2007年12月01日
円建てローン
現在のニュージーランドは人口増加による好景気で住宅市場が盛況。
政府の方針により、現在の人口約400万人を、100万人増加させて500万人にしようと言う計画の下、オークランドを中心に、受け入れ先となる住宅建設が開発業者によって行われ、これに合わせて新高速道路の建設、空港の拡張など、オークランド200万都市に向けた計画が着々と進んでいる。
このような状況の中で、銀行金利は8%と非常に高く、お金を預ける人には非常に恵まれた環境だが、住宅をローンで購入する人にとっては、ローン金利が大きな負担になる。
そこで考案されたのが、香港上海銀行による円建てローンである。
これは日本に居住する日本人のみに認可された金融商品だが、その特徴は、
1・日本の安い金利(2007年11月時点で3%)で円建てで住宅購入資金を借りる。
2・ニュージーランドで不動産を購入して高い利回り(家賃平均粗利6%程度)で運用する。
3・住宅の価値が上昇する数年後に売却する事で、キャピタルゲインを得る。
という商品だ。
今の日本では、不動産価格が上昇するというのは、東京都心の一部だけで、全国的には、土地は下がり続けている。だが、1980年代半ばまでは、東京や地方の大都市で人口が増える街は、確実に家賃が上昇してた。それと同じ現象が今、オークランドで起こっているのだ。
そしてこれは、バブルの話ではない、実は世界でもベスト3に入る最大手銀行である香港上海銀行オークランド支店では、お客様がニュージーランドの住宅を購入する際に、円建てでローンを組み、日本の安い金利で支払いが出来るという、画期的な仕組みを作っているのだ。
実際にこの仕組みを利用して、多くの日本人投資家が住宅を購入している。システムを簡単に説明すると、下記のようになる。
1・香港上海銀行にローンの事前許可を取る。
2・物件の決定。
3・HSBC(香港上海銀行の略)にローンの申請をする。
日本で定期収入がある事を、給与証明、確定申告などで証明する。
一軒屋の場合は60%程度、アパートの場合は50%程度がローンで借りられる。
この場合の金利は90日ごとの変動金利だが、日本の金利に準ずる為、現在は約3%である。
この住宅は投資用であることが条件だが、ニュージーランドで会社を設立して、その会社の所有にして、自分が名義上はテナントとして住む事が出来る。
例えば購入価格が100万ドル(約8千万)だとする。手元に現金が100万ドルあるとする。
この場合、50万ドルを即金で払い、50万ドルを定期預金にする。そしてHSBCから50万ドル借りる。
HSBCに払う借り入れ金利は3%、受け入れ利息は8%なので、5%のスワップ金利が発生する。
なので、為替が大きく円高に振れない限り、1年後には4万ドルの受け入れ利息に対して支払い利息が1万5千ドルなので、2万5千ドル、つまり5%の利回りが保証されるのだ。
こんなおいしい商品はないが、何か落とし穴は?それが為替である。受け取り金利はNZドルだが、支払い金利は円建てなので、もし為替が、借り入れ時よりも50%以上下がった場合は、赤字になる可能性がある。
ただ、現実的に1年で為替が半分になるとは考えにくい。今回のサブプライムローン問題でも、値下がりは30%以下であったから、そう簡単に起こるとは思えない。
もう一つ言えば、これには予めヘッジがかかっている。そう、最初に預けた定期預金を解約して、ローンを一括支払いすれば良いのだ。元々全額を購入するだけの資金はあるのだから、最初の予定通り現金で一括支払いすれば、結局リスクは全く発生しないという事になる。
このような面白い仕組みは、実は円キャリートレードと同じ仕組みなのだが、日本では現実性のない商品だ。どうしても海外を噛ませていかないと、面白みが出ない。
写真はファンショーストリートから眺めるシティの景色。