2006年09月13日

誰の為に働くのか?

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日本の働き盛りの30〜40歳代の労働者で、週60時間働く人が23%いるそうだ。週50時間以上なら28%だとさ。

 

19時前に帰宅する父親は13%であり〜〜云々云々。NZでは絶対に考えられず、これだけで離婚の理由になるくらいだ。

 

 

日本は今、確かに一億総残業時代に突入しているな。

http://homepage1.nifty.com/rouben/teigen05/gen050930c.htm

 

 

人々の心は擦り切れ、電線に落雷が落ちて電車が停まっただけで、たった160円の切符を買っただけの家路に帰るサラリーマンが目の色を変えて駅員を怒鳴り上げて侮辱して言う、「何で電車が走らないんだ!」そりゃ落雷で電気が来ないからでしょ?サラリーマンは自分の言葉の理不尽さは無視して、昼間に会社で上司に怒られて自分の体の中に溜まった怒りをぶちまける為だけに、無抵抗の駅員を小突き回す事になる。

 

今の日本のストレスは残業だけではない。ノルマや生産性など、様々な要素が、そこで働く人々の精神を蝕んでいく。

 

日本の製造業は強い。しかしその強さを支えている、例えばトヨタの看板方式(Just in time )は、結果的に下請けメーカーがいつでも商品を供給出来る体制を強いる。また荷物を小分けにして運ぶ運送会社も、自分の荷物が工場に入荷されるまでの間、工場の外で車を駐車させて、車内でずっと待つしかない。多分その時間は給料に計算されないだろうな。荷物をいくつ運んでいくらという計算だろうから。

 

右肩:

でも、そうやって製造業が創り上げた素晴らしい商品が僕らの日常を豊かにしているじゃないか?家庭は電化製品で溢れ、ケータイで生活が自由になり、僕らはまた世界で一番幸せな人々になろうとしているではないか?

 

左肩:

しかし、どれだけ商品が良くなっても、それを使う立場の国民は、幸せか?

 

例えばシャープ亀山工場と言えば世界でも名高いトップクラスの生産性を誇る工場だが、そこで働く従業員の多くは派遣社員であり、健康保険も殆ど適用されずに最低賃金のみで働かされて、病気でもしようものならすぐに首だ。シャープに限らずキャノン等でも派遣の問題が新聞で大きく取り上げられている。

 

そこで作られたシャープのテレビはトラックで店先に運ばれるが、その仕事を担う運送会社は、顧客からの相次ぐ値引き要請によって殆ど利益が出なくなっている上に、最近の原油高でも顧客に値上げが受け入れられず、値引きと原油高の板ばさみで、まさに悲鳴をあげる状態だが、その最終的なしわ寄せは結局現場で働く運転手の低賃金と過激労働という形で現われる。

 

酒を飲んで事故を起こす長距離運転手が増加する背景には、その流通体制に大きな問題がある事は周知の事実である。去年からNHKなどでも取り上げられている。

 

激務に疲れた体で長距離運転する為に飲酒運転。酒で疲れを誤魔化した挙句に高速道路で交通事故に巻き込んだ車には、働き盛りの父親が乗っていて即死。残されたちっちゃな子供には何の保護も与えられない今の日本の福祉政策。結局その子供は不良になり、ナイフを持って夜の街を彷徨し、最後には近くにいる人を刺して刑務所へ。

 

そんなトラック運転手の自宅にも、残された子供の家庭にも、おそらく液晶テレビはあるのだろうが、哀しい事にそれを見る人は、もういない。

 

哀しいまでの、負のスパイラルではないか?

 

日本全部が値引きと競争で、確かに海外に比べれば生産性は高いと言えるかもしれないが、それを支えているのが日本人全体であれば、一体日本人は誰の幸せの為に働いているのだろう?

 

日本人は、総残業時代に突入して、それぞれが相手の総残業を支える為に、また残業しているような、まさに24時間社会になった。

 

その結果、日本で作られた素晴らしい製品は、海外で高い評価を受けて、NZで夕方時には自宅に帰る父親が、家族と一緒に食事しながらシャープの液晶テレビを観ている。週末はトヨタの四駆で家族と一緒にピクニックだ。

 

昔、日本人は世界で最も高い給料を貰っていた。今は最低賃金に押し込まれた多くの労働者が、NZよりも安月給の状態でコンビニの添加物たっぷりの食事で何とか毎日を過ごしている。

 

本当に今、日本人は誰の為に、何の為に働いているのだろうか?どこかでこの負のスパイラルを切らない限り、誰も幸せになれない気がする。

 

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tom_eastwind at 00:21│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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