創り上げてきた、僕ら自身がこの国に惹かれる要素でもある「お国柄」を否定する事になるからだ。これは否定してはならない。

 

ニュージーランドの法の基本は、実は簡単である。嘘をつくな、騙すな、だ。正々堂々と、公平にやる。それさえOKなら、後は何でも自由にやりなさい、自分の才能を目一杯開花させて下さいという事。

 

この二つさえ理解して、法の精神を遵守しながら、時には法の条項に書かれている事が現実から乖離していたら、それは法の起草者の問題であり、法の精神を遵守する事にしている。

 

例えば移住申請の際の英語能力は、ILETS6.5が要求される。しかし、現地の企業で1年以上英語を使って仕事をしていると証明出来れば、IELTSは免除だ。であれば、後は現地で受け入れてくれる企業を探せば良いという事になる。そのような技術が、最終的にニュージーランドに貢献出来る日本人を増加させる技術であると思う。また、移民局は地域や担当者ごとに判断が異なるので、地域差を利用した永住権申請も大きな要素の一つである。

 

そのような、日本にいては思いもつかないような技術を駆使して、お客様の移住計画を立案して、実行し、時には作戦変更しながら、それでも絶対に法律の範囲内から逸脱せずに、最終的な戦略目標である移住を成功させる。それが僕の仕事だ。

 

時には、お客様であっても、きちんと注意する。山登りをする時は、ガイドの話を聞いてもらわなければ事故に繋がる。移住計画も同じで、お客様には見えない崖や岩が、計画の途中に転がっている。

 

お客様の好き勝手にやらせてしまうと、時には移住計画自体が失敗する事もあるからだ。勿論移住計画の経過を楽しませる事は大事だが、それが事故に繋がっては意味がない。

 

今月は日本の夏休みという事もあり、来客が多い。来月からは2ヶ月連続で日本の説明会だ。皆さん、出発前には将来像をきっちりと描いて、到着後も無事に軟着陸してくれる事を望む。

 

写真は雪をかぶったルアペフ山。きれいですね。

 

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tom_eastwind at 07:54│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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