2007年06月28日
慰安婦問題
慰安婦決議が、米国下院外交委員会で決議された。
日本と米国間の問題であり、本来はあまり僕の関連のある分野ではないが、さすがに日本人として、米国のあまりに勝手な言い分、論理不明検証不能事実誤認無反省な態度にはむかっときた。
慰安婦問題は、僕がしょうもない事を書くよりも、このようなブログを見ればいくらでも専門家が説明しているので、そこは省く。
ただ、僕が今まで知ってることで補足出来ることがあるのでいくつか付け加えておく。
戦後大ブームになった五味川純平の小説「人間の条件」では、日本人が強制徴用した朝鮮人や中国人が満州の炭鉱で働かせる場面が出てくる。そこには売春宿があり、朝鮮人が経営している。売春宿で働くのはすべて同じ朝鮮人で、親に売られた娘もいる。
本の中では朝鮮人、中国人の強制徴用、囚人の強制労働など、当時の日本軍がどれだけ無茶苦茶をやったか、明確に描かれている。
日本軍が中国の村に押し入り、老人や子供を皆殺しにして女性を強姦殺人し、それこそ悲惨な場面も描いている。それでも、その女性を強制徴用したという事実は、ただの一つも出てきてない。
この小説自体、戦後の戦争の反省の上に書かれたのだが、もし軍隊が本当に売春をさせる為に女性を強制徴用していたなら、この本でもっと大きく書かれていただろう。それこそ戦争犯罪だからだ。
反省大好きな日本人が左翼思想で書いた本でさえ、売春の強制など描かれていない。この事実を一体どう認識すれば良いのか?
子供の頃からよく色んな戦記を読んでいた。
昭和の当時に、戦地から帰ってきた作家の本も、かなり読んだ。高木俊朗、五味川純平、小島襄などの本は、当時の中国やビルマ、シンガポールあたりの現地の様子がよく分かる。何せ高木俊朗などは軍隊と一緒に移動していた記者だったのだ。全てを目の前で見ていた。
その当時の様子に、日本軍に従軍して移動する民間業者の姿がある。食料、燃料、資材などに混ざって、現地で置屋、売春宿、料亭などを経営しているのは、すべて民間業者である。
日本国皇軍は、そのような本来業務以外の管理など、する時間も、する気持ちもない、すべて民間委託であった事は明白である。
兵隊にしても、お金を払って民間業者のところで遊べば良いわけだから、軍隊がその組織を使ってわざわざ強制徴用などする必要はない。
もし強制徴用などしてしまえば、そのための収容所が必要になり、その為に兵隊が管理すれ事になれば、それだけ兵力を割かねばならない。
安い金で買えるものを、何でわざわざ高いコストを支払って、そんないつ逃げられるか分からないような女性を抱えておくものか。軍隊は忙しいのだ。
そして70年代左翼の代表である、そして今も現役で文章を書いている本多勝一氏も、中国で日本がどれだけ残虐な事をしたか、その著書であますことなく書いている。
しかし、そのような朝日新聞記者のルポでさえ、日本の軍隊が女性を強制徴用して売春させたという記録は、ただの一つも出てこないのである。もし本当にやってたなら、真っ先にテーマとしてあがってくるような内容だ。
「本に書かなかったからなかったとは言えないだろ」って反論があるのは了解の上。それを言うなら、証拠もないのにあったというのは、もっとおかしな話だろ。
今現在示されている証拠は、韓国のおばあちゃんの話という「証言」だけである。韓国のおばあちゃんが出てきて強制されたと言うが、その証言しか証拠がない。
その反対に、もし本当に日本軍が「やっていた」なら、その全ての記録は軍隊なので厳正な管理の下に書類が残っている。軍隊が書類なしで動くことなど、それこそあり得ないからだ。
戦後、売春に関する一部の記録だけ削除するなんて思いつきもあり得ない。だって当時は、そんな事を全く問題と思ってなかったのだから。
当時の記録は日本本国だけでなく戦争をしてた外地にも残っているし、戦争に負けている最中にその記録だけを破棄する必要を、誰が思いつくだろう。
また、戦後押収された書類には、捕虜を殺したとか民間人を虐殺した記録でさえ軍務書類として残っている中で、何故売春のような小さな件だけを破棄するか?
