2007年10月11日

貸す馬鹿に返す馬鹿

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貸す馬鹿に返す馬鹿

 

20071001日付けの日経ビジネスの特集で、中国でリース事業に乗り出したノンバンクのNISの記事があった。トップは上海に移住して、中国が抱えるリスクを正面から抱えて戦いを挑む。

 

日本のビジネスマンにとって中国がどれほど恐ろしいところか、僕は自分の目で1991年から1996年まで見てきたので良く分かる。

 

特にヤオハンが香港に本社を移し中国事業を開始した勃興期から栄枯盛衰、そして倒産に至る寸前までを、ヤオハン香港社長周辺との取引から見てきた。

 

ヤオハンが初めて持ったプロバレーチームの北京試合には香港からヤオハン役員や社員を連れて観戦ツアーを作り、天安門広場にある人民大会堂での、中国側高官との数百人単位の大パーティも経験した。

 

上海浦東では今でも「バーバーバン(ヤオハンの中国名)」と呼ばれる地元デパートが、上海市民のお買い物場所として利用されているが、この鍬入れ式にもツアーを作って参加した。

 

当時の浦東は、それこそすべて何もない、赤土が剥き出すだだっ広い土地だった。

 

そこまで中国に食い込んだヤオハンが、中国側にじわじわと飲み込まれていく様は、それこそ本人だけが気づいてないけど、周囲で見る者からすれば、ムー大陸が一晩で海に沈んでいく、その場面に立ち会っているようだった。

 

ヤオハン以外にも、様々な日系企業が進出しては、次々と食われていった。中国企業との共同資本参加による新ビジネスの展開。見かけのよい言葉に釣られて資金を出した日系企業は、身ぐるみ剥がれて日本へ逃げ帰った。

 

貸す馬鹿に返す馬鹿。

 

そんな言葉が日本人ビジネスマンの間で広まったのも当然だ。中国のビジネスの常識は違う。金を貸すなんて馬鹿のする事。ましてや、借りた金をきちんと返すなんて、もっと馬鹿だ。

 

そんな中国で金を貸すビジネスを始めたNIS会長は、当初こそ同業他社から「創業家二代目の火遊び」と笑われたそうだ。

 

確かに中国をまともな取引相手とみて、リスクを取らずに儲けよう、自分の手を汚さずに利益を取ろうとした日系企業は、ほぼ全て食われてしまった。

 

ただ、彼らと同じ土俵で、同じリスク感覚で商売をすれば、決して赤字になることはない。それは僕自身が香港をベースにして6年間営業をやって覚えたことだ。

 

要するにリスク感覚なのだ。クーラーの効いた高層ビルのオフィスで、机の上に出ている数字だけ見て判断をする日本人ビジネスマンは、決して成功しなかった。

 

長期信用銀行とも取引があったが、何じゃこいつら、全然ビジネスしてないじゃんかと思ってたら、案の定20世紀の終りには倒産した。

 

北海道拓殖銀行も、立派なビルの立派なオフィスを持って、そこから一歩も出ようとしなかったビジネスマン連中が、そこから冷房の効いた通路を通って隣のビルの「四季」と言う日本食レストランに通って、日本語で注文して、日本語で香港人ウエイトレスに文句を言ってたら、やっぱりここも潰れた。

 

街全体が薄汚れていて、機械油の匂いと各階ごとの公衆トイレの匂いがフロア中に広まるような工業地帯の集合工場ビルの現場で、実際に動く機械を見ながらその企業の力を見抜く、そういう「自分の目で見る」事が出来る日系企業は成功した。ネットワークという会社だ。

 

当時から取引があり、結構可愛がってもらった荻巣社長は今も元気で、香港ラーメン横丁を企画した人物でもある。

 

それほどに、中国は自分の頭で考えてリスクを冷徹に読み取って自分の足で現場を回った人間のみが勝ち残る市場である。

 

人情とか義理とかを仕事の場で持ち出すのは、たんなる馬鹿に過ぎない。車がたくさん走りぬける幹線道路に、「俺は義理が〜!」とか言いながら体を投げ出すようなものだ。誰にも相手にされずに、ぐしゃっと潰されて終りだ。

 

しかし、そんな中国でも、実際に商売で成功している人々がいる。何故か?それは中国の理屈で戦っているから。

 

だから、金を貸すにしても、相手がそれを踏み倒すリスクと支払いをきちんとするリスクのどっちを取るかを理解して、返した方が得になるという状況を作れば、貸した金を踏み倒されるなど、起るはずがないのだ。

 

これはニュージーランドでも同じである。中国人と付き合う時は、常にこの点を理解しなければならない。

 

そして、更に大事なのは、中国人はビジネスとプライベートを割り切っているが、相手のプライベートに踏み込めば、そこからは信じられないような「義理と人情の世界」が広がっていくのだ。

 

僕自身中国人の妻がいるので、その親戚付き合いでよく分かるが、彼らは僕が家族の一員だと理解した瞬間に、それまでの冷たい態度をがらっと変えて、生まれた時からの付き合いのように大事にしてくれる。

 

NISの会長も、自分の足で中国中を回って、自分でリスクを取って戦っていき、既にその事に気づいているだろう。だから成功しているのだ。

 

ただ、寄らば大樹の陰で中国政府の肝いり企業に、何の調査もせずに金を貸して焦げ付いて、それでびっくりして二度と中国に金を貸さなくなった腰抜け金融マン(マンと言うのは、弱虫と言うか泣き虫と言うか、それとも単なるあふぉというか間抜けというか知恵遅れというか、どの表現が適切か難しいが、いずれにしても1990年代当時にそういう仕事をしていたのはほぼ全て男性だったのは特筆しておく)が次々と日本に撤退した。

 

特に証券会社など最盛期は30社近くあったのが、ほぼすべて大赤字をこいて撤退していったという事実は、やはり日本人は日本人同士でしかビジネスをするノウハウがないというだけではなく、ビジネスの基本であるリスクを取って利益を得るという発想の根源が全く理解出来なかった(今も出来てない)証拠であろう。

 

中国は広いし怖い。でも、そこに踏み出さなければ、日本の将来はあるのか?

 

戦争に負けた後、日本は焼土から立ち上がって、英語も出来ないのに勇敢に米国市場にトランジスタラジオやテレビや車を持ち込んで売りまくった。つい十数年前までは敵国だった国に、裸一貫で乗り込んで行ったのだ。

 

僕らには素晴らしく優秀な、でも無名な先輩がいる。城山三郎の作品が、その頃のビジネスマンの生の姿を良く描いている。

 

No Risk, No Return  /  No pain, No Gain /  資源のない日本で日本人が唯一無限大に持つことが出来る資源、それは戦後の日本人が持っていた「突撃力」ではないだろうか。

 

写真はリマーカブルスキー場の帰り道、クイーンズタウンのワカティプ湖を見下ろす。

 

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tom_eastwind at 19:38│Comments(1)TrackBack(2) 日本ニュース | 諸行無常のビジネス日誌

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1. Posted by とある素浪人   2007年10月12日 12:26
日本人の常識と中国人の常識は、表面的に見る限り、おおきく変わるので、日本では中国の印象ってあまりよくないと思いますが、私の知人からも、社長と同じことを聞いたことがあります。本当に友達になると、信じられないくらい義と情に厚いそうですね。

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