2007年02月22日

地震だ〜!

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オークランドにて昨晩8時から9時にかけて地震が発生した。

 

リヒタースケール4.5と3.5とか、発生した時間によって少しずつ違うようだが、いずれにしても、僕も家族も料理や食事をしていた時間帯だが、全く揺れを感じなかった。

 

というのも、震源はオークランドから東北方向に30km以上離れたハウラキ湾の海底だった為、僕の住んでいるノースショアの陸地に「揺れ」が来る頃には、もう随分ちっちゃくなっているからだ。

 

NZdaisukiでも「たった今地震ありました!」って書き込みが入ってるけど、感じてない人のほうが多いのでは?と思うくらい。

 

今朝も出社して東京出身のスタッフに聞くと「そうらしいっすね、全然分かんなかったっす」と恥ずかしそうに言ってた。

 

でもって地元の新聞では「1970年以来の大地震」とか「慌てて道路に飛び出す住民」とか、にぎやかに記事を書いてる。

 

う〜ん、主観の相違?地震の感覚が違うのか?

 

お客様がニュージーランドに下見に来る際に必ず聞くのが、「ニュージーランドは地震がありますか?」である。ほぼ100%の確率で聞かれる。

 

僕はニュージーランドの歴史を基に、「地震は一応存在します。100年ほど前にマオリ村が火山爆発で灰に埋まったり、ワイテマタ湾に浮かぶランギトト島は、鎌倉時代頃に海底火山の爆発で出来た島です」と話す。

 

そして同時に、自分の主観として「でも僕自身はオークランドに住んで10年になりますが、地震を感じたことはありません。実際にちっちゃな地震があったと一回だけ聞いたことがありますが、それも僕自身は感じてません。住宅の耐震基準も、あまり考えてないような構造です、それは地震が殆ど発生しない事を前提にしているんじゃないでしょうか」と答える。

 

この二つの回答を聞いてそれをどう解釈するかはお客様次第だ。

 

ただ、大事なのは、客観的事実と自分の推測や体験は切り離して説明すること。犬も倒れるワンパターンなのは、感情だけで話す人の、とてもとても多い事。

 

「ねえねえ聞いて、昨日地震があって大変だったのよ〜、もう、犬は走るし猫は踊るし、私もび〜っくりよ!」なんて言われても、全く具体的でない。犬は走るのが仕事だし、猫は地震がなくてもぴょんぴょん踊っているものだ。

 

ところが、これを聞いたそそっかしい人は、更にこの話を広げて

「ねえねえ、オークランドで大地震があったらしいわ、もう大変で、動物が逃げ出したらしいわよ、人間も道端に飛び出るようになったのよね〜!全く、怖い話だわ〜!」となる。

 

挙句の果てには

「オークランドで動物園から猛獣が逃げ出したのよ!もう街はパニック状態で、人々が町中を逃げ回っているらしいわ、こりゃ大変、警察がどうして出動しないのかしら〜、全く、ニュージーランドの警察は何やってるのよ〜!」みたいに、意味不明かつ無意味な感情の流れで、訳の分からんことを犬みたいにぎゃんぎゃん吠えまくるという事になる。

 

daisukiの掲示板で書かれた事を読んで、日本感覚で日本にいる人が更に輪をかけて

「何よこの国の危機管理は!こんな恐ろしい大地震があったのに、津波警報も出さないなんて、何よ〜!」と怒り出す。

 

地震に注意するのは日本人としてごく普通だ。何せ地震+雷+雨+嵐、津波に雪崩れにサリン事件と、日本は災害大国である。おうおう、それに年間3万人の自殺者を出す人災大国でもある。

 

道を歩くときは常に天候に気をつけて、仕事をする時は常に政府の動向に注意しながら、リストラに遭わないように生活しないと、いつ災害に巻き込まれるか分からない。

 

但し、あまり気をつけすぎても、今度は何も出来なくなって、怖くて家から一歩も出られなくなる。ところがそんな時に限って自分が住んでいるアパマンション。一歩も出ないで安全と思ってたら、マンション崩壊の危機に晒されている事に気づく。

 

結局どこにいてもある程度の危険は付きまとう。オークランドにいても地震はあるのだ。だから、一番大事なのは危機管理である。

 

危機は常にあるものと割り切り、その為に客観的な情報と主観的な推測や体験をきちんと切り離して管理する事だ。

 

日本人は日常生活の中でも完璧を求めるし潔癖だから、少しでも汚いとか危険があると、異常なほどに反応する。それはそれでよいのだが、大前提として、危険のない世界など存在しないと言う事に気づくべきだろう。

 

生活には常に危険が存在すると言う事実を基本にして、じゃあどう対応するかを考える。でも、あんまり考えすぎても、生きている楽しみがない。だから、適度に危険も受け入れながら、危険に耐性を持った精神力を培えば、少々床が揺れてもどうにかなるものだ。

 

それともうひとつ。日本人は、他人の言葉を平気で信用する。特に新聞に印刷されたら、ほぼ確実に信用するが、ニュージーランドの新聞は、裏づけ調査などの綿密な取材をせず、写真週刊誌並みの主観的記事を書くのが得意だ。

 

だから英語をいくら読めて新聞を読む能力があっても、肝心の英語のねた自体が間違いだという事に気づかないので、デマや誤報に振り回されることになるから要注意。

 

お時間のある方、英語の記事とNZdaisukiの書き込みを読み比べてみれば面白いですよ。

 

写真は、僕のオフィス(七階)の窓を外側から拭いてくれる、ロッククライマーのお兄ちゃん。サングラスにヘルメット姿で、ロープ一本のみを使って実に器用に窓を拭いていきます。こっちと視線が合うと、にこって手を振ってくれる。日本だと、こんな危険な窓拭きは考えられないだろうな〜。

 

でも、スポーツ大国ニュージーランド、世界で始めてエベレスト登頂に成功した国の人間としては、十分に受け入れられるリスクなのですね。

 

あ、そういえば地上では「上から水が落ちてくるかもしれないので、気をつけてね」というサインボードが出てるのみ。濡れても文句を言わないのがキーウィ流ですな。

 

 

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tom_eastwind at 11:58│Comments(3)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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この記事へのコメント

1. Posted by May   2007年02月22日 20:48
去年の9月に、クライストチャーチにいん石が落ちた時、必死でご飯をかきこんでて気がつかなかったのは私だけで、笑われた・・・。
2. Posted by 自己矛盾おこしてますよ   2007年02月23日 05:20
危機管理が大事というなら、その危機管理が出来てないNZのアパートマンションは安全といえるのでしょうか?
3. Posted by kimama   2007年02月23日 15:43
「危険のない世界など存在しない」「生活には常に危険が存在すると言う事実を基本にして、じゃあどう対応するかを考える」「適度に危険も受け入れながら、危険に耐性を持った精神力を培う」これらは、どの国で生活するにせよ、生きていく上で必要な知恵だと思いました。
思考力を麻痺させないことが大切ですね。

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