2007年02月28日
フラットメイト効果
昨日、日本のワーキングプアの問題を書きながら、ふと思った。
「何で日本にはフラットメイトの習慣がないのか?」
ニュージーランドではフラットメイトと呼ばれる若者同士の同居システムがあり、これが個人の家賃負担を引き下げる大きな要素になっている。
まずは収入の話。
ニュージーランドの2007年4月から改定される新最低時給は11.25ドルなので、円換算すれば大体1000円である。これは、東京都も含めて日本全国どこの地域別最低賃金よりも高い。
東京は719円、大阪は712円、福岡は652円、最低は沖縄の610円だ。(所定内賃金なので交通費、残業手当は含まれていない)
だから東京で最低時給で一時間働くよりも、ニュージーランドのマックで一時間働いたほうが、確実に稼ぎが良い。
では支出はどうか?ここでフラットメイトが出てくる。
都会、例えば東京一人暮らしで住む場合、一番の支出は家賃である。一人暮らしで三軒茶屋だと一ヶ月8万円。もちろん上を見ればきりがないが、8万円と言うのは独身一人暮らしの数字ではないかな。
オークランドのシティ内、つまり、シティのどこのマックで働いても徒歩で通える圏内にあるアパートは、2ベッドルームなら、安いものなら週300ドルで見つかる。日本のような、座る場所のないようなマンションではない。リビングルーム+ベッドルームx2だから、もうちょいゆったりしている。
月で計算すれば1200ドルだから、家賃が約11万円という事になる。交通費がかからないものの、一般的な東京山の手線内の家賃よりは高い。
でも、この家賃が半額、もしかして三分の一になるとしたら?
実はニュージーランドやオーストラリアなどでは最初に書いたフラットメイトというシステムがあり、要するに見知らぬ男女が一つ屋根の下で一緒に生活するという形態だ。
これだと、11万円の家賃が、半額の5万5千円で済む。もし彼氏と一緒に住むなら、更に半額で2万7千5百円だ。一ヶ月3万円以下で、東京で言えば銀座4丁目のマンションに住めると思えばよい。
こうなると、収入は多いが支出は少なくなるので、東京での一人暮らしよりも、よほど楽しい生活が出来る。
フラットを借りる仕組みは下記のようになっている。
まず最初に投資家が投資用のアパートを購入する。ちなみにこちらのアパートとは、日本で言う一般的なマンションの事だが、英語を母国語とするキーウィは、アパートの事をマンションと呼ぶなど、自分の嫁さんに小野小町かクレオパトラと言うようなもので、恥ずかしくってやってられない。日本に住むキーウィの間ではジョークになってるかもしれない。
話を戻して、投資家は自分で購入したアパートを、Herald新聞や当社のような情報センター、インターネット掲示板で宣伝する。それを見たフラット入居希望者=独身若者層が、オーナーと契約する。
例えば300ドルで2部屋のフラットを借家希望者が契約した場合、希望者をフラットオーナーと呼ぶ事があるが、彼または彼女は更にまた貸しという形で広告をして、誰でも良いから入居してって、テナント募集をかける。
この際、フラットオーナーは誰も入らなくても家賃全額払うリスクがあるので、テナントの家賃は高めに設定する。例えば300ドルの家賃なら、フラットオーナー負担が120ドルでテナント負担を180ドルと言った感じだ。
または、オーナーが一部屋づつをテナントと直接契約するケースもある。この場合は、各部屋ごとのサイズなどにより家賃が変わる。
この契約については日本と違い、オーナーに絶対的な権利があるので、日本で言う借家権などは殆ど存在しない。
だから、オーナーが気に食わないテナントがいたら、いつでも追い出せる。あのがき、タバコは室内で吸うなって言ってるのに吸いやがった、退去だ!そう決めたら、即日退去させられる。
もしそれでテナントが抵抗すれば、警察が来て「Trespassing=住居不法侵入罪」の罪で逮捕してくれる。なんとオーナーに優しい国だ。だがまあ、これも本題ではない。
本題は、知らない者同士が、性別に関係なく一つ屋根の下で共同生活をする事によって、生活費の中の大きなウェイトを占める家賃の削減に繋がるということだ。
勿論家賃以外にも、食費が大きな支出だが、これはニュージーランドの場合、食料自給率300%と言う中で、日本より安くてたくさんの食材が買えるので、問題ない。
耐久消費財などの冷蔵庫や洗濯機は、大体フラットに予め付いている。オーナーが貸し出し用に用意しているのだ。こうすれば、部屋を借りる方は、体ひとつで入居出来る。
だから安く生活しようと思えば、フラットメイトというシステムは、実に合理的に出来ている。
何でこのシステムが日本、特に東京で広まらないのか?それは日本人特有の内気なせいなのか、政府のせいなのかよく分からないが、ワーキングプアが広がる中、ひとつの解決策として提案されても良いのではないかと思った。
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この記事へのコメント
京都の七条にKen's houseだっけか、NZ風バッパーがあり、高校時代の同級生が遊びに来たときに、そこを予約したら、すごい白い目で見られた・・・。 それだけ、日本はOpenじゃないってことかな。