2007年04月03日

テレビを見る人々

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最近どのお客様と話していても感じる、大きな共通点がある。それは、彼らは殆どテレビを見ないという事だ。

 

「子供の教育には良くないし、学べるような番組もない」、「内容のしっかりしたドラマもない、ニュースにしてもあれだけ嘘がまかり通るようだと、見てても意味がない」だから自然とテレビのスイッチを入れなくなったと言うのだ。

 

テレビは、戦後に新聞社から生まれて、新しいメディアとして出現して、つい最近までは茶の間の中心に座っていたが、それがどうも不調だという話を聞く。

 

なぜ不調か?一番の理由は番組の質の低下にある。

 

それはテレビ局がありもしない視聴率というお化けを追いかけていった結果だが、そうなった原因は、視聴率調査会社の視聴率の「調整問題」(視聴率率を調査する会社は現在日本には実質的に一社しかない。その会社の30%以上の株を持つのが電通)は別にして、テレビが「大多数の人々」を対象にしている限り、相対的に頭数の多い、テレビに映ればなんでも真実と思い込む、テレビ教信者向けに番組が作られるからだ。

 

馬鹿も利口も選挙じゃ一票ってやつで、誰でも良いからたくさんの人に見てもらわないと視聴率も伸びず、広告が売れないもんね。

 

企業は、自社で作ったテレビ広告が本当に効果があって商品が売れているのか、それとも商品自体が良くて売れてるか分からず、結局視聴率に頼るしかなかった。

 

そして広告主を大事にする電通等の広告代理店は、更に広告主に気を使い、とにかく視聴率の高い番組に広告を入れるようになる。その結果、少数派である知識層が納得するような題材よりも、笑いが取れる大衆向け番組が売れるようになる。

 

そういえば最近のインターネット記事で見かけたが、日本テレビの去年の暴走族取材でもやらせがあったと言う。報道取材でさえ「やらせ」をするわけであり、そこにはすでに、真実を報道する「ジャーナリズム」は消え去り、視聴率のみを追いかける「商業メディア」のみが残骸のように残っているという事を、賢い人々は見抜き始めたという事だろう。

 

何度も書くが、あるあるを見て納豆を買うようなテレビ教信者が、テレビの言うことを信じて政府発表を信じる。ところが少数ではあるが、自分で考える力を持っている人々は、テレビ発表をそのまま信じることは、まずない。

 

だって彼らは自分の知識と思考力で考えるから、テレビがどれだけ国民向け大本営発表を行い、それが嘘に満ちているか、よく知っているからだ。

 

例えば耐震偽装事件でも、インターネットではどんどん新しい事実が出るのに、広告主や政府の圧力を受けた商業メディアは、政府の言うことしか書けない。

 

記者クラブというものも、政府の気に入った記者しか入れず、そこに入らなければ取材さえ出来ないので、自然と政府の発表をそのまま記事にするだけという事になり、真実を追究するという本来のジャーナリズムはなりを潜めて、大本営発表の手先と成り下がっているだけだ。

 

マスコミをあまり信じない人々にとっては、むしろインターネット情報の方が分かりやすい。何故なら、インターネット情報は、読むほうに一定の知識があれば、それこそ無料の有益情報として活用出来るからだ。

 

インターネットは取捨選択だけしっかりと判断できれば、非常に有効な情報収集手段である。ただその特性として、情報を受ける側が能動的でないといけないという事だ。

 

これはウェブ進化論でも述べられているが、テレビはスイッチを入れてるだけで情報が自動的に流れてくるので、考えなくても良いという性質を持つ。

 

それに比べてインターネットの場合は、自分が目的とテーマを持って検索しなければ、データが出てこないと言う点にある。だから最初から検索する目的もテーマもなければ、情報が全く存在しないのと同じという事になる。

 

最初からそこにあるのに、調べる技術がない人、調べる気力がない人が、テレビの情報だけを耳と目に入れて、何の疑問も持たずに信用してしまう。

 

当社でも3年ほど前かな、クライストチャーチの田舎新聞のヤラセ取材でとんでもない騒ぎになった事がある。

 

元々ありもしない事を勝手にでっち上げて、その後も事実と全く正反対に書かれた捏造記事が、たまたま記事ねたがなくて暇だったTV1に取り上げられて、瞬く間に全国版にまで掲載された「インターンシップ事件」だが、あの時も随分と何も知らない人々がはしゃいだものだ。

 

記事の始まりは「夕方の公園に一人で寂しそうに座っている日本人女性を、キーウィの老夫婦が不思議に思って声をかけて家に連れ帰った」とあるが、おいおい、その老夫婦の家に当社の手配で一ヶ月前から住んでたのは、その日本人女性でしょ。一体どうやって公園で「発見する」の?

