2007年10月20日

鎖国ビジネス

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レッツノート!

 

今僕が使っているのは、今年の半ばに購入したレッツノートCF-W5というタイプである事は以前も書いた。

 

何せ1200gと軽い。

 

12.1型画面(B5サイズ)なのにDVDが内臓されていて、飛行機の機内でも面倒なく好きな映画を見られるし、バッテリーが9時間持つというご案内。実際にはECOモードを外しても4時間くらいかと思うが、それでも映画2本観るには十分。

 

無線LANが当然の如くあるので、新幹線の時間待ちの時にすいすいとネットにアクセス出来る等等、今の僕には本当に有難い商品である。

 

ところが、この商品で問題が起きた。てか、商品自体の問題ではなく、販売方法である。

 

「何よ!売る気あんの!」突然怒りのチャットが入ってきた。びっくりしたが、良く見ると僕宛ではないのでほっとしながら良く読むと、レッツノート宛の怒りだった。

 

このPC、表面価格も決して安くない。ヤマダやでポイント貰って買っても23万円くらいする、かなりの高級商品だ。その高級商品を買おうと、清水の舞台から飛び降りる気持ちで購入しようとしたスタッフからの怒りの声である。

 

僕らの場合はPCの使用頻度がむちゃくちゃ高い。朝起きてから夜寝るまで、ほぼPCと一緒だ。さすがに風呂には一緒に入らないが、朝起きて真っ先にする事がPCのスイッチを入れること、寝る時にベッドに入る前に最後にする事がPCのスイッチを切ることくらいの頻度。

 

オフィスで使い、夜は自宅に持って帰って使い、出張先の機内で使い、旅先の、毎日転々とするホテルでそれぞれ違うシステムのLANに繋いで使いと、PCは仕事の中で最も身近な道具だし、処理する量も半端じゃないので、ビジネス使用に耐えられる頑丈さが要求される。

 

最近楽しそうに使う僕の顔を見て、数ヶ月前にレッツ仲間が一人増えたのだが、彼もハッピーで使っている。そんなこんなで他のスタッフもレッツに興味を持ち、「よっしゃ、今のPCはもう3年近く使ってるし、買い換えようかな」と思ったようだ。

 

PCの場合、大体3年くらいが寿命だ。それ以上使うと、ある日突然死する。データを抱えたまま、あの世に行かれてしまっては、残された人はどうすればよいのか?死なれる前に乗り換える、これしかないっしょ。

 

早速レッツノートのサイトにアクセスしたところ、性能はそこですぐ分かる。形に拘らなければ、電機やで買えるという事が分かった。

 

ただ、基本機能ではメモリー、HDDの容量が小さくて、自分の要求するスペックはオーダーメイドになるとの事。

 

ついでによく見ると、天板の色も替える事ができるので、かなり「MyLetsNote」になってくれる。

 

そこまで喜ばせておいて、さてじゃあ注文しようとすると、これがなんと次回の入荷が11月!何?今すぐ入手出来ないの?ってあたりから様子がおかしくなった。

 

まずはなんと、注文の場合はウィンドウズビスタが標準であり、XPはなかなか見つからない。

 

メーカー側としてはビスタを表面に立ててる、てかマイクロソフトの戦略なんだろうけど、出たばかりのビスタを頭から信用して使って不具合でデータが飛んで泣くのはこっちだ。MSが責任を取ってくれるわけではない。

 

だから発売後の不具合がほぼ解消されているXPの方が安心して使えるのだが、まずそこで躓いた。

 

次になんと代金決済のところで、てか、注文はすべてインターネットで出来るのだが、こちらが呈示したクレジットカードが使えない!何じゃこりゃ!

 

結局海外のカードは危険性が多いからと思い込み、何の勉強もしないまま何かあっても責任取らなくてよいように、販売機会を無くしても給料は変わらないし、海外からのカードなんて断ってしまえ。

 

そういえばJRで切符買うときも、1万円以上の場合、僕の持ってるカードは、ほぼ決済出来ない。香港発行のビザカード、NZ発行のビザカード、どっちも駄目なことが多い。

 

日本でも、外人が泊まるようなホテルだと海外からのお客を相手にしているので、海外カードで決済額が数十万円になっても問題ないのだが、交通機関とかデパートとか今回のパナソニックとか国内の客を相手にしている場合は、かなり保守的なのだろう。

 