当時は軍隊に民営の売春宿が同行するのは当然の事であり、それが問題にされるようになったのは、1980年代に入ってからだ。
まさか戦時中から日本が負けることを予測して、40年後に兵士の性欲処理が問題になると予測してその書類だけ破棄したなど、それこそ荒唐無稽である。
元々この米国決議は、在米中国人団体が、本国の指令を受けて米国でロビー活動を行った結果であり、どれだけ日本人及び政府がバカにされているかを如実に示す事実だ。
詳しくは専門家のブログを探せばいくらでも出てくるが、いずれにしても日本政府の腰抜けさには、呆れるしかない。
やった事なら素直に謝ればよい。やってない事を何となく曖昧なまま認めてしまっては、日本人の恥であるし、それが歴史的事実になるのは、様々な識者が述べている通りである。
いくら現在の日本が米国の非占領国家だと言っても、やってもない事で頭を下げてバカにされて、それで怒れない政府や外務省は、プライドを亡くした犬のようなものだ。
時に人は、ただ肉体的に生き残るよりも、そのプライドと民族の将来の為に、命を賭けてでも立ち上がるべき時がある。
1300万部という空前のベストセラーとなったこの本「人間の条件」では、中国人捕虜の代表である王享立が主人公の梶に語る場面がある。
「梶さん、小さな過失や誤謬は、あんたも犯すだろうし、私も犯す。だが、これは訂正すれば許される。けれども、決定的な瞬間に犯す誤謬は、決して許される事のない犯罪になる」
梶を安倍に置き換えてみれば分かりやすい。
写真は人間の条件の主人公を演じる仲代達也。
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この記事へのコメント
大戦中フランスの詩人が「私がこの世で最も滅びて欲しくない民族は日本民族である。あれほど深い道徳観をもった民族は他にない。彼らは貧乏だが高貴だ。」というようなことを述べたととある本で読みましたが、今の日本人は、そう評されることもあるまいと思います。
日本人はもっと自国の文化、伝統を大切にし、もともと持っていた道徳観を大切にした生き方をすれば、海外の人達に誤解されることもなくなるのでは?と期待しています。
もっとも、政府があれでは、誤解されっぱなしですね。
郷に入れば郷に従ってたら、自分が潰れる時代になってきたと思います。
私も以前は面倒くさいから、長い物には巻かれていたけど、やっていない事はやっていないとハッキリ主張しなくては、職場を撤退しなくてはならないハメになる昨今です。
【教育について語ろう21】と言う掲示板にここ8年来屯している者です。URLはこの掲示板のものです。宜しかったら是非お立ち寄り下さい。
掲示板での私のHNは泥炭、メールアドレスは同じです。
さて今日、上記の掲示板で論じている従軍慰安婦問題を調べるため五味
川純平の【人間の条件】を読んでいたところ、王享立の手記222ページに、
< 軍隊用ノ慰安婦トシテ拉致サレタ者モイマス >
とあるのを知って、この記述についてネットで何か論じているものはない
かと検索した結果、貴方のサイトを拝見したためです。貴方は
< 日本軍が中国の村に押し入り、老人や子供を皆殺しにして女性を強姦
殺人し、それこそ悲惨な場面も描いている。それでも、その女性を強制徴
用したという事実は、ただの一つも出てきてない。>
と仰っておられますが、王享立の手記についてご意見をお聞かせ下さい。
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/439615f9877a4ce6f6381a6a737c60ee
軍隊として行動したか、軍隊の中の個人が軍規違反をしたか、ここが争点ですね。
ある日本人がパリで人肉を食ったからと言って、すべての日本人が人肉を食うわけではありません。国家が強制したか、個人が強制したかは、別問題だと考えています。
ただ、このブログでそれを議論するよりも、その手のサイトがたくさんありますので、そこで議論をされればいかがでしょうか。
tom
思います。私の意見は日誌に書かれている小説「人間の条件」について
のご意見が基本的部分での誤読に基づいているのではないかとご指摘し
ているのです。つまり、このサイトの日誌の著者はこの小説には
< 女性を強制徴用したという事実は、ただの一つも出てきてない >
と主張されているけれども、事実はその反対でこの小説にはきちんと
< 軍隊用ノ慰安婦トシテ拉致サレタ者モイマス >
と述べられているのです。文脈からみてこの行為はtomさんの言われる
個人としてではなく、一部隊の行動として描かれています。もっとも、
これは小説の中に出てくる王享立と言う人の手記の中の文章として出て
きますから作者の主張との関係では色々の解釈がありうるかもしれませ
ん。 そこで当サイトの日誌の著者にその点をどの様にお考えかご意見
をお伺いしているのです。