2006年11月11日

邪馬壱国は博多にあった。

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邪馬壱国は博多にあった!

 

「日本古代新史」古田武彦

 

1991年に初版発行、その後何度か増補され、2006年の現在も販売されている人気歴史書。ある古代史研究家が、中国の三国志や魏志倭人伝、その他の資料を謎解きのように分析する本だ。読んでて、まるでミステリー小説の謎解きみたいで、分りやすくて楽しい。

 

彼はまず邪馬台国という名前の国が存在しなかった事を謎解きする。

 

そして現在の天皇が万世一系の、つまり日本列島を最初から唯一の王様として君臨してきたという従来の「天皇一元史観」である「皇国史観」を根底から引っくり返す本。

 

 

 

先日の「銀座の怪人」では、絵画ビジネスを通して裏側の日本社会を暴露していたが、今日は天皇の出自を暴露する本。

 

この辺の本は、前回の日本出張でまとめて購入した数十冊の一部だが、読む順番を特に決めてないのに、何となく暴露ものの「流れ」を感じるな〜。これって、藤田さんの告発している、政府による耐震偽装隠蔽事件が招いているのかな。

 

さてこの本。様々な「歴史的に事実と言われてきた事」を次々と新解釈で破壊していく。そして誰が何故嘘の歴史を作ったかかという点まで種明かしする。

 

そこで明かされる秘密は、最後に書くが、現在の日本政府が抱えている問題と、見事に合致する。本が書かれた1990年代に彼が指摘した日本の問題が、実は今も残っているのだ。

 

☆まずは遣隋使の歴史的事実から、彼の主張を書いていこう。

 

「推古期、聖徳太子は遣隋使(けんずいし)を派遣した」という話は、普通に日本史を勉強した人なら、なんとなく頭に入ってる。でもこれは全くの嘘。小野妹子は遣唐使として唐に派遣されたのであり、遣隋使は、聖徳太子によって派遣されたものではない。

 

では誰が遣隋使を派遣したのか?それが博多湾を中心として、東は大分、西は佐賀、南は熊本まで傘下に置いた古代の大国からなのだ。その大国の名前は、本当は邪馬壱国(やまいちこく)であり、邪馬台国ではない。(この、佐賀とか大分ってのは、彼が作った地図を見て九州出身の僕が判断したことで、もしサイズ的に違ってたら、作者ではなく僕の責任です)

 

実はその当時は、九州の筑紫を中心とする倭国=邪馬壱国以外に、その分派である神武天皇が作った、本州西部を支配する日本国があったのだ。つまり今で言う日本は、当時はス少なくとも二つの別々な国だったのだ。このような歴史的事実を、一つ一つの資料を基にきちんと分析しながら大胆な結論を出している。

 

 

☆そして邪馬台国という名前は存在しなかったという理由。

 

邪馬壱国(やまいちこく)とはっきり魏志倭人伝に書かれていたのに、それを後日の歴史学者が邪馬台国と書き直したのは、ヤマトという発音に似せる為。ヤマトは天皇の作った国家であり、その「正史」と魏志倭人伝の発音が合うような漢字を持ってきて整合性が取れるようにしただけだ。

 

これも分りやすい説明だ。詳細は読んでもらえば分る。

 

☆神様=天皇が初めて日本を訪れた、つまり日本支配にかかった時の文章が古事記に描かれている。

 

古事記の神代巻では「筑紫の日向の高千穂のクシフル峯に天降りましき」という文章がある。筑紫は福岡県、日向は福岡と糸島の間にある日向山とその峠、高千穂とは高い峯の一般的呼称、これが高祖山連峰を指す。クシフル峯は昭和の初めに編纂された糸島郡史に、クシフルという地名が書かれている。

 

そして「此の地は韓国に向かい」という文章が出てくれば、グーグルの地図検索をやらなくても、それがどこに当たるかは誰でもわかる。まさか関西の山の中から韓国が見えると言う人はいないだろう。

 

そして本にはこれでもかという程の学術的資料が出てくる。銅鐸、弥生鉄器、ガラス勺玉の出土分布、那珂川と御笠川に挟まれた地域、今の博多駅から福岡空港、春日、そして大宰府までに次々と発見される矛等の出土分布。

 

それでは何故、このような歴史的事実を無視して、無理やり現在のような歴史を作ったのか?これは、近畿に天皇がいて、彼らは最初から日本全部(ここがポイント、九州の邪馬壱国は存在していない事になっている)を統治していた、だから天皇は偉いんだいという、嘘で固められた「天皇史観」が最初にあるからだ。

 

だから時の政府は天皇史観に合わない事実をすべて無視、又は「誤訳」として処理する事で、歴史的な事実を歪曲する事で起こった、国家における最大規模の歴史偽造事件として取り扱うべきであろう。

 

