2008年04月10日

海国記

f21f43b7.gif

途中他の本を読みながらの並行だったので、読了に約一週間かかった。上下巻で約1000ページ。内容の重みも、時間がかかった理由の一つ。

 

僕が日本の暗記教育の一例として使う話に、「いいくに作ろう鎌倉幕府」てのがある。

 

「おい、ここは試験に出るからしっかり暗記しておけよ」と歴史の先生に言われて、子供たちは1192年に鎌倉幕府が出来ましたってのを暗記する。これでテストはばっちりだ。これが日本の暗記教育。

 

でもそれが、実際の生活のなんの役に立つの?そんなもん、インターネットで調べればすぐ分かること。

 

NZでは、何で1192年に鎌倉幕府が成立したのか?と言う切り口から子供に考えさせる。

 

jiryo答はいくつあってもよい。例えば荘園、寺領、天皇制、公家、武士、貿易、経済などの切り口から自分で歴史文献を引っ張り出したりインターネットで調べたりして、色んな角度から「その時何が起こったのか?」を考えて、自分なりの答を見つければよい。

 

大事なのは、考える力だ。

 

天皇が抱えていた暴力装置=治安警察であった武士が、次第に天皇よりも力を持ち、経済力を自前で持つ事で天皇や公家などの知識層を支配するようになった。その歴史的転回点が1192年である、そんな答があっても良い。

 

そう考えることで、世の中で何が本当に強くて権力に繋がるのかが学べればよい。

 

または、政治がその決定権を他人に任せると、最初は仕事しなくて楽だけど、いずれ任せた他人に食われてしまう、だから権力とは何かを理解して、手放すならどういう形ですべきかを学ぶとかも良い。

 

いいくに作ろうなんてそんな数字を学ぶのが歴史教育ではなく、歴史を学ぶことで未来をどう切り開いていくか、その能力を身に付けるのが本来の歴史教育なのだ。

 

何せNZでは、試験の点数はない。だから隣の同級生と点数を比較することもないので、皆自分なりに一生懸命回答を考えるから、実社会で生き残る為の智恵となる。

 

日本ではいいくに作ろうと覚えて大学に入り社会人になるけど、権力の意味も武力の意味も何も分からないから、結局そういったものに振り回されるだけで、何も自分で考えることが出来ないままの人生を送るようになる。

 

海国記は、平安の後期から鎌倉幕府中期までの、主に平家を描いている。しかし既存の歴史小説のような人物像を描き出すという方法ではなく、如何にして経済が国家を動かして行ったかを記している。

 

その意味では本当の主人公は海と船であるだろう。

 

kuge面白いのは当時の公家だ。いつの時代も腰巾着で、世間の寄生虫だってのに気づかないまま。

 

こういう連中を有難がってる民衆ってのは、泥棒に追い銭を払っているようなものだ。

 

 

今まで読んできた服部真澄とは一味違った、というか、これが服部真澄が本領発揮をした作品と言うべきか、歴史に学び未来を生きる、そんな事を考えながら久しぶりにじっくりと読めた作品。

 

海国記 上巻 (1) (新潮文庫 は 29-4)

 



tom_eastwind at 11:31│Comments(0)TrackBack(0) 最近読んだ本  

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