2007年10月08日
私は貝になりたい
今日は会社にあるスタッフ用ビデオ(日本のビデオ配給会社から毎月定期購入している)で、今年8月の日本テレビ製作の『真実の手記 BC級戦犯 加藤哲太郎「私は貝になりたい」』を観る。
本来の作品である「私は貝になりたい」ではなく、作者の実体験を描く。戦中の日本が「天皇陛下万歳!」「兵隊さん頑張れ!」って国家挙げて騒いでたのに、戦争で負けた途端、兵隊さんがA級戦犯だのBC級戦犯だのって言われて、敵国によって裁かれる。
戦争や歴史の無情、と言うよりも、その大きな歴史の流れの中に巻き込まれてしまった個人の悲劇を描く。
中村獅童が良い。眼力、演技力、ともに子供の頃から演劇の世界で育ったせいだろう、迫力がある。自分の役に徹している。今後は役者力によっては遊びの1回は許す!くらいの余裕が社会に生まれればと思う。フランスでは政治家が普通に愛人を作っているのだから。
妹役の優香は、前半は戦前の言葉をうまく使えずに浮いてたが、後半は自分の言葉で話して、実に良い。ゆうかって、顔が可愛いすぎるから、役によっては浮くんだろうけど、基本的に演技力があると思う。
中村まさとしが出てて、賑やかになる。え?これって青春映画だっけと思う。あ、でも舞台は昭和23年だから、そんな事もないよねとか、少し時代錯誤に陥る。
飯島直子の存在が今いち意味不明。何であなたのような幸せな顔の代表みたいな人がこんな役を?などと考えながら、日曜の午後を過ごす。
他には「あれ?ぱっくんじゃん」とか、カンニングの竹山も出てた。
製作は日本テレビ。ってことは読売グループだから、右翼向けだよね。番組は戦犯をテーマにして進むが、当時のBC級戦犯の裁判に対して、極めて強い疑問を向けている。
約5700人のBC級戦犯が殆どまともな裁判も受けられずに裁かれ、937人が絞首刑となった。ちょっとしたミスで殺されたってのが、正しいか。
ましてやA級戦犯が行われた東京裁判に、一体どれだけ公平性があったのか?そんな声が画面の向うから聴こえて来る。
主人公の加藤哲太郎は実際に新潟の捕虜収容所の所長で、訴追された事件の関係者だった。戦後は部下の罪を被って逃走し、3年後に逮捕される。
その間知り合った女性と逃走を重ねて逮捕され、昭和23年には軍事裁判にかかり絞首刑の罪になる。妹の必死な懇願、遂にはマッカーサーに直訴する。さあ、彼の絞首刑判決はどうなるのか?
よかったよかった、面白い構成だ。この番組が、少しでも世の中の人々の知識の役に立てばと思う。
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この記事へのコメント
現在でも、軍事力を背景に持っている国の方が、国際社会での発言が強いんですがね。