2008年03月19日

川の流れのように

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照明を暗くしてムードを出したコンパスローズは、東京の定宿の22階にあるバーだ。

 

六本木ヒルズ、東京タワー、そしてミッドタウンを眺めながら飲む酒は、またこれが格別に旨い。

 

 

バーの片隅では、太った黒人が生ピアノを弾きながら、その良く通る太い声で素晴らしいジャズを歌っている。

 

「ア〜ア〜、カワノナガレノヨ〜ニ〜」

 

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あわわわ、おい、ちょち待て!今、「川の流れのように〜」って歌ってたか?おいおい、君、今、美空ひばりを歌ってたのか?

 

「今、黒人が日本の演歌を歌うのって、結構人気があるんですよ〜」一緒に飲んでた元スタッフに教えてもらう。

 

なんじゃそりゃ!アリエナイザーイナバウアーを、久々にかました僕は、思わず聞き返した。

 

ニセコには結局3泊した。スキー視察(笑!)は一日だけだったが、やっぱり日本は、東京だけ見てても分からないし、かと言って地方の視点だけでは何も解決しない問題がたくさんあると思った。

 

北海道は、日本から独立して、観光立国となり、中国かロシアに外交を任せるという方法もあるのではないか。そんな事無責任!なんていう人もいるかもしれない。でも、無責任でも、誰かが何かを始めなければ、北海道は新しいページを開けないのではないか?

 

白老アイヌ北海道にいた先住民であるアイヌを、まるでオーストラリアで白人がアボリジニを殺しまくったように駆逐してまで奪い取った領土なのに、それを全然生かせず、逆に日本の皇居のお荷物になってしまった現状。

 

夕張は今、閉鎖されようとしている。

 

人口約15000人の市だが、市役所の機能を完璧に破壊することで住民サービスが提供出来ないようになり、いずれ学校は閉鎖、病院も閉鎖、市民が払う税金はすべて借金返済に回り、市民は何のサービスも受けられなくなる。

 

 

そんな街ではもう住めないと、市民がどんどん脱出していく。最後に残るのは老人と病人だけだろう。その時点で町としての機能は完全に破壊される。

 

これから、他の地方でもそういう街が次々と出てくるだろう。自分で稼げない奴は潰れてしまえ、相手にしねえ。大きな町に出ていきな、それが政府の方針だ。

 

東京の高級ホテルのバーでブランディを飲みながら、皇居daisuki人間がそんな話をして政治を進めていくんだろうな。

 

人を信じることが出来る日本人てのは、とても良い性質だと思う。ただ、それも時と場合による。

 

yuubari coal mine

 

今の日本で政治を信じるって事は、麻薬でラリッて、片手にナイフ、片手に拳銃を持ってるキチガイと手を繋いでオクラホマミクサーを踊るようなものだ。タンタタンタン、はいそこで回って背中を見せて〜、ぐさ。

 

 

 

北海道には、2年前も家族を連れてスキーに行ったのだが、やはり観光や里帰りで行く日本と、仕事で行く日本は全く違う。こっちの視点が違うから、素敵なヴェールのかかった思い出のふるさとではなく、包丁を砥いでる醜い老婆の本当の正体が見えるのだ。

 

そうやって見える日本は、今現実に日本に住んでいる人からすれば、それこそ「アリエナイザー!」とのけぞるかもしれない。

 

誰もそうだよね、自分の友達が人殺しをしたって聞いたら、「え〜、あの人がそんな事をするなんて!」となる。今の日本が、まさにそれだ。

 

医療費負担を増やし、老人医療を切り捨て、障害者を社会の底辺に追い込み、中年失業者には電車に飛び込ませ、若年労働者は低賃金でこき使い、家庭を崩壊させて、切れやすい子供を作っては犯罪に走り、本来は国民が受け取るべき年金を、役所が全部使い込んで、法律を変えて「カネがねえから払わんよ」と開き直る。

 

たぶん、たまたま僕が今の位置にいるからそんな日本が見えるのだろう。日本に住んでいる人からすれば、やっぱりユデガエルだから、鋭い痛みを感じない。

 

