2007年06月06日

バイオエタノール

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日本人の75%は、殆ど本を読まないそうだ。20%が、軽く読む程度。最後の5%が、専門書を読む、という事らしい。

 

「本」の範疇に漫画が入ってるのか?と軽く突っ込みたくなる。

 

日本の漫画は西洋の小説に値するものがたくさんあるので、読書率の比較であれば、出来れば漫画も入れて欲しいな。

 

ただ、本をあまり読まない西洋人でも、読んだ連中の実行力はすごい。これは、読むけど内容を理解出来ず、他人が書いたことをいかにも自分の知識のようにのたまわる、ましてやそれを行動に移すなんてありえないざーな日本人など、足元にも及ばない。

 

先日も中州のバーで、カウンターに座った偉そうなおっさん(僕も近いものがある)が、女の子相手に、日本の学校教育について偉そうなことを吼えてた。「子供に教えるのは、何故かなんて言わせちゃいかん。駄目なもんは駄目なんだと、言い切ることが大事だ!」

 

ところがそこでおっさんの話している内容は、去年出回った「国家の品格」の言葉そのままだし、女の子に「え〜、何でそうなるんですか〜?」と聞かれると、「そんなもんは聞くもんじゃない、感じるものだ」とか、わけのわからん事を言ってた。

 

「え〜、じゃあお客さんが子供の頃に先生に聞いて、駄目なモンは駄目だって言われたら、納得しますか〜?」そう返されたおっさん、思わず「いや〜、俺が子供の頃は、分からんものはしっかりと聞いてたぞ」と威張ってた。ほら、自己矛盾。

 

まあ、これなら最初から読まないほうがよほど時間の節約にもなるが、そこはおっさん、やはり脳みそがからっぽなので、なにかを詰めておかないと不安なのだろう。

 

この点、西洋人は、間違った知識や教養の上に乗っかって平気で間違った判断をするが、その態度が堂々としているので、よわっちい日本人としては、ついつい、「あ、そうか」なんて納得してしまう。

 

知識の量と正確さでは日本人の教育の方がずっと優れているんだから、もっと胸を張って堂々と交渉してもらいたいんだけどね。

 

今までは学校で暗記ばかり詰め込んでたけど、社会に出るとそれじゃ通用しない事に気づいて、でも今更自分で考える力なんてないから、とりあえず本屋で売れてる本を読んで、暗記している事で、ほっとしている猿脳に、交渉力を期待するのは無理かもしれんな。

 

むしろ、開き直って「あたし〜、本なんて読まないし〜、バカだもんね〜」と構えている女の子の方が、よほど腰が据わっている。間違っているものは間違いと、本能的に知っている。英語が出来なくても、間違いは間違い、西洋人相手に堂々と渡り合ってる日本人を見ると、大体が女性だ。

 

本題はそんな事じゃなかった。

 

専門書というわけではないが、最近よくブログねたに出てくるのがエタノール。とうもろこしなどの穀物を原材料にして、ガソリンに混ぜて車を走らせる代替燃料の一種である。

 

日本でも試験的に使われ始めて、石油依存からの脱却を狙っている日本の国家戦略と一致している。

 

と、そこまでは良いのだが、これが自然に優しい、CO2が出ない、なんて言う宣伝が出回っている。

 

ところがエタノールを燃やせばCO2はちゃんと出る。エタノールの原料である穀物が成長する過程で光合成をしてCO2を吸収するので、最終的に燃やして発生するCO2と差し引きゼロという考え方だ。

 

また、合成燃料を使ったとしても、その使用量は所詮ガソリン97に対してエタノール3だから、車が吐き出すCO2はそれほど減らない。

 

むしろ問題なのは、エタノールを作る過程で発生する「地球に優しくない」問題である。

 

その中で一番分かりやすいのが、ガソリンの代替燃料になると分かった途端、それまで食料として作っていたとうもろこしを、米国の大手メジャーがまとめ買いしてエタノール会社に売りつけ、その結果穀物価格が跳ね上がるという事態だ。

 

また、とうもろこしが儲かると知った農家が、他の農産物を減らしてとうもろこしを作るから、結局減産された他の食料品の価格が上昇する。

 

 

でもって、こんな穀物を国内で作っている分にはまだ良いが、日本の場合、食料自給率が40%、穀物に至っては小麦の89%、大豆の95%が輸入に頼っている。

 

食料自給率が40%

 

つまり、バイオエタノールを利用しようとすれば、ご主人様である米国に頭を下げて売ってもらわないといけないという、いつか来た道をここでもまた繰り返すわけだ。

 

沖縄ではさとうきびを利用してエタノールを作る研究がされているが、それでも全体の消費量からすれば、到底追いつかない。

 

バイオエタノールが自然に優しいという「まやかし」が通用するのも、新聞等で知識の付け焼刃しかせず、自分で検証せず、自分で考えることもしない国民性が、その背後に横たわっているからだ。

 

地球環境を考えることは大事だが、そのウラにある環境ビジネスで儲けようとする連中に釣られてはいけない。その為にこそ、世の中の事象をしっかりと自分の頭で理解して、何が正しいかを見抜く力が必要だ。

 

その為の読書であり、そして、実行するための読書であるべきだ。

 

食糧問題、続く。

 

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tom_eastwind at 00:01│Comments(1)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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この記事へのコメント

1. Posted by とある素浪人   2007年06月06日 12:26
バイオエタノールの問題は、地球に優しいというイメージ先行で進んでいるような気がいたしますね。やはり、マスコミの、ベクトルのついた情報に、踊らされているということでしょうか?
しかし、燃料にするほうが儲かるということで、とうもろこしに限らず、穀物の値段はのきなみ高騰しているようですが、貧しい国の人たちは、余計食料に困るかもしれませんね。もともとの穀物生産量は、全世界の人が生きていくのに十分な量があると聞きましたが、食料に回る分が少なくなるのですから。先日、バイオエタノールは、食べられない植物を原料に行うべきだという意見を、ある学者の方が述べていましたが、そちらのほうでの開発が進むといいですね。

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