2007年09月27日

大脱走

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大脱走

 

スティーブ・マックウイーンは、マッキーンと書く人もいるが、僕は初期の表示に慣れているのでマックゥーンで通してる。

 

NZでの発音もマックウイーンと全部発音している感じがある。まあ、ドナルド・レーガンかドナルド・リーガンか程度の違いだ。

 

ジェームスコバーンも随分格好良い。荒野の七人でも渋い役だったが、この人、本当に片隅のいぶし銀って、日本人好みの役がぴったり。

 

一昨日、何故かみゆきが「大脱走を見たい!」って事でビデオを借りてきた。他にキアヌリーブスの「Speed」とか「AI」などもあったが、日曜の夜に早い時間に夕食を食べながら見るのだから、やはりじっくりと観たい、172分と一番放映時間の長い「大脱走」が最適。

 

つ〜か、みゆきはどこから「大脱走」を知ったのだろう。

 

この映画が出来たのは1963年、欧州戦線で捕虜になった連合軍(英米加)の中でも、特に脱走を得意とする連中を集めて作った特別収容所が舞台である。そこで敢えて脱走計画を作る不敵な捕虜と、ドイツ国防軍のせめぎあい。

 

多くの困難を乗り越えながら、遂に脱走計画は実施される。特にこの映画、ってか、この時代の映画を表現する時に非常に良く使われる、スティーブマックイーンの、バイクによる国境越えである。アルプスを背景に広がった草原を、スティーブマックイーンのまたがったバイクが空中に飛び上がり、ドイツスイス国境の鉄条柵をひらりと飛び越える。

 

当時その映画を見た人は、誰もが色んな思いを感じながら、それでもスティーブマックイーンの格好良さに惹かれたのは間違いないと思う。僕はあのジャンプを見て、自由に向けて羽ばたく人間を想像したものだ。

 

その後も何十回も、機会がある度に繰り返し見た映画だが、日本にいた当時は英語も分からず、当然日本語字幕で見ていたので、今回のように字幕なしでスティーブマックイーンの生の声を意識して聞くことは初めてだった。

 

ほ〜、彼ってわりかしキーが高いんだな、とか、あれ、良く見ると周囲の俳優の方が背が高い、もしかして彼って、昔で言えばアランラッド、最近で言えばトムクルーズみたいに、平均身長が低いのか?俳優って、背が低いほうが演技力あるのか?うどの大木って言うし、小柄な方に何かあるのかな?などと、しょうもない事を考えながら、次々と場面が進行していく。

 

戦争当時の様子をあちこちに挿話しながら、ストーリーは進んでいく。

 

途中でみゆきが次々と質問してくる。ニュージーランドではまともな歴史は教えないから意味不明な点もたくさんあるだろうし、それ以上に、ある程度戦争の知識もないと分かりづらい。

 

連合軍というほどなので、米軍と英国軍が連合して戦っているのだが、米国の独立記念日に米国軍人がパレードをやって密造酒を作り皆に振舞っている。

 

と、そこにやってきた英国軍人が、酒のカップを受け取り、にこっと笑って「For the colonies!」と乾杯する。それに対して米国軍人もにやりと不敵に笑って「For the independent!」と答える。

 

「ねえねえお父さん、米国と英国って連合国なんでしょ、今の言い方って何?」

 

独立戦争を習い忘れたか、学校できちんと教えてないのか?植民地からの利益収奪構造が結果的に米国の反発と戦争に繋がった背景を説明する。

 

このあたり、日本人の僕らからはちょっと想像もつかないが、平成時代の福島人が鹿児島県人に感じる何かとは、ちょいと種類が違うのだろうか?

 

そして敵国であるドイツも、それなりの事情がある。日本で言えば軍隊版成金であるゲシュタポやヒトラー親衛隊は、何かに付けて光輝あるドイツ国防軍に対して敵対心を見せる。

 

「ねえねえお父さん、この人たち同じ仲間なのに、何で仲が悪いの?」

 

第一次世界大戦では伍長であった異端児が、連綿たる歴史を持つドイツ国防軍を無視していくのは、当時のヒトラー台頭と国民の圧倒的な人気、それに対して前回の戦争に負けた遠慮がある国防軍が押さえ込めないまま第二次世界大戦に突入。実際にはどれくらいのドイツ人が戦争に反対していたのだろうか?

