2007年12月17日

日曜の奇跡

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日曜の奇跡

 

話は、昨日のブログから続きます。

 

実は日曜日に、とんでもない事が起こりました!

 

ブログを書き終わり月曜日分にUPすると同時に、りょうまくんが海から戻ってきた。

 

11時頃だったので、ついでならと思い、りょうまくんを連れて日曜日のタカプナフリーマーケットに行くと、何と信じられないものが売ってました!

 

大概のことにびっくりしなくなった僕でしたが、「それ」は農機具やねじ回し、ゴルフセットなどに混じって、普通にぽんと放置されていたそれ!

 

あり得ん!英国陸軍が公式採用していたエンフィールド小銃の銃剣なのです!

 銃剣写真

 

 

 

おいおい、これ、1950年代はニュージーランド軍に正式採用された武器でもあるだぞ。この銃剣、長さは、刃渡りだけで30cm以上あるんだよ〜!

 

それも、激しい白兵戦闘(つまり兵士同士があまりに近すぎて小銃を使えず、お互いの銃剣で殺しあう距離です)の使用に耐えられるように、刃は分厚く、先は日本刀のようにそりがあるのです。

 

30cmのイメージが湧かない人は、A4の紙の縦の長さを見てください。刃渡りだけでこれより長く、おまけに握りの部分を入れれば、家庭用の電子レンジの横の長さくらいになります。

 

PC前の銃剣

 

それだけ長いのを、体に対して真っ直ぐ入れてみてください。脇に挟んでも良い。ほ〜ら、あなたの胴体を簡単に突き抜けるでしょ。

 

胸から入って、背中に突き抜けて、更に10cmくらいは先っぽが出てしまいますよ。僕のPCより長いのだ。

 

 

 

そんなものを、フリーマーケットで売ってるのか?!

 

最初はびっくり、次は恐る恐る、そこにいた出展者の白人のおじちゃんに聞いた。

 

「ハイ!これって売り物〜?」わざと明るく聞く。

「そうだよ、55ドル」さらっと返された。

「あのさ、これ、Bayonet(銃剣)だよね?」

「そうだよ、見ての通りだ。ほら、ここに1981って数字が彫ってあるだろ、歴史ものだよ」

「それと、その横にあるのは第二次世界大戦当時の米軍が使ってた山刀だよ、よく切れるよ」

 

そのあたりになると、思わず周囲を見回しながら、そろりと聞いた。

「ね〜、これって、違法じゃないの?」

「な〜に、全然問題ないさ。手入れをすれば、背の高い草を刈るのにもよいし、鹿撃ちに行く時に持ってっても、普通のナイフより使い勝手がいいよ」またも、けろっと言う。

 

「へ〜、これでも、確かに考えてみればナイフだもんね、ナイフなら持つこと自体は合法だモンね」

「お前、これに興味あるんだろ、買っていけよ、骨董品だぜ」

 

いや、それは間違いない。イギリス陸軍が使用してたエンフィールドライフルは、実に由緒ある名銃だし、その銃に装着していた銃剣であれば、これも名剣だ。

 エンフィールドライフル

これを買いたい。

 

でも、持って帰って奥さんに見せたら、おそらく「そんなあぶないもん、捨てなさい!」と言われそうだ。

 

 

 

 

そうなると、この銃剣くんは、キーウィのお年寄りが第二次大戦を思い出すヨスガに置いてたほうがよいのではないか?

 

ちなみに、今のエンフィールドライフルは自動小銃に代替わりしている。上の写真がそうだ。

 

でも、更にそこから他のものを見ながら5分ほど考えたら、やはりどうしても欲しい。これだけの骨董品に出会えることは、おそらくないだろう。

 

日本でもエンフィールド小銃の複製は売っているが、実際にニュージーランド陸軍が使用していた銃剣を入手出来ることはあり得ない。

 

歴史の重さ、なのだ。

 

結局更に5分考えたが、やはり買うことにした。

 

「で、鞘はあるの?」お金を渡しながら、あまり期待せずに聞いた。

「ちょっと待ってろ」彼は地面に落ちてた段ボール紙を丸め始めた。

「ほら、鞘が出来た。見えないように持って帰れよ、途中で見つかると、うるさいかもしれんぞ」

 

知ってるよ、そんな事。君、高速道路で警察車4台に前後を挟まれて止められて、ホールドアップ!って言われたこと、ないでしょ。

 

NZでは車の中にナイフがある場合、警察に見つかると、合理的な理由を説明せねばならない。それが出来ない場合、または疑われた場合は、警察に同行という事になる。

 

例えば僕がこの銃剣を持って車に乗り込む姿を見かけた市民が、警察に通報するかもしれない。

 

高速道路の時が、まさに「市民からの通報」で止められたのだから。

 

そこでダンボールでくるみ、更に近くにあったPropertyPressの厚い雑誌で包み、車の中に持ちコンだ。

 

りょうまくんには言わずにとりあえず机の中の見えないところに押し込んでるが、裸の鉄の持つ独特の金属の匂いが出てくるのは防げない。

 

銃剣を装着する側のばね式ボタンは今も動くが、握りの部分の木の古さがとても気になる。26年前の木とは思えない、まるでオークランド博物館に飾られてるような、100年前の上等な木がひび割れした感じ。

 

これって、30年程度でなるようなひび割れじゃないよな。そう思って反対側を仔細にわたって見てると、そこには、何と!そこはかとなく1907と言う数字が見える。

 銃剣の握り全体像

もしかして、1981の方がその年のこの銃剣の製造通し番号で、製造年月日が1907年じゃないか?それならこの木のひび割れも納得できるし。

 

でもそうなると、この銃剣は第一次世界大戦以前の作成と言うことになる。それって、恐ろしいほどの骨董品ですぜ。どう転んでも55ドルの世界ではない。博物館行きだ。

 

エンフィールドライフルってのは第一次世界大戦以前から英国の正式小銃で、1960年代まで英国で使われてたので、1907年が制作年代でも、歴史的にはおかしくない。古さも合う。

 

もしかして俺、とんでもないもんを買ったのか?

 

研磨を見るとかなり雑で、右と左の削り幅が全然違う。忙しいから、ばたばたとグラインダーで一気に削ったような感じだ。正直、こいつ、一度は血を吸ったことがあるかもしれんな。

 

さて、二人が香港から帰ってくるのは火曜日だ。う〜ん、それまでにうまい説明を考えておかないとな。

 

それにしても、びっくりしたな〜。さすがニュージーランドのフリーマーケットである。

 

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tom_eastwind at 11:15│Comments(2)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | NZニュース

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この記事へのコメント

1. Posted by May   2007年12月17日 14:51
一枚目の写真を見て、スクロールするまでもなく、買ったんだな!と分かりましたよ。
通報しようっと、嘘、嘘。
さすがNZのフリマですね。
2. Posted by とある素浪人   2007年12月17日 21:52
正直言ってうらやましいです。
日本でも、昔はM1カービンとかM1ガーランドの銃剣は売ってました。また、M16用の銃剣も売ってましたね。ベトナム戦のも、最近のM9も。
でも、なぜか日本軍の銃剣は、根元から切断されてました。
刃渡りで扱いがかわるんでしょうか??

先日、ドイツ軍の大戦中のガスマスクを、オークションで売っちゃいました。イーグル・バナー入りの貴重品でした。胸が張り裂けそうでした。

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