作者は著書の中で何度も「別に天皇を批判しようとしてない、ただ歴史的事実を事実として、学者らしくしっかり議論しようよ」と言ってるだけだ。議論を通じてどちらが真実かを語ろうと言ってるのだ。このあたり、韓国が日本の歴史を否定するだけで,一切の議論をしようとしないのと良く似ているな。日本も、あまり偉そうな事を韓国にいえないジャンか。

 

更に僕は、このように政府が歴史を歪曲する事は、事実を知った国民に不審や不安を抱かせるだけであり、これによって「何だ、政府なんて適当に嘘付いてるんだから、俺も適当にやってしまえ」と、国民から真実を追究しようとする心を奪い、日本人をいつまで経っても政府の家畜や奴隷並にしか扱わない事で、結局は日本人の独立心を奪い・・・・あれれ、こんな文章、以前も書いたぞ。

 

ところが、藤田社長が告発した政府による偽装隠蔽事件の時も、結局マスコミは取り上げず潰しにかかっている。その時も結局は「まず政府の決めた事実ありき、それに逆らう事は一切認めない」という姿勢だ。

 

つまり日本では、何よりもまず「お上が決めた事実」があり、それに追従する事が国民に課せられた義務であり、それが事実かどうかを検索する事は領民には認められていないという考えが、2千年前から存在するという事だ。長いものには巻かれろ、お上が一番思想だな。

 

勿論国防の問題等で、国民にそのまま知らせるのが問題である情報を一定期間隠蔽する必要もあるだろう。しかし、その「事実を作った人物」の判断が実は間違っていたら、誰が責任を取るのだ?今回の藤田事件のように、役人は権力はあるが責任は取らないという事になるのか?

 

そしても一つ、情報を隠蔽する必要がなくなったら、本当の情報を国民に伝えるべきではなかろうか。

 

この本に書かれている事が歴史的真実かどうかは、僕も不明である。ただ、この本を読む限り、作者の意見を傾聴したい。少なくとも政府お抱えの歴史学者は、再度歴史検証をやるべきではなかろうか。

 

これも何か、どっかの偽装事件と同じ文脈だな。藤田社長によって偽装物件と指摘されているマンションが、偽装でないかどうか調査すればよいだけだ。なのに放置して「安全です」の一言では、「偽装やりました」って言うのと同じだね、

 

でもって、日本全体の治安を守る為にやった事と言っても、もう数百年以上も経ったのだから、そろそろ事実を国民に公表しても良いのではないか?それが出来ないのは、「先輩のやった事にけちをつけない」という、日本人独特のな〜な〜思想があるからではないか。

 

だって、今更天皇家が「いや〜、実はね、血統が途中で切れてるんですよ(本参照)」とか「いやね、元々九州の邪馬壱国の分派だったんですよ、天皇家は(本参照)」と発表されても、それで「じゃあお前らは皇居から出てけ!」なんて言う人はいないでしょ。

 

少なくとも多くの国民は、彼らの存在を認めているし否定してないし、実際に今は海外に出張して日本の国威を高揚してくれてる象徴なのだからいいじゃんか。

 

事実を暴露したところで、そんなもん30年前の若かりし頃の浮気を旦那が奥さんに白状するようなもんだ。離婚までされる事はないって。

 

それくらい国民を信用して欲しいね。政府が思うほどに、国民は馬鹿ではないと思うよ。

 

まあ個人的には、初めて東京に行った時、東京は土地が少ないって思ってたのに、その東京のど真ん中に物凄く広い土地を持ってるおじさんたちがいるなんて、すんげ〜な〜と思った記憶はある。

 

米国の国家機密情報でも、数十年すれば公表される。それが最終的に国民自立の為と分っているし、民主主義とは、民衆が事実を知ることによって初めて正しく運営されるものなのだから。

 

あれ?それとも日本が民主主義だと思ってたのは、僕だけか?

 

今もまだ民主主義じゃないのかもしれんな。そうだそうだ、だから真実を語る藤田さんが天下のマスコミに無視され、それに対して国民が問題にしないんだもんね。

 

それは、マスコミや国民自身が、日本を民主主義と認めてない証拠だ。て〜ことは、これから先も天皇の正体の再調査は行われないし、出自の暴露はないわけだ。

 

いずれにしても、邪馬台国ものの一冊として、先入観念なく読んで見ると面白い本だ。

 

写真は魏志倭人伝の一部。力強くて綺麗な字ですね。古の人の知性を感じますわ。

 

12月03日は東京汐留で第20回ニュージーランド移住説明会を開催します。中国から移住してきた神武天皇や土着の邪馬台国に興味がない人でも、NZ移住に興味がある方、ぜひご参加ください。

 

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tom_eastwind at 00:05│Comments(0)TrackBack(0) 最近読んだ本  

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