2007年04月04日

自殺か?クライストチャーチの日本人家族死亡

昨日衝撃的なニュースが入った。1980年代にクライストチャーチに移住した家族が、月曜日の朝7時過ぎに自宅のフラットが燃え、死体が4つ発見されたのだ。

 

死亡した4人のうち、50代半ばのご主人と奥様、ご主人の80歳になる母親の身元は確認され、後の一人は現在も身元調査中との事。

 

月曜日の段階では新聞でも憶測記事が出回る。記事では、死んだおばあちゃんは奥様の母親だとか、20歳前の娘が焼死した等と書かれたが、これは嘘。てゆ〜か、要するに新聞社ってのは、以前も書いたがまともな取材はしない。

 

情報のクロスチェックもしない。聞いた事を書くだけで、子供のお遊びとほぼ同じレベルの取材だが、更に輪をかけて問題になっているのが、他殺か自殺か?という点だ。

 

例えばヤフーニュースでは「放火殺人か?」等と書かれているし、英語のニュースでも昨日と今日では随分内容が変わっている。英語で「殺人及び自殺」と「誰かが火をつけた」と言う表現があったので、それをそのまま鵜呑みにして「放火殺人」となったのだろうが、一応公共に提供する記事なら、現在の不確定な段階でそこまで書くことはどうなのか?という気がする。

 

今朝のPressでは、ご主人は元々裕福で、クライストチャーチで旅行会社を一時は経営しており、子供も私立学校に通わせるほどお金があったが、1998年頃に投資をしたビジネスが大失敗して、6百万ドルの負債を抱えていたと言う記事を書いていた。

 

この投資自体は詐欺で、売込みをしたニュージーランド人は2年の罪で刑務所に入ったが、すでに出所しているよね。

 

警察も、昨日から情報が錯綜してすみません、みたいなコメントを出してた。

 

いつも酔っ払った僕を自宅に送ってくれるタクシードライバーのキースと、昨晩車の中で事件の話をした。

 

彼は「信じられない、ニュージーランドでは、お金に困って人のものを盗るような事件はあっても、お金のために家族全員が自殺するなんて、あり得ない!」と言ってた。

 

彼は70過ぎの老人だが、今でも余裕矍鑠(よゆうかくしゃく)としてタクシーの運転をしている。オークランドの人々が自宅に鍵をかけなかった時代からこの町に住んでいる彼からすれば、最近の犯罪の多さにはいつも嘆いていたが、特に今回の事件では想像を超える衝撃を受けたようだ。

 

だって、これだけ社会保障がしっかりしているのに、何で死ぬ必要がある?どれだけ借金があっても個人破産すれば、それで借金は棒引き、2年もすれば、元のようにクレジットカードも持てる。仕事がなければ政府が世話をしてくれるし、給料が安ければ社会保障を受ける事も出来る。

 

困った人のための社会保障ではないか、なぜそれを使わないんだ、どうしても死にたいなら、自分だけ死ねばよい。なんで家族を巻き込むのか?

 

今朝の記事では、子供たちは他の場所にいて今回の事件に巻き込まれてはいないと確認出来た。死亡したのは、妻と母親、もう一人は、今だ不明。

 

80過ぎのおばあさんは、神戸の震災で夫や家を無くしてしまい、どうしようもなくて、今回死亡した息子の家に同居していたらしい。当社クライストチャーチのオフィスに、よく本を借りに来ていたそうだ。

 

「英語が出来ないもんでね、バスも満足に乗れないんですよ、ここで日本語の本を借りて読むのが唯一の楽しみですよ」と、自宅からシティの当社まで1時間、歩いて通ってたそうだ。

 

彼が1980年代に移住をして旅行会社を経営していたとすれば、現地オプショナルツアー運営だろうし、そうなると、僕もどこかで顔を会わせていただろう。当時のクライストチャーチでも、旅行業界に携わっていたのは数十名だからね。

 

ただ、この事件を新聞等で見ながら思った事は、やっぱりニュージーランドは天国ではないという事だ。来てしまえば誰でも幸せになれるか?なれない。来るだけでは駄目で、やはり強くなければいけないのだ。

 

とりあえず日本が嫌だから来ました程度じゃ、それから先に待ち受けている様々な問題を乗り越えることは出来ない。事件の家族も、移住当初は順調に物事が進んでいたのだろう。

 

でも、人生はどこに落とし穴があるか、本当に分からない。今回の彼も、もしキーウィの仕掛けた詐欺にはまらなければ、今も幸せに生きていただろう。

 

子供を私立に通わせてたというのは、かつては随分資産があり、豊かだった筈、ところが最近はフラット住まい、それも3ヶ月以内に退去してくれと言われてたらしい。

 

ご主人は、最近まで地元の会社の運転手で生活の糧を得ていたそうだが、50過ぎで英語もあまり上手ではなく、仕事をするにも随分と不自由を感じていただろう。

 

彼らにとって日本に帰るという手段はなかったのだろうか?年齢的にも日本の年金を放棄していたのかもしれない。ただ、クライストチャーチに残るにしても、子供はすでに20歳前で立派な大人なのだから、家族全員が働けば、食べていくには困らなかったはずだ。

 

借金はご主人だけが抱えるもので、家族には関係ない。だから本人が自己破産をして、後は家族全員で働けば、何も問題はなかったはずだ。

 

もっと言えば、1990年代には自宅を数軒持っていたそうだから、早いうちに家族信託会社を作り、そこに資産を移しておけば、例え本人が自己破産をしても、資産は全額守られる。母親も子供も妻も、それまでと同じ生活を続けることができたのだ。

 

何でそういう、家族を守る為の技術を、裕福なうちに学ばなかったのか?時間は十分にあったはずだ。いろんな選択の余地があったろうに、最悪の結果を招いた今回の事件。

 

何故もっと生きてるうちに強くならなかったのか。生きてれば、どんなやり方でもあるのに、全く悔やまれる。僕ならそのような状況に対して徹底的に戦うし、知恵を絞って手段を打つだろう。

 

子供さんたちは今、クライストチャーチの警察で事情聴取を受けているようだ。子供さんが助かっただけでも、まだ救いだが、彼らの心には一生忘れない傷になる。

 

いずれ詳細が分かるだろうが、新聞記事の取材のいい加減さと、亡くなった方には申し訳ないが、結局子供の心を一番傷つける事になった事件だった。

 

今日は、写真もクリックも貼り付けたくない気分だ。



tom_eastwind at 10:47│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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