2007年10月19日

Plant the seed, Grow the child

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りょうま君が通う小学校はアフタースクールという仕組みがあり、仕事があって夕方まで家に戻れない両親の代わりに、民間団体が学校の施設を放課後借り受けて、子供を預かってくれる。

 

うちもよく利用してて、費用は1日15ドル?だっけな、とにかく高くない。

 

今日も学校にりょうま君を迎えに行くと、担当の若い女性の先生?てか、民間団体だから先生じゃないんだろけど、「あ、ライオーマを迎えに来たのね、ちょっと待ってて、今裏の運動場で遊んでるから呼んでくるわ」と言ってくれた。こちらの人が発音すると、どうしてもライオーマだ。

 

僕はその間体育館の隅っこ、子供たちがバックパックを置いてる場所で待っていると、体育館の壁に「写真」にあるような1メートル四方の張り紙があった。

 

「種を蒔いて子供を育てよう」と英語で書かれた大きな木の枝には、それぞれ

 

Communication

Problem Solving

Independence

Life Skills

Relationships

Thinking

Enjoyable learning

 

とあった。写真を拡大してもらえばわかる。

 

りょうま君やその友達は、ラグビー場が4面くらい取れそうなくらい広い、綺麗な芝生で覆われた広い運動場を駆け回っている。どうやら友達同士のコミュニケーションはよく取れてるようだ。ゲームセンターでもよく友達と遊んでいる。

 

詳しくは知らないが、どうもこの学校にはいじめがないのではないかと思う。みんなが楽しく遊んでる。

 

問題解決か。りょうま君の場合、それは問題ないな。あの子は3歳になっても一言も言葉が出来ない自閉症だったが、自分の欲しいものは確実に手に入れてた。それも正当な手段で。

 

僕、これが欲しいと態度で示すけど、駄目だったとしても親にぐずったり泣いたりしない。口は聞けないが耳は聞こえるようで、きちんとゆっくり説明したら理解する。いつかは手に入るよと言えば、ちゃんと我慢する。

 

独立心。これって、どうなん?うちはアジア系だから、10歳になっても結構両親と一緒に寝てる。それに、いつも甘えてお母さんにぺちゃっとひっついてる。でも、独立心って、そういう外見ではないよね。

 

普段は甘えていても、自分のプライドを持って堂々と生きることだとすれば、それならりょうま君は、あるな。これって単なる親馬鹿か?まあいいや。

 

LifeSkillって、この場合はどういう意味で使っているんだろう?生きる為の技術?それはどうも、職業訓練って話ではないな。であれば、生き残る気力と考えたほうがいいかもしれん。

 

生活技能{せいかつ ぎのう}、ライフスキル◆日常生活における多種多様な問題や要求に、建設的かつ効果的に対応する際に必要とされる能力

 

ある辞書を調べたら、上記のように出てきた。問題解決をする為の技術というより、問題解決をする為の能力であり、つまり東大卒でも使い物にならん奴より、少卒でも大臣になるほうが、生きる能力が上という事だろう。

 

Relationshipは人間関係だから、コミュニケーションと似たようなもんだ、けど、これは会話能力ではなく、他人との距離感とか思いやりとかの部分だろうな。これは竜馬君は◎だ。

 

Thinkingは、う〜ん、これがテストだとすれば、竜馬君は確実に落第だな。あいつ、日常生活で何も考えてない。

 

Enjoyable Learningに至っては、話にならん。テレビを見てる時は夜中まで起きてて、ゲームをするためには朝6時に目が覚めるが、英語の勉強の為に薄い本を一冊渡しておくと、大体どんな時間帯でも、平均10分で睡眠を開始する。あの能力、っつか切り替えの速さは、一体ナンなの?って思うほど、はたから見てて本当に笑えるくらいだ。

 

小学校では、算数や暗記よりこんな事を教えてるんだな、ええこっちゃ。算数なんて一旦その気になって原理を覚えれば出来るし、暗記なんて好きになればいくらでも出来るし、押し付けて覚えさせるようなものではない。

 

大体世の中の優秀な学者は、子供の頃愚鈍だったり自閉症だったか偏執狂みたいなもんだという。だから子供の頃は、情操教育を豊かにして、将来の成長に備えるって考え方は好きだ。この国の教育の、気にいってる点だ。

 

だけど、ふと思った。おいおい、これって、今の日本の社会人に要求されてる能力じゃね〜か!

