2007年11月23日

「葉桜の季節に君を思うということ」

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「葉桜の季節に君を思うということ」

 

歌野晶午(うたのしょうご)

 

おお、久しぶりにやられた。

 

2004年に本格ミステリベスト10を取り、第57回に本推理作家協会賞受賞で、第4回本格ミステリ大賞受賞と、おうおう、てんこ盛りですね。

 

本の良いところは、どっかのバカ政治家が下らんことをやって、更にその上のあふぉからから貰うだいなんちゃら賞と違い、賞を取った作品は、それなりに詠んでみると面白いという事だ。その点で、本やの世界はまだまだ何とか世間の常識が通用しているようだ。

 

ミシュランのレストランガイドが東京で発行されたようだが、どれだけ売れようと、あれは僕の中ではいわゆる「本」ではない。まだ見てないし、これからもレストラン案内としては見るつもりはない。味は、自分で選ぶからだ。

 

一体どんなバイアスがかかっているか、それ以上に、味ってのはただ、ある一定のレベルを超えれば、そこから先は「好き嫌い」の問題であり、「良い悪い」で評価すべきではないと思っている。今、この二極化が定着する東京で発行されるミシュランガイドは、一冊のガイドブックとしては興味はないが、今発行されたという事に興味がある。何故なら本は時代を表しているからだ。ただ、自分好みのレストランを探すのは、一冊の優良な書を選ぶのと同じで、適切なご案内人がいないとうまくいかないのが事実だ。

 

でもって、話は戻ってこの本。まさに、「やられたね!」としか言いようがない。

 

東京滞在中に無理やっこ時間を作り、恵比寿の本屋に行く。本がなければ人生はない。

 

本を選ぶ時点で、その人の人間像が見える。どっかのえろ本でもよし、亀井勝一郎の哲学でもよし。どっちを選んだかではなく、何故その本を選ぶのかって時点で、その人の性格や考え方が、その人の背景(お金とか社会的地位とかなんちゃらとか)に関係なく、明確にあぶりだされている。

 

この本は、題名だけ見ると古臭いし、作者の名前もまるで歌人みたいで、最初は??ものだったが、平積みされてたので手に取ると、「買ってよ、お兄さん〜」という信号が出てたので、最初の5文字くらいで速攻決定。他の十数冊と共にニュージーランドに渡る運命になった。

 

それにしても、こうくるか。こりゃ負けた。いう事なし。久しぶりに、楽しませてもらった一冊だ。普通、殆ど最後の部分になって、確認の為に最初の部分を読み直すなんてしない。話の整合性は、文脈で捉えるから、詠んでておかしければ、読み返す必要もなく、すぐ気づく。

 

思えば、あちこちに仕掛けがあった。最初の部分で、実はその仕掛けに、「あれ?何でここでこんな事書くの?」と、裏の意味まで考えてみた瞬間があったけど、それからはどんどん話に巻き込まれていき、何となく忘れていたけど、最後の最後で、ど〜ん!だもんな。

 

良く作りこまれた作品だ。時間と手間を思い切りかけたのだろう。

 

ただし、これを楽しむには資格が必要。

 

1・心に余裕があって、自分がバカにされても気にしない人であること。

2・人間は、戦う限り無限の可能性があるって事を信じれる人。

 

こりゃびっくり。次に日本に行くときは、彼の2冊めを買おうと決めた。

 

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葉桜の季節に君を想うということ (本格ミステリ・マスターズ)

 



tom_eastwind at 00:00│Comments(2)TrackBack(0) 最近読んだ本  

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この記事へのコメント

1. Posted by May   2007年11月25日 15:59
恋愛小説じゃなくて、ロマンチックなサスペンスなんですね。
さっそく、アマゾンで買いました。
この頃、疲れ目がひどくて本は読んでないんですが、ゆっくりなら読めると思う。今読んでるのは、母が非売品で出版した2冊の俳句集。
母は嫌いでしたが、この年になって「人生は旅」を地でいってるダイナミックさと、芸術的感性の豊かさにびっくり。この母にしてこの子あり、って感じです。話をしないままボケてしまったから、よくぞ句集を残しててくれた!と思います。母は今、比良山と琵琶湖を臨む絶好の環境の中で順調にボケてます。
2. Posted by May   2007年12月02日 19:28
やられたー!先日二人で桜が紅葉してるのを発見した。手紙を読みながらCBDってどこだ?とネットで探していたら、見つかった画像は自分が携帯の待ちうけにしてる画像と極似していた。去年まで仕掛けられた物が今年になってからどんどん繋がっていくような感じ。人生はパズルなのか・・・最後のピースがはまった時に私はどこで何をしているんだろう?

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