ニセコを朝出て、バスで3時間近く揺られて札幌空港に着く。ここで福岡に戻る相棒と別れて、僕は羽田行きの飛行機の乗客となった。

 

ねずみ飛行機の中では色んなおっさんがいる。土建屋らしきおっさんと、どっかの田舎の町議員が、どぶねずみ色のしわのよったスーツに、生卵の殻のような色の白いワイシャツに、長さの合ってないレジメンタルのネクタイを結んで、まるで双子の精神貧弱児のような顔を寄せながら、次回の入札の話をこそこそとしている。

 

これから東京の「偉い議員さん」に「陳情」に行くんだろうな。おい親父、自分の目先の利益だけ追っかけた結果が、お前の足元に広がる貧弱な北の大地だぞ、わかってんのか。

 

もう少しアルコールが入ってれば、確実に絡んだだろうな。

 

ただ、言っとくが僕は土建業界の存在を否定しているのではない。日本が誇る建設技術は、間違いなく彼らが作ったのだ。その技術促進の為に談合も役立つ時期があった。そこを否定しているのではない。

 

ぼくが彼らに対して頭に来るのは、小泉政権で切られそうになったら、とっとと気づいて他の仕事に鞍替えするなり、もっと逃げようがあったのではないかという、トップの危機感のなさへの怒りである。戦国の武将を見習えっつの。

 

昔は建設業界25万人と言われたが、今は集票さえ出来ない組織である。悪代官と組む越後屋は、「お代官、あなたも悪ですの〜」とか言いながら、切るべきときは理解してた。ほんとに自分の会社を守りたいなら、もっと早い時期に行動すべきだったのだ。

 

それなしに、今になって開き直ってぎゃあぎゃあと騒ぎ始めるのは、国益と言う観点から見たとき、どうなのだ?その部分に頭が来るのである。

 

羽田に着き、dandan薄暗くなっていく東京の空を見ながら、今回の最終日程となる恵比寿のホテルに戻った。

 

黒人の歌うジャズに身を預けながら、いろんな事を考えた。今の日本の領土の国境、これは本当に適正なのか? 

 

霞ヶ関ビル

北海道も沖縄も、結局は大和民族じゃないし東京のビッグホール(つまり皇居ですな、夜、東京を空から眺めれば、ぎらぎらと輝く高層ビルの中、ど真ん中が真っ暗なのが分かる⇒池田ブログ引用:だが、これは以前からそう思ってた)にとっては蝦夷とか琉球だから、どうでも良いのだろう。

 

左の写真は霞ヶ関ビル

 

 

ビッグホールにとって都合が良ければ、そこに米軍基地を置き、ロシアの盾として、とにかく扱いが二流国民であるが、何をおっしゃる田舎者、私たち皇居に住むものに少しでも近づけるんだから、黙って苦労してなさいよ。

 

だって、東北の端っこの六ヶ所?七箇所?よく分からない場所では原発でも引き受けてるんだよ。黙って我慢してなさい。

 

え?なに?そんなに原発が必要なら東京に作れって?ほほほ、何をおっしゃるの、あれは、彼らが欲しいというから、あの町に作ったのよ。

 

川の流れのように時代はうつろう。

 

結局、自分の身を守るのは自分しかいない。かと言って動物的に生きていては、生きる意味がない。

 

強くなければ生きていけない、優しくなければ生きる資格はない。レイモンドチャンドラーの言葉が染みるような夜。

 

黒人が歌う、妙にかっこいい美空ひばりを聴きながら、ウイスキーのボトルの残量をゼロに近づけないように地球の引力と競争をした夜。勿論、結果は僕の負けだ、ゼロどころか、底を割ってしまい、もう一本引力競争をする事になった。

 

結局、ナンなのかな〜、この世の中って。日本のど真ん中で仕事をして、日本の北の端でスキーをして、最後には頭がごちゃごちゃになってしまった。

 

それでも、何とか頭を使って戦っていく人間にだけ、生き残る機会があるんだろな。

 

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tom_eastwind at 00:46│Comments(0)TrackBack(0) 日本 | 諸行無常のビジネス日誌

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