 

そして、その嘘を前提に、当社が有料で手配を行ったインターンシッププログラムと、それを受け入れて3ヵ月後にワークビザを発行する予定だった、ある高級ホテルが叩かれたのだ。

 

冗談じゃない、英語学校に行くよりも、無給のホテルベッドメイキングでもキーウィと働くほうが英語の勉強にもなるし、きちんと働けば3ヵ月後にはワークビザも取れる、そしたらその後、レストランやフロントにも行ける、だから是非とも参加させてくださいと言ったのは女性のほうである。

 

ホテルからしても、当社が最初にフィルタリングをかけて、更に3ヶ月の採用をしてみてワークビザの手続きが出来るので安全である。

 

そのような事情を一切書かずに、とにかく悪徳業者がホテルと組んで、いたいけな若い女性を金を取って仕事をさせたという筋書きのまま、話がどんどん進む。

 

彼女もきちんと老夫婦に説明すれば良かったのに、あまり英語が上手でなく、周囲の雰囲気に巻き込まれ、どんどん大きくなる話を途中からNOとも言えず、止める事も出来ずに大変な騒ぎになった。

 

結果的に労働局も移民局も「まったく問題なし、継続してください」となったが、ふざけんな、一度新聞で叩かれた被害は、一体誰が補償してくれるんだと思った。彼女も最後にはお詫びしてきたが、一番酷かったのは、事件を最初にでっち上げたホストファミリーである老夫婦だ。最後に会った時に、「またよい子がいたら家にホームステイさせてね〜」だってさ。呆れたもんだ。

 

一番可哀相なのは、このプログラムでワークビザを取得する予定だった、他のインターンだ。彼らは結局この騒ぎのおかげでプログラムに参加出来ずビザも取れず、日本に帰ることになった。

 

よく言われるが、マスコミは手抜きをしないといけないほど忙しいのか知らないが、とにかく自分で勝手に筋書きを作って、都合の良いところだけを抜き出して記事を作る。それでも足りなければ捏造してしまう。

 

ところが読むほうは、他に情報がないから比較も出来ないまま、その記事を信じるしかない。

 

それに比べれば、インターネット情報は膨大であり、一つの事象に対して右側左側から違う意見が出てくるし、一つの事件を四方から見渡して判断することが出来るから、判断力のある人間からすれば、この方がずっと効果的である。

 

インターネットの特徴はマスコミと違い、放送ではなく通信である。つまり、情報が一方通行ではなく、往復なのだ。だから一人ひとりが自分の意見を発表出来るし、それに対する反論も出来る。だから意見発表をする際(例えばブログやホームページ、ウェブサイト)には、一応自分の意見が理路整然としているか、校正するようになる。

 

そして他人の意見でも、その場で議論しているわけではないので、勝ち負けがないから、割合素直に聞くことが出来る。

 

そうやって出来上がった知識の輪がインターネットであり、そこで提供されるインターネット情報は、結局のところ、数的には少数でも、質的には社会の本質を捉えていたりする。

 

最近ではテレビの調査結果よりもインターネットで調査をした方がよほど正確な答えが出ると言われている。ウェブ進化論でも作者が小泉政権の誕生をインターネットを通じて予測できたと書いている。

 

時代の流れは、これからもウェブ2に向けて進んでいくだろう。その時に要求されるのは、情報を理解する能力だ。それがないままに、無神経にテレビの画面をつけっぱなしにしていては、最後に馬鹿を見るのは本人という事になる。

 

写真は、シティの路上に駐車しているベントレー。新車で2000万円以上するだろうな。

 

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tom_eastwind at 12:17│Comments(1)TrackBack(2) 諸行無常のビジネス日誌 

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1. ホーカー  [ 市橋達也がホーカーを殺人novaは・・・ ]   2007年04月03日 18:30
しまじろう歯ブラシ/暑い4月/あろまろまろま??/[関西テレビ]社長後任に片岡/スケラジ/これで喜んでちゃいけない/テレビを見る人々/豚肉のソテーとサーモンとアボカドの/「あるある」検証番組、なぜ/最近の出来事 ドンッ!/ケロロ軍曹映画化第二弾に/TBS打倒の為のレッスン…国...
2. あるある  [ えなりと彼女のyumiの画像 フルート演奏者 ]   2007年04月05日 16:41
「政治文化情報」4月號/メシのタネ/カレー/しまじろう歯ブラシ/暑い4月/あろまろまろま??/[関西テレビ]社長後任に片岡/スケラジ/これで喜んでちゃいけない/テレビを見る人々/豚肉のソテーとサーモンとアボカドの/「あるある」検証番組、なぜ/新☆スケラジレポ/最近の出来事 ...

この記事へのコメント

1. Posted by あ   2007年04月04日 15:52
5 「あるある」より酷い捏造報道問題を、TBSが今必死になって隠蔽しようとしています。
TBSの不二家に対する捏造報道をぜひ知ってください。
不二家の不祥事は厳しく批判されて当然です。
しかし、やってないことまででっちあげられ「廃業してもらいたい」とまで言われたのでは、不二家の従業員とその家族があまりにかわいそうです。
お願いします。

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