2006年09月22日

移民が国を潤す。

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日系ビジネスでシンガポール特集を読む。

 

シンガポールは1965年にマレーシアから独立、現在の人口は424万人、面積は東京23区とほぼ同じ。一人当たりのGDPが日本の約7割(2万6千7百ドル)。

 

日本人にとっては観光地、買物、マーライオンのイメージと、最近では村上ファンドが本拠地を移した場所としても有名。

 

 

ところがそのシンガポール、出生率は日本と同じ1.24で、移民政策を取らなければ人口減少になるので、毎年3〜4万人の移民を受け入れている。

 

面白いのはここからで、労働力として労働ビザを取得して来る女性には妊娠検査が義務付けられ(つまり妊婦の入国は駄目)、シンガポール人との結婚は許可制であり、同棲して妊娠したら、労働ビザを取り消すという方針だ。つまり、シンガポールは自国民に対して手厚い社会福祉政策を構築しており、外国人女性が潜り込んで勝手に住みつく事を禁止しているのだ。

 

これなどまさに、2年程前にクライストチャーチで起こった、日本人女性による観光ビザ出産事件を思い出させる。シンガポールでも、外国人が貢献もせずに良いとこ取りをする事は認めてない。その後NZ政府も法改正で、NZで出産する事を出来なくしている。

 

そしてもう一つ面白いのは、リーシェンロン首相が日系ビジネスのインタビューに答えた内容だ。

 

「我々は、真中から上のレベルの労働者が働き、根をおろす事(移住)は奨励しています。でも、未熟練労働者が根を下ろして(永住権を取得して)仕事を辞めてしまい、市民権を得たのだから恩恵や権利を要求するような事は、深刻な社会問題になる」

 

つまり、シンガポールは優秀な人材は受け入れるが、真中から下のレベルの労働者は、長期にわたっての受け入れはしないとはっきり言っているのだ。

 

1億円規模の投資をする外国人には永住権を与えるが、シンガポールに現在住む、50万人いる単純労働者は、住む場所、職種を厳しく決められて、起業も出来ないし、一定期間が経てば出て行ってもらい、次の労働者にその権利を渡すと言う政策だ。

 

金持ち優遇政策ではあるが、彼らは明確に「それの何が悪い?働かない連中や能力のない連中を外国から呼び寄せて社会福祉を提供して永住させるほど、俺たちは金持ちではない」という事だろう。

 

シンガポールはセーフティネットを備えながら自助努力を促す社会保障制度を作っているが、それは国に貢献した人への政府からの返礼であり、乗っかるだけの人は認めないという姿勢が明確である。

 

シンガポールが管理社会であり、リー一族の独裁国家であるのは事実だ。僕もあの国に住もうとは思わない。あまりに管理が厳しいからだ。しかし彼ら一族が作って来たシンガポールという国は、移民政策や金融政策を見る限り成功している。

 

そこでNZに振り返ってみると、NZで労働ビザが欲しい、移住したいと思っている日本人は多いが、一旦NZに移住すると、すぐにこの国の社会保障を利用する人が、最近増えてきたと言う事だ。

 

特にNzdaisukiの書き込みでは、掲示板を利用して情報交換をしているが、そこには、永住権を取得したばかりの人が「私はどうやったら失業保険をもらえるんでしょうか?」等と書き込む。

 

それに対して「それって違うんじゃない?僕らは自分の自由意志でこの国で住む事を決めたのに、相手に迷惑をかけるような事はよくないでしょ」と書き込みがあると「そんなの当然の権利ですから、もらって何が悪いのよ!」みたいに、権利ばかりは主張する。

 

じゃあその人、国民として国家を支えているという意識はあるのだろうか?例えばNZに投資をする、NZで労働力として貢献する、NZで納税をする等、この国に対する貢献なしで、権利ばかり主張する人になると、じゃあその権利を支える為の資金はどこから生まれるんだろう?

 

社会福祉関連の色んな権利は、それを支えてお金を出す人がいるから成立しているのであり、皆が「頂戴頂戴!」の大合唱をやってしまえば、国が潰れてしまう。ましてや、その国で生まれ育ったわけでもない人が、権利をもらう為だけに移住してくるとしたら、それは本末転倒であろう。

 

 

移民が国を潤す、それが本来の移民の姿だと思う。移民が国を枯らすのであれば、その時は1960年代の米国大統領でダラスで暗殺されたJ・F・ケネディの演説を思い出すべきであろう。

 

「Ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country.(祖国があなたに何をしてくれるかを尋ねてはなりません、あなたが祖国のために何をできるか考えて欲しい。)」

 

 

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tom_eastwind at 00:51│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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