2006年11月07日

6年前の話

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日本では学歴詐称事件が起こっている。

 

必要な授業の単位を取ってない、つまり大学受験資格のない高校生がいる事が続々発覚。

 

あんまり数が多いものだから、政府としても「もういいよ、とりあえず少しだけ学んでくれれば」という事になった。その「少し」が50時間か70時間かで揉めている。

 

 

 

やっぱり面白い国だね、日本って。政府が作った法律を政府が破ってしまえば、それは違法ではないという事だ。

 

勿論現実問題として生徒は無実の被害者だろう。先生、これで良いのですかと聞いたって、先生が「これで良いのだ」と教えているのだから、抵抗のしようもない。ここでもし先生に逆らって「ちゃんと単位の授業をして下さい」なんて言ったら、その生徒は協調心のない奴として苛めに遭うのだろう。

 

赤信号,皆で渡れば怖くない。でも、緑でも皆が渡らなければ、自分も渡ってはいけない国なんだ

 

法の下の平等や公平が存在しない国。政府に従って違法行為をやれば免罪になり、政府に逆らえば合法でも無理やり違法にさせられる。それをマスコミに訴えようとしても、マスコミが政府の広報機関になっているから、当然そんな弱者の意見は潰される。

 

真面目に個性を持って生きる事を一切認めない国。そんな国で、外国では全然使い物にならない大卒と言う肩書きを付ける為だけにお受験に血眼になる親。そして試験に苦しむ子供は、親を焼き殺して家庭は崩壊する。

 

この問題では、きっこや勝谷誠彦のブログが詳しいが、とにかくはっきりしたのは、日本では法律よりも政府=お上が偉くて、お上がやる事は何でも正しくなるって事。だから日本で法律を守らねばならないのは、お上が守れというからであり、社会的な合意事項だから守るのではないし、民主主義でもない。

 

自分が法律を守る事で相手にも法律を守ってもらうという社会的公平の原則も、お金や社会的地位に関係なく法律は誰にも平等に適用されるって言う原則も、そこには存在しない。

 

いやいや、今年はライブドア事件から村上事件、藤田耐震偽装事件と、よくもまあ今後の日本の行き方が明確になることをやってくれたものだ。これで日本は、昭和初期に逆戻りだ。官僚にとっては古きよき統制国家の出来上がりだ。

 

今から6年前に僕が書いた文章が残っている。

 

***2000年5月 マニュアル人間***

今日本で起こっている現象は、血の流れない革命である事を認識しているだろうか?維持しながら刷新していく作業では、人の血が流される事はないが、今まであった多くのものが抹殺されて「過去の遺物」となって博物館に飾られていく。

 

「昔はサラリーマン企業戦士という階級があって、日本人の80%はそう言う人だったのよ。見て、この疲れた顔でよれたネクタイして、居酒屋では上司の悪口言いながら昼間は部下いじめをしてた人たち。」そう入館客に指差される日も遠くないであろう。

 

明治維新では45年の間に多くの既存階級(武士・公家)が時のかなたに流されていった。平成維新では昭和にすがり付いて終身雇用と年功序列を信じていた企業戦士階級(サラリーマン)が流されていくのである。

     ***

 

当時は「血の流れない革命」と書いたが、実際には自殺という形で多くの血が山手線を流れている。血まみれ電車は、それでもサラリーマンをすし詰めにして運ぶ。あなたが触っているその電車の扉側の手すりには、どこかのサラリーマンの血が飛び散っているかもしれない。

 

そしてもう、サラリーマンと言う安定した層は破壊され、社会が二極化されて、お上と領民しかいなくなる時代が来た。理屈を無視してお上につく為に受験勉強をして人間性を失うか、それとも自分の生き易い世界を選ぶか、それは自分の選択に任されている。本当の意味で自己責任の時代が来た。

 

写真はオークランドのゴミ箱。捨てられないように気をつけようっと。

 

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tom_eastwind at 00:03│Comments(0)TrackBack(0) 移住相談 

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