 

Communication

他人と会話がまともに出来ない社会人。とにかく、それで社会人ですか?!ってレベル。相手の話していることが理解出来ず、自分の言いたい事をきちんと説明出来ない人々。

 

Problem Solving

問題解決能力がないから、マニュアルに載ってないお客様のクレームを抱えてどうしてよいか分からず、上司と部下とお客と取引先の間をぐるぐると回って、傍目には忙しそうに見えても、全然問題は解決してない状態。問題解決とは問題がどこにあるかを見つける能力であり、それは暗記能力では絶対に解決出来ない。

 

Independence

独立心のない、会社に甘えて、そのくせ飲みに行けば会社の文句を言うくせに自分の仕事の責任を取ろうとせず、最後は誰かに責任転嫁する。「あいつが悪いからさ〜」

 

Life Skills

これこそ一番今の日本社会人に全体的に不足しているものかもしれない。自分が何やりたいか分かってないんだから、どう生きれば良いかも分からない。

 

生きる力とは、元気なうちに危機感を感じて自発的に対応する能力⇒生きようとする気力だ。ところが小学校の頃からそのような気力を奪って、国家の歯車にする為の洗脳を受けているから、社会人になっても危機感がなく生きようとする能力もないままに、いたずらに年を取っていく。

 

Relationships

他人との距離感が分からない奴。個人的にはこれが一番嫌いだ。特に、人の利益を考えることが結局自分の利益に繋がり、全員が儲かると言う人間関係の構築が出来ない。

 

Thinking

思考能力、特に応用能力がない。最近の日本の子供の学力テストで、そんな結果が出てたな。

 

Enjoyable learning

これこそ今の日本の学校教育で最も不足しているだろう。授業が楽しくない。それに授業だけじゃ内容が不足しているから塾に行く。すると他の連中も塾に行くので、いつまで経っても受験競争が止まらない。挙句の果てに、楽しいのは塾帰りに友達と一緒に行くコンビニメシだってんだから、やってられない。親の犠牲になる子供がそのまま社会人になってしまってる。

 

京都の堀川高校がここ数年、奇跡の進学率を誇っている。世界中から視察団が来るほどだ。700人の生徒に対して70人の先生が引率している。

 

ところがこの学校、特別な受験勉強はやってない。「大切なのは生徒の将来」と言い切って、子供が自主的に勉強したくなる環境作りで、結果的に勉強を「楽しいもの」にしているのだ。

 

その代表的なものが「探求基礎」という授業だ。自分の興味のある事を徹底的に調べることで子供の好奇心を高めて、それが結果的に理数に強くなる子供を作り、平成19年度で京都大学に現役で35名を送り込み、東大にも現役で3名送り込むと言う「堀川の奇跡」を生んでいるのだ。

 

誰しも知的好奇心はある。特に子供は若いのだから、そこをくすぐってやれば、子供は恐ろしいほどに成長する。その結果が進学率に現れているのだ。これこそ、Plant the seed, Grow the child だろう。

 

君たちは一人ではない。隣で学んでいるのはライバルではない。一緒に学んでいる仲間なのだって事を教えている。日本でも、子供同士を競争させなくてもやっていける道はあるのだ。早いとこ、個人同士を競わせる受験じゃなくて、誰でも一定点数さえ取れれば大学に行ける仕組みに変更すれば、子供たちはもっと成長するだろうに。

 

りょうま君の通う学校では、ほんとに日本の学校のような暗記教育はしていない。好きなことをやらせて、その中で何が本当に好きかを学ばせるのだ。13歳で自分のやりたい道を見つけることが出来る、素晴らしいことではないか。

 

こりゃあ、今の日本の社会人、子供ともまとめてニュージーランドの小学校にもいちど入りなおしてもらったほうがいいなと思った。

 

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tom_eastwind at 00:25│Comments(1)TrackBack(1) 諸行無常のビジネス日誌 

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1. 1/144 HG ジンハイマニューバII型  [ ガンダムプラモデルフリッパー ]   2007年10月22日 21:23
1/144 HG ジンハイマニューバII型 斬機刀がカッコイイ!量産型のカスタム機ってどうして魅力があるんだろう・・・。 ジンがベースになっているので品質も良好。シンプルな形状なので組み立ても 詰まらずスムーズにできます。 ジン好きにはおすすめ。

この記事へのコメント

1. Posted by May   2007年10月19日 14:03
今、雨の中、海から帰ってきたところ。(借金してまで、涼しい顔して海に行くかぁ?)昨日は寒くて、海の色がきれいだった。水も少しは透明で日本じゃないみたい。でも、ずっとこんな所にはいられないな、と思った。帰りの車中でちょうど上のような話をしていた。昨夜、新しい夢として日本に帰ってから、会社を立ち上げたいね、と個性的な女同士で話した。どうなりますことやら。残念ながら私はおうちでじっとできるような人間ではない。記事をひとつメッセージの方に送ります。

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