2007年04月09日

ニュージーランドの経済改革

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今日はEaster Monday だが、日本から初めてニュージーランドに下見に来たお客様に同行して一日過す。

このお客様は、今すぐの移住ではなく、5年後とかを視野にいれながら、まずはどんな国なのか見てみようと、日本からパッケージツアーでやってきた。物価、治安、雰囲気、景気、とにかくまずは基本的なデータを押さえておきたいという事だ。

最初は南オークランドを見てもらい、この国の格差を少しでも理解してもらい、犯罪は普通にあるし、夜中に歩くとやばい地域もある事を説明。

その後ボタニーダウンの新興住宅地やショッピングセンターを案内しながら、最近の景気について語る。

するとお客様は、昨日空港からシティに来る時に若い日本人女性ガイドから聞いた話として「ニュージーランドはバブルなんですか?」と質問される。

この質問、もう100回くらい答えた気がするな。お酒を飲んでる場で知り合いに聞かれて、説明がめんどくさい時は「じゃあバブルって何ですか?」と聞き返すことにしている。

ガイドさんって、今何歳なんでしょうね?バブルを知ってる年代?まあ、そんな事を聞いても仕方ないけど、バブルとは商品の本来の価値以上の値段がつけられて取引される状態を言う。

じゃあ今のニュージーランドが不動産バブルかと言えば、それこそ見方によって答えは変わると丁寧に言いたいが、はっきり言えば違う。

航空機とインターネットの発達により人々の移動が盛んになり、その結果として世界の価格の平準化が始まった。住宅は野菜と違い、産地費消の商品ではないため、バンクーバーの住宅とオークランドの住宅の価格の比較が出来る。

例えば香港で猫の額のようなマンションを5千万円で購入した人は、オークランドで5千万円で買える、庭付きの5ベッドルームを見て安いと思うのだ。

購入者からすれば、住宅環境が良くて香港からの直行便があって治安が良ければ、「じゃあ一つ買っておこう」となる。投資目的もあるから、今後の人口増加も見込める。

値段が上がらなければ、その間は賃貸にしておいて、自分が住んでも良い。

要するに、価格の平準化が世界レベルで発生しているだけであり、毎年3万人の人口が増加する街では、住宅価格が上昇するのもごく当然というわけだ。

だから、人が増え続ける限り住宅価格は高止まりをするし、住宅需要が実需として存在する限り、それはバブルとは呼ばない。

バブルに関しては以前興味があり、南海バブル、チューリップバブル、そして日本のバブルを取り扱った資料を読んだが(興味のある人はtom文庫を訪問してほしい)、今の時代から考えると、何でチューリップの球根の来年生えそうな色に対して、その権利の売買と言うビジネスが発生したのか、今の時代からすれば、何じゃそりゃ?だろう。

だが当時は、売り手がいて買い手がいれば、商品自体の価値は問わない、要するに商品は何でもよくて、博打をしていただけだ。

ところが昭和40年代の東京の地価はどうだろう?これは1980年代までは、確実に右肩上がりで地価が上昇していた。バブルが起ったのはプラザ合意による日本円の急激な値上がりによるものだ。

資金がじゃぶじゃぶと余ってしまい、その金が土地に流れ込んだ、だから本来の成長を大幅に越すような地価上昇を招き、これがバブルとなった。

だが、今のニュージーランド、特にオークランドの商品価値を見てみると、人口増加しており、世界で最も治安が良い大都市の一つで、法律も整備されて、外国人でも自由に土地売買が出来るとなれば、これは十分に魅力的な価格だと思う。

このような要素を含めて考えれば、今はバブルではなく好景気だと捉えるべきだ。

バブルを知らずしてバブルを語り、自分が就職氷河期に学校を出たと言う厳しい日本しか知らないから、ついつい他人の言葉を鵜呑みにするガイドさんもどうかと思う。まあ、もしかしたら僕が一度でも教えた生徒かもしれないので、あんまり悪いことは言えないが、初めてニュージーランドの土地を踏む人に対しては、それなりの知識を持って接して欲しいものだ。

とか思いながら、午後はノースショアの住宅見学をする。5年前までは70万ドル程度だった物件が、今では100万ドルまで上昇しているが、さすがに景色はばつぐん。

それも、一握りの住宅ではなく、一つの地域が全部、海を正面に見下ろす住宅街なので、それは綺麗だし、勿論住民は皆知り合いなので、治安も良い。

ニュージーランドは、セーフティネットを整備した上で格差を認めている。誰でも一生懸命働けば、海の見える一軒家に住める、そんな現実が目の前にある。

お客様とはタカプナでお茶をしながら、ニュージーランドの社会福祉、学校の制度をお話する。日本とは全く異なっているので、お茶でも飲んでゆっくりと話をしないと、なかなか理解してくれないからだ。

冒頭にも書いたが、基本的に僕は、ニュージーランドの悪い点から話をする。ここは天国じゃないし、泥棒もいる。仕事の速度は遅いし、ミスも多い。商品は少ないし、品質も悪い。

ただ、それでもやっぱりこの国は、ある種の日本人にとっては住みやすい国だと思う。だから、移住なんてのは、誰でもどうぞとお勧めするものではない。

ただ、移住できる素質のある方には、長期海外旅行とか、将来の相続に向けてとかの視点で判断して来て貰っても良いのではないかと思う。

最近よく読むブログに、池田信夫blogがある。ニュージーランドの経済改革の手伝いをしたアメリカ人学者というのがあったので、めもっておく。

この人のブログ、コメントでも「毎回、何を言ってるか分かりません」と言うほど難解なテーマだが、とても面白くて、毎日必ず読むブログの一つに入った。

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/87553d6c0515752df5b05d5f88c5d1b1

さて、明日から通常勤務。職場では、イースター前から残しておいた案件を処理せんといかんし、新規のお客様も来るんで、今日は早く寝なければ。それにしても、下見のお客様が増えたな〜zzzzz。

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tom_eastwind at 19:46│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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