2007年07月01日
参院選公約
ニュージーランドでは、選挙と言われてもあまり日本のような白熱した街頭演説がないので、知らずにいれば、「え、今って、選挙期間中なの?」って感じがするくらいだ。
でも、その気になって毎日新聞を読んでたりニュースを見てれば、静かに選挙戦が行われているのがわかる。テレビでも、候補者同士が公開討論会を開いたり、自分の意見を述べる機会がある。
間違っても日本のようなお涙ちょうだいは、ない。候補者の奥さんが涙ながらにマイクを握り締めて、「うちの主人を男にしてやってください〜!」なんて、それが選挙ですかい?って突っ込みたくなるような情けない事はやってない。
ニュージーランドでは投票率も大体70%くらいと高い。もちろんこれは日本に比べてであってだが、少なくとも選挙民は、自分らの代わりに代表を雇って政府を運営させているって気持ちを持っているので、けっこう政府に向かって言いたいことを言ってる。
良い悪いは別にして、ある国民は以前国会の前に車で乗り付けて、社内に満載したマリファナの木を見せて「マリファナのどこが悪いんだ!タバコよりよっぽどましじゃね〜か、お前ら国会議員はわかってんのか!」と訴えてた。もちろんすぐに逮捕されたが。
そんな中、日本もマニュフェスト、公約が選挙の中心に取り入れられるようになり、これは一定の進歩だと思う。
でもって、国民新党が今回の参院選で公約を発表した。
「夢と希望を持てる国づくり」というキャッチはださいが、年金制度改革をもってきたのは、なかなか良い戦略だ。
年金受給に25年の加入期間が必要とする規定を撤廃して基礎年金を全額税方式とし、給付額を生活保護費相当額へ増額するという考え方だ。
これが選挙民にどう映るかは別として、元々年金とは税金なのだから、基礎年金を全額税として徴収するという仕組みは、年金本来の仕組みに戻ったわけで、これは分かりやすい。
その代わり給付額を生活保護相当額に増額ってのも、簡単だが根本的な問題解決を図っている。
こうなれば年金額も確実に増えるから、お年寄りが死ぬまで働くって必要もなくなる。出来れば生活保護額をもっと上げてもらいたいと思うが、まあそれは後日対応できる。
25年の加入期間を撤廃するんなら、もっと踏み込んで、日本国民なら誰でも年金をもらえる、払った払わないは関係ないって言うニュージーランド方式にすればよいのにと思うが、まあそれは早すぎだろう。
少なくとも、払った期間分はもらえるという仕組みなら、国民に分かりやすい。それに税金として徴収するのだから、「(年金を」もらえんから払わん!」という言い訳は、通らなくなる。源泉徴収してしまうのだから、払うも払わんもないのだ。
年金制度を導入した昭和の時代に、国民の目をごまかすために、税金ではなく年金と言い換えたのが問題の発端なのだから、そこを訂正すれば、ボタンの掛け違いはなくなる。
郵便局の問題は、国民新党の内容がいまいち不明なので、ノーコメント。ただ、郵政解散で自民党から飛び出したメンバーとしては、きちっと筋が通っているから、内容は別にして、日本人には納得しやすいだろう。
忠臣蔵みたいだな。過激派集団による長いナイフを使って夜中に個人の自宅に押し込み、刺し殺すという「殺人」が良いかどうかは別として、感情的には「おう、なるほど、分かるよ」と選挙民に思わせるのではないか。
ニュージーランドの郵便局では、民営化せずに黒字化したという実績があるし、競争の原則の導入で郵便サービスに新規で参入する会社が出てきている。
小泉元首相がニュージーランドを訪れた時にヘレンクラーク首相に対して「ニュージーランドは規制緩和、民営化ですごい実績を出しましたね、郵便局も民営化して黒字化した、いや、立派!」と言ったら、ヘレンクラーク首相が申し訳なさそうに「いいえ、郵便局は民営化せずに黒字化したんですよ」と、小泉首相の勘違いを訂正してた。
国民新党、比例代表制では議席が取れそうな気がする。
写真は、ニュージーランドポスト(つまり国営郵便局)の投函箱(ポスト)の横に立つ、民間の郵便局の投函箱。同じ場所に3つもポストが立っているのが、規制撤廃の象徴である。