2007年04月25日

福知山脱線事故から2年目・安全の原価

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このニュース、2年前の当日、たまたまオークランドの自宅でNHKを見てたら、いきなり「緊急ニュース!」って感じで画面が切り替わり、電車事故がありました!でも詳細は不明、みたいな、NHK側も殆ど何も把握出来てないままに現場のニュースが飛び込んできたので、よく覚えている。

 

たまたまこの電車に乗り合わせたどこかの記者が携帯電話でニュースを報告、そのうちヘリがやってきて、マンションにからまるように脱線横転した電車を映し出す。左上に写るマンションに、カーブした線路から飛び出して、蛇腹みたいに電車がはりついてる。

 

記者は「2両目がマンションにはり付くように〜」としゃべっているが、どう見てもあれは1両目じゃんか、一番最初の場所にあるのが1両目でしょうとか思ってたら、何と1両目はマンションの一階にずりこんでしまい、ヘリからは見えない状態だったということで、更にびっくりした記憶がある。

 

実は911の時も、偶然成田のホテルに泊まっていてNHKを見ていたら、あの、貿易センタービルに飛行機が突入する衝撃の映像!が飛び込んできてびっくりした。あの時も記者は「これが何のニュースか今だよく把握できてませんが、まずは映像だけでもどうぞ!」みたいな、まったく筋書きのない話が次々とテレビから飛び出してきたのを覚えている。

 

今日のNHKでは2年目の命日に合わせて、大怪我をしながら一命を取り留めたものの、同じ車両に乗っていた母を亡くしたと言う女性のドキュメンタリーをやっていた。

 

「安全を最優先にしてほしい」そう訴える女性の姿は涙をそそるものがある。

 

ただ、女性の訴えは被害者として当然の気持ちである事を前提として、そうは言っても気をつけねばならないのは、安全最優先を訴えるなら、それだけのコストを利用者も負担せねばならないという事実を、利用者自身が理解、許容せねばならないという点だ。

 

本当に安全を100%追求すれば、事故を起こすような電車など走るな、飛行機は空を飛ぶなという事にしかならない。これを極論と思わないで欲しい。

 

どんな危機管理も、完全なる安全はあり得ないという前提で考えねばならないと言うのは、世界的リスク管理会社の社長の言葉だ。

 

だから完全なる安全を求めるのであれば、安全を100%保障できない電車は走るなとしかならないのだ。

 

でもそれじゃあ何だ、電車がなけりゃ、神戸から大坂まで車で移動しろって事になるのか?いやいや、車だって事故の可能性がある。だから車も駄目なんだ。じゃあ自転車か?いやいや、それも外に出れば交通事故の可能性があるから、それも駄目だ。じゃあどうしろってんだ!

 

これが結局文明の利便さと安全の重要さの間で、バランスを取るしかないのだ。そのバランスが結局費用対効果ということに繋がる。利便さを享受するなら、ある程度のリスクは取ってねという事だ。

 

利用者の自己責任と言うか、利用者の負担部分は無視して安全最優先だけやってという理屈は通らない。だから、安全に対してどこまでのコストをかけるのか、そのコストをしっかり把握する必要がある。それも、物理的安全だけでなく、国民の意識として費用対効果を学ばねばならない。

 

僕が東京に滞在中に大きな地震があり、JR恵比寿駅デパートの本屋にいたら、積んであった本が床に落ちるほどの揺れで、エレベーターは勿論、電車も停止した。その後、地震が納まってからもエレベーター、電車ともに数十分から1時間程度、保安検査の為に停止した。

 

僕は止まったエスカレーターをてくてく歩いて降りて、そのままホテルに戻る途中に駅を通ると、改札口に集まる乗客はついさっきまでぐらぐらと揺れてた地震等忘れたように駅員に詰め寄り、「何で電車が動かないんだ!」とか「早くしてくれ、仕事に間に合わないじゃないか!」「こら、駅員、お前が俺の仕事の責任を取るのか!」など、暴言の連発。これで乗客の言うとおりに安全確認もせずに電車を走らせて事故ったら、誰が責任取るんだ!もう安全意識の低さにあきれたものだ。

 

ところが、僕が泊まっていたホテルは外人(主に西洋人)利用客が多いのだが、この外人さんたち、彼らは先ほどの地震を体験しているから、止まっているエレベーターを見て、スーツ姿のまま、片手にカバンを持って、とっとと階段を上り始めた。

 

「本当に申し訳ございません」階段の横で申し訳なさそうにお詫びするホテル係員に対してこの外人さんたちは、「え、さっきの地震は君が起こしたの(笑)?」などとジョークで返す場面があった。

 

安全を本当に最優先するなら、サービスの低下も甘んじて受けねばならない。物事に両面があるのは当然な事であるが、どうもある種の日本人は、安全最優先もサービス最高も、何でもなけりゃいけない、でもその為のコストは一切自分では負担しないという発想のようだ。

 

この考え自体は、日本にいる様々なわがまま君の持っている特質だから、それをいちいちどうのこうのと議論しても仕方ない。ただ単純に「おいおい、早く自分の言ってる事の矛盾に気づいてくれよ」で終わりだ。

 

ところがこれがマスコミと政府の手にかかると、話が全く違う方向に進む。これが最近の現象として最も怖いことである。

 

写真はクライストチャーチ、エイボン河のパンティング風景。この船は就航以来一度も死者を出していない、安全な河遊びだ・・・?

 

明日へ続く。

 

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tom_eastwind at 13:37│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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