2007年06月29日

悪法でも、法は法なり

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日本大学法学部の甲斐ゼミナールを運営する甲斐素直先生の随筆を、国籍に関して調べていたら偶然見つけた。

 

国籍離脱という随筆で、その内容は明快であり、更に、今日本に住む日本人にとって、非常に大きな問題を提起している事に気づいた。

 

その文章の、一番ポイントとなる部分を下記にそのままコピーしている。

 

ご本人に確認を取ってはいないが、ホームページに掲載されてもおり、学生や様々な人に読んで欲しいというメッセージもあるので、問題はないかと思う。

 

もし後で問題されれば、責任は僕に帰す。ただ、それほど内容が濃いので、是非とも読んで欲しい。

 

*コピー開始*

 

ソクラテスは、皆さんご存じのとおり、脱獄を拒みます。問題は理由です。よく、ソクラテスは「悪法といえども法である以上守らなければならない」と言って脱獄を拒んだ、と信じている人がいます。確かに、そうした趣旨の発言をソクラテスはしています。

 

 しかし、ソクラテスの、その発言には重大な前提があるのです。

 

すなわち、アテネは従来からその法に「満足しない者があるとすれば、自分の持ち物を携えて、どこへなりと望むところへ出て行くのを、誰にでも望む者には許」してきた(角川文庫「ソクラテスの弁明」一二三頁より引用)のだから、法が自分に都合の良い間だけアテネに留まってその保護を享受しておきながら、不都合な法になったといって逃げだすことはできない、ということを最終的な根拠としているのです。

 

そして、これにはクリトンも反論できず、牢獄を後にしたのでした。

 

もう少し砕いて説明すると、ソクラテスの主張は、法は全体として一つの体系をなしているのだから、自分に都合の良いところだけつまみ食い的に受け入れ、都合の悪いところは拒む、というようなご都合主義の認容を是認したのでは法の整合性を保つことは出来ないということです。

 

したがって、人として出来ることは、ある国の法体系の全体を飲むか、すべてを拒絶するかの二つに一つで、中間はあり得ないということになります。ただし、その結論の前提としては、その国が、国民の出国の自由を認めている、ということが絶対の条件となります。

 

 現代憲法の基本原理である個人主義に立脚する限り、他の国の住民になる自由があるにも関わらず、あえてその国に留まったという自発的な選択の存在こそが、国としてその個人に法的責任を問う決め手なのです。

 

その意味で、近年までの東欧諸国のように、国民の出国の自由を制限している場合には「悪法といえども法」であるどころか、むしろ悪法に抵抗する権利が認められねばならないという結論が導かれるはずです。

 

この立場から憲法二二条を見れば、その意味はきわめて明白です。海外移住ないし国籍離脱の自由が認められるか否かは、人が国の主権を是認するか否かの分岐点を決する概念と位置づけられます。

 

この自由が認められる国においては、人は、悪法で処断された場合も、法の許す抵抗、例えば上告や再審請求は許されても、脱獄したり、国外逃亡する自由は認められません。素直に刑に服せ、と要求する権利が、その国にはあります。二二条の権利は、その裏面として常に無条件に認められるべきであると理解されます。

 

コピー終わり*

 

さあ、これを読んだ皆さん、どう思いますか?

 

皆さんは自由意志で日本に住んでいるのです。だから、自分の都合の良い時は日本の法律で守ってもらって、都合が悪くなれば、そんな法律はおかしいなんて言って、法律に従わないというのは、間違いだとなるのです。

 

年金制度が崩壊しようと、自分がお金を貰えないと分かっていても、払わなければいけない。貰えないから払わないなんて理屈は通用しない。払うのは義務なのだ。

 

NHKのお金も、払わなくちゃいけない。観てるとか観てないとか、そんなの関係ない。法律でそう書いてるのですから。

 

自衛隊が国民を監視してても、それは合法なのだから、文句を言う共産党はおかしい。

 

イラクに派兵しても文句を言っちゃいけない。だって、法律で決まったんだから。

 

今の日本のやり方に文句があれば、法律を変えるか、出て行くしかない。中途半端は存在しないのだ。

 

法律も変えようとせずに、出て行きもしないのであれば、黙って日本の法律に従っておけよ、それが政府の言い分だ。

 

ニュージーランドの国籍は、永住権取得後5年で取得出来る。ニュージーランドは二重国籍を認めているが、日本は認めていないので、日本国籍は放棄することになる。

 

ただし、ニュージーランドの国籍があれば、オーストラリアで働く事が出来る。ニュージーランドとオーストラリアは経済緊密化協定を結んでおり、この協定に基づいて、両国の国民は自由にお互いの国を移動でき、仕事をして給料を貰ってもよいのだ。

 

河野太郎さんのウェブサイトでも二重国籍に関して議論が出ている。

 

ただ、二重国籍を認めるにしろ、認めないにしろ、その国籍を自発的に持つ以上は、その国の保護も受けるが義務も発生するという事実は変わらない。

 

いずれ憲法改正で普通に戦争出来る国に変わる日本。徴兵制度は、皆さんの気づかないままに可決されるかもしれません。そして皆さんの子供が大きくなった時に、外国で戦争しているかもしれません。

 

今の日本で、政府が押し付けてくる義務、それを文句言わずに受けるだけの覚悟があるんですよね?

 

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tom_eastwind at 10:13│Comments(2)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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この記事へのコメント

1. Posted by May   2007年06月30日 02:09
What do you want to say?
ごめんなさいね。今日は機嫌が悪いので。
まわりくどい言い方はやめて、僕は移住サポートの仕事をしています。
とおっしゃれば良いのに。
2. Posted by toshi   2007年07月02日 12:35
日本人でもいろんな人がいると思います。
知恵と知識を得て、まず身近な悪に立ち向かってかえて行く人。
知恵と知識を得て、自分はまず遠くから見ておきましょうという人。
どちらも悪くはありません、生き方の選択だけの話。

でも、最近思うのが、前者がどんどん増えてきているという事。
おかしな事はどんどん変えましょうという風潮。
声のあげ方がまだ弱いけど、賢いやつらはちゃんと分かっているから。

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