 

マックイーンがオートバイで国境のドイツ側の柵を飛び越えようとする場面。

 

「ねえお父さん、何でスイスに行けば彼は助かるの?」

 

スイスは元々傭兵の国であり、同じ国民が敵と味方に別れて戦争をした事もある。欧州の戦争に巻き込まれる事を避ける為に「永世中立国」を宣言したので、そこに逃げ込めば敵がそれ以上追いかけて来れないんだ。

 

その他、ドイツ軍が使っている車はベンツ、ダイムラー、フォルクスワーゲンなど、現在のドイツ車の原型である。「ほら、あれがベンツだよ」とか、街中を走っている大衆車を「あれがフォルクスワーゲン」と言うと、かなりびっくりしてた。

 

レジスタンスがドイツ軍にテロを仕掛ける場面では、今のイラクを例に取って説明する。敵国軍が侵入して政府が取られて傀儡政権が出来ても、侵入者は侵入者だ。そこに住む人々にとっては敵であり、敵がやってくれば家族を守る為に戦うのが、今も当時も普通の行為だという事を説明する。

 

今年に入ってから日本で洋画の旧作や名作を自宅で観るようになった。最初は「え〜!白黒、いやだ!」なんて言ってた家族も、最近では少しづつ抵抗も減ったようだ。

 

大脱走などの戦争モノ、ローマの休日などの恋愛モノ、大地震、ポセイドンアドベンチャーなどの70年代大型映画、それぞれに映っている時代背景や歴史背景を観たり聴いたりするだけで、ずいぶんと歴史の勉強になる。

 

**上記の文章は出張前にある程度書いていたが、まとまらないまま出張に突入したので、今回整理した。

 

今回の出張では「明日に向かって撃て」を買ってきた。早速家族で観る。映画が始まって15分ほどすると、ポール・ニューマンが自転車にキャサリンヘップバーンを乗せて牧場を走り回る場面がある。

 

そこでかかってきた主題歌を聴いた途端、りょうまくんが「お父さん、これ知ってる!」と言って、一緒に口ずさみだした。

 

出張はかなりハードで疲れるが、オークランドに戻れば残業もなく、こうやって家族と一緒に映画を観れるのは幸せだ。家族一緒に映画を観る時間、皆さんありますか?

 

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tom_eastwind at 00:58│Comments(3)TrackBack(1) 最近観た映画 

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1. 安田美沙子スパ施設で全裸盗撮  [ 安田美沙子スパ施設で全裸盗撮 ]   2007年10月01日 16:30
ついに撮られてしまったか・・・安田美沙子チャンがスパ施設での入浴中に盗撮されてし

この記事へのコメント

1. Posted by とある素浪人   2007年09月27日 21:58
日本出張お疲れ様でした。いつもいつもハードスケジュールですね。
ジェームズ・コバーンといえば、主演の戦争映画で「戦争のはらわた」は良い映画でした。邦題はちょっと・・・という感じですが、原題は「Cross of Iron」だったと思います。鉄十字章のことですね。泥沼の東部戦線を舞台に名誉のため、勲章に固執するプロシア貴族出身の将校と、ベテラン下士官の確執を描いてました。あまり派手派手な演出はありませんでしたが、味のある映画でした。
2. Posted by May   2007年09月27日 23:03
そう言えば、小さい時、見た記憶がある。ローマの休日は2回見たし、明日に向かって撃ても見た。多分、高校生の時に一人部屋でなぜか「慕情」と見て泣いたのを覚えている。家族で映画なんて、思えば一度もない。夏休みにポケモンシリーズに付き合わされたくらいだ。その娘ももはやお母さんになった。今日もovertime no payであった。疲れた〜。
3. Posted by とある素浪人   2007年09月30日 16:36
NZ近辺でマグニチュード7超の地震があったようですが、大丈夫でしたか?被害についてはまったくまだ報じられていないのでわかりませんが、被害がないといいですね。NZでも地震は頻繁にありますか?

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