2007年12月03日

シドニー2日目

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何となく思った。街が持つ魅力とか、重力とか。

 

その街に一度住んでしまうと、その街が持つ独特の重力に引っ張られて、他の場所に行けなくなる。長い時間を掛けて地元の人たちが創り上げてきた、その土地だけが持つ重力。

 

ワーキングホリデイなどでオーストラリアに来て、ビザの期限が切れて東京に戻ったら、以前は何も感じなかった東京の水圧を感じる。そこに住む人々の情念、気力、圧迫感、とにかく駅の改札口をくぐって満員電車に乗り、ぎゅうぎゅう詰めの中でなんとか自分を守ろうとすると、他人に冷たくなるしかない。もろに心を開いていると、水圧が体を押しつぶしそうになって、息が出来なくなる。

 

水圧に対しては、東京で生まれ育った人は、子供の頃から自然に対抗する手段=他人に対する無関心、を覚えるが、一度他の街に行ってしまうと、その水圧のなさに慣れてしまい、今まで心に作っていた防御壁が崩れ落ち、自然な自分、素直な気持ちで他人の手助けが出来るようになる。

 

「おばあちゃん、どうしたの、何か手伝おうか?」、「あ、ここ座ってください、お腹の赤ちゃんが大事ですからね」東京では到底出てこない言葉が、自然に出てくる。善意に、てらいとかとげがなくなる。

 

それがオーストラリアの大自然が持つ特徴だろう。あ、これはニュージーランドも同じか。

 

そうなった状態で東京に戻ってしまうと、朝の通勤時の駅に立った瞬間、「え?」って言う、くらくらしたショックを受ける。心が無防備な状態で、朝から出勤しようとする人たちの情念が、そのまま自分の心に入ってくるからだ。

 

「今日こそあの仕事、絶対に成功させてやる」、「何よあの子、あばずれのくせして生意気に私のターゲットに声かけてさ、今日こそ失敗させてやる」、「なんだよ、今日もまたあの上司と顔つきあわせんのかよ、やだな〜」、「ふ〜、初出勤、緊張するな〜、いくら中途採用が普通になったからと言っても、やっぱ何か気になるよな、うまくやっていけんのか、おれ?」

 

そんな、すさまじいまでの情念の水圧が、一気に心の中に流れ込む。

 

そして、気がついてみたら、また飛行機に乗ってシドニー空港に降り立っていたと言うことになる。

 

日本での生活が合っている人もいる。賑やかで騒がしくて楽しくてコンビニがあって、色んなストレスがあっても軽〜く乗り越えて戦っていける人たち。

 

でも、世の中には、それが出来ない人もいれば、出来るけどやりたくないって人もいる。

 

シドニーとオークランドの精神状態を比較すると、てゆ〜か、東京が10の水圧だとすると、シドニーは5くらいでは?オークランドは1、かな。

 

この街に魅了されて、この街の持つ重力につかまった人もたくさんいる。

 

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tom_eastwind at 00:24│Comments(1)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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この記事へのコメント

1. Posted by May   2007年12月03日 18:45
じゃあ、大阪は9かな?
精神科病棟は20くらいかな。
そこではバリアをはずすと自分までやられてしまう。上司がやれちまってる人だと、とてもじゃない、ついていけない。親身になる、でも一線を引く、これは自分に相当余裕がないとできない仕事である。だからこそ仕事以外に自分の世界を持っていないといけない。

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