2007年03月14日

堤防

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新幹線で品川を出ると、途中で大井川とかあちこちの川で堤防が目に付く。東京都内にも堤防はたくさんあるのだろうが、日頃仕事で回る汐留や恵比寿ではあまり見かけることがない。

 

僕は、山を切り開いて人工的に作られた団地の育ちなので、治水とか堤防と言うものに対する理解が薄い。

 

伊勢湾台風など災害の多い日本では、江戸時代の頃から加藤清正のように、戦争にも強く築城も出来て、そして治水が出来る政治家が優秀と言われて、実際に中部地方では治水が大きな政治問題だっと言うことだが、九州の田舎育ちでは、やはりぴんとこない。

 

大体、川の水位よりも低い土地があるってのが不思議で、「だったらそんな場所に住むなよ」と思うのだが、住んでる人からすれば「イラン世話」なのだろう。狭い土地を有効活用しなければ、1億2千万人が住むことは出来ない。今更国土が狭いからと、満州を再開発するわけにもいかないしね。

 

ニュージーランドにも川はたくさんある。数年前は北島のワイカト川が氾濫して、川に沿って走る国道が水没して、牛が水死するという事件があった。

 

でも、そんなのは頻発する事件ではないし、その事件の時も、川の氾濫に対する驚きよりも、航空写真で見たワイカト川周辺の湖状態の景色に思わず「ほ〜、すげえな」と思ったくらいだ。

 

洪水が引いた後にお客様とロトルアに行く途中、バスの運転手が明るい声で「ほら、ここらあたりが水浸しになったんだよ」とマイクを通して話しかける。

 

おいおい、君は洪水の間、仕事がなかったんだよね、随分楽しそうに話してるけど、生活感、漂ってないね〜と、思わず笑ってしまった。

 

結局、水が自然に引くのを待って、道路が再開されたが、その後も何の工事も行われずじまい

 

これに限らず、ニュージーランドでは自然災害に対して「笑って過ごす」傾向があると感じる。日本だとすぐに「政府の管理が杜撰!」とか、誰かの責任にするが、ニュージーランドではあまりそういう事は言われない。

 

ただ、米国のニューオーリンズで発生した大洪水では米国政府の管理の甘さが批判されたが、その意味で言えば日本政府はよくやっていると言えるだろう。伝統的に治水管理という感覚が肌にしみこんで、やるからには徹底的にやるという、良い意味での日本人感覚が生かされているのだろう。

 

NSPは国家安全計画と言う意味ではなく、ニューサディスティックピンクという1970年代のフォークソンググループだが、彼らの歌に「田舎の堤防夕暮れ時に、こんな河原の〜」と言う歌がある。

 

詰襟の学生服姿の少年が、セーラー服の女子生徒と、恥ずかしくて手もつなげないけど、そばにいるだけでうれしいと言う気持ちが、よく伝わってくる。昔から日本人が川と堤防に慣れ親しんでたんだなという感じのする歌だ。自然と言うよりも、自然と共生しようとする日本人を感じる歌。

 

今日は名古屋から長野まで「しなの7号」で移動。中津川あたりから段々と山が近づいてきて、トンネルも増える。

 

冷え込んだ空気のせいか、白く泡立つように見えるひんやりとした水が流れる川は、深くえぐれるように大地を切り裂いて流れている。

 

昨日から降る季節はずれの大雪のせいで、空はどんよりとしているが、中津川のあたりではまだ、山の頂上にも雪を見ることはない。

 

山を切り開き、段々畑と農家が続く景色。険しい山沿いに、山肌を削り取って作られた道。山肌に沿ってコンクリートで作られた補強壁が続く。昭和の土建国家と江戸時代からの農業や林業が、不自然に肩を並べている。

 

山肌と深い川を見ながらふと、数十年前の事故を思い出す。僕が旅行業界に入る前の事故だ。

 

飛騨川バスバス転落事故があったのは、貸切バスを強行突破で走らせたからだと、添乗員の責任が問われた事件があった。この時国会では中曽根さん(元首相、当時は運輸大臣)が「団体の管理が民間会社の添乗員にできるわけがない、あ〜いうものは、自衛隊か警察しか出来ないんだ」と言ってた。

 

狭い国土を出来るだけ有効活用しようとする段々畑、住める土地を広げようとする堤防、物流改善の為に国土のあちこちに作られた道路。いろんなものが混ざって出来上がっている土地。

 

いつもの新幹線と違って、日本の美しい自然、そこに住む人々の顔が見えるような電車の旅だった。南木曽を過ぎると、そろそろ山の頂上が白くなる。

 

ところで一つ質問。日本では治水にお金をかけるけど、何で治安にお金はかけないのか?

 

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tom_eastwind at 00:39│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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