そういえば、一体、海外から来る客はどうやって新幹線の切符買ってるんだろうと思ってたら、前回発見したのがジャパンレイルパスだ。これならオークランドでクレジットカードで購入出来るので、いちいち日本で現金をかき集める必要もない事に気づいた。ちなみに航空券の場合は国内線でもクレジットカードが普通に使える。

 

でもって話はレッツノートだが、結局カードが駄目って事で、次に個人口座から払うって方法を思いついたのだが、このPCの購入方法はイーバンクってシステムを使わなければいけない。ところが海外に住んでいる僕らは、このシステムは日本国内の住所もないから使えないのだ。

 

ここまで来ると、海外に住む日本人差別かい!っておもうくらいだ。そう言えば最近はないが、つい5年位前までは、ノート型PCでさえ「海外で使うと壊れるかもしれないですよ」とか「壊れても保証がないです」とかで、ずいぶん日本国内のお店からは脅かされたものだ。

 

その時はモデムの問題で、電圧が不安定な海外では、モデムが耐えられずに吹っ飛ぶという事があったのだが、実際には販売店の店員さんは、行った事もない海外でトラブルを起こされて、それがクレームに繋がるのが嫌だったのだろう。

 

変なクレーム付くくらいなら、国内居住者向けに売ったほうがらくだモンね。

 

たぶんこの、海外のクレジットカードが使えないってのも、要するに日本国内に市場があるから、あえて海外からの注文を受ける必要ないじゃん、手間もかかるし面倒があるかもしれないしね、そういう事だろう。

 

たださ、日本が戦争で負けてから、昭和30年代は日本はメーカーとして加工貿易で次々と商品を作ったけど、売る相手は国内ではなくて海外向けだった。

 

まだ日本人に対して差別の残る米国の田舎町を、メーカーの代理で回る商社マンが、自分のスーツケースに試作品を入れて、たどたどしい英語で旅をして、いく先の街で文化背景の違うお客に一生懸命売り込む。

 

城山三郎の作品にもあるが、当時の日本人は、そうやって苦労をしてリスクを取って販路を開拓してきた。怖いと思っても、懐に飛び込めば彼らもまた人間、きちんと商売が出来て、今では日本の製品は世界中で高級品として扱われている。

 

ならば、日本国内で販売していても、海外からの購入に円滑に対応出来るような仕組みを作り、販路を広げるべきではないか?

 

昭和の時代に日本人は腹を括って海外に進出して大成功した。ところがその結果経済大国になり人口も1億2千万人に増えたら、もう海外に向けて売らなくても、国内で十分やっていけると思うようになったのか。

 

でもこれから人口減少に向かう日本で、それってどうなんかな。日本の場合、海外に売るとなったら、きちんとそういう部門を作って、そこの部門は海外向けに果敢かどうかは別として取り組んでいくんだろう。海外の人が買いやすい状況を作るのだろう。

 

ところが、日本国内で販売を考える部門は、手間を省くとか、海外に住んでるのは客じゃねえくらいの感覚ではないか。

 

ここが日本人の変なところで、国内とか海外とか分けてしまう。例えばノキアは世界で一番の携帯電話メーカーだが、自分の国の人口は数百万人しかいない。最初から海外に目が行ってるのだ。

 

日本では楽天の商品も海外発送が出来ないケースが多い。まあ中小企業の集まりだからノウハウがないのだろうが、楽天も市場運営者として、このあたりを考えてみればどうだろう。

 

レッツノートだけが抱える問題ではないだろう。日本という安定して停滞して衰退に向かう国が、自分の抱える問題を理解しないままに外国リスクを取らなくなっているというのが、問題の本質にあるのではないだろうか。

 

実はリスクを取らないというのが、一番大きなリスクなのだが。

 

写真は僕の机に座っているレッツノートです。

 

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tom_eastwind at 00:21│Comments(1)TrackBack(0) 日本 | 諸行無常のビジネス日誌

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この記事へのコメント

1. Posted by とある素浪人   2007年10月20日 19:52
私もそろそろ渡航時に使用するノートPCを購入しなければならないんですが、候補となるとやはり筆頭は松下のLet's Noteですね。会社でも一番小型の物を使用しています(2ndPCとして)。デスクトップは持っていけないだろうし、やっぱりノートかな?NZで自作パーツは売ってるのかな(私は自作派なので、デスクトップはメーカー品を使いません。今までの自作総数15台)?ちょっと気になるのは、NECのShield Proですが、値段がバカ高い!できるだけ壊れにくいPCを探さないといけないですね。

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