2008年06月01日

仕入れ

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先週金曜日の夜は家族と一緒に山水で食事。忙しかったのだろう、料理の出る順番がばらばらで、ありゃ良くないな。

 

その後は僕の最も重要な仕事であり、製造業で言えば仕入れの部分にあたる市場調査を行う。

 

これは本当に大事で、僕の場合は在庫を持たないビジネスなので、とにかくどれだけたくさんの情報を仕入れてそれを分析してお客様へ有用な情報にするかがポイント。

 

だから常に現場で最新かつ正確な情報を取得する必要がある。とくに、紙に書いてある規定と実際の運用が違うなんてのはどこの国でも当然であり、その為にはやはり現場の話をしっかり聞きこむ必要がある。

 

と言う言い訳を家族の前で30分ほどする。奥さんは半分笑いながら聞いてる。

 

8時過ぎにはいきつけの居酒屋に顔を出す。ここのスタッフ、まだ学生だけどかなりなイケメンで、こいつ絶対ホストだぜって思うような容貌だ。おかげでお店のお客の8割が女性だ。人は見た目で評価するな!ちぇ、ひがみたくもなるぜ。

 

カウンターが満席だったので、イケメン君は僕にテーブル席を勧めてくれた。そうこうするうちに、仕事帰りのおやじが一匹捕まった。

 

おやじ、年は僕より少し下だけど、長いこと旅行の仕事もやってて、顔も体もごつい。

 

おやじ、ふらっと店に入ってきて、さらっと周囲を見渡して僕を見つけると、何も言わずにすたすたとやってきてさっさと坐る。

 

「おれ、ビールね」勝手に注文してやがる。

 

「どうよ、最近?」

 

その前にさ、「あれ?今日は一人?」とか「坐っていい?」とか、聞かないか?

 

「俺は今日は偶然に一人でここに坐っている。今は飲みに出てて、偶然時間はある。今から君の話を聞くだけの心の余裕もある」

 

てな感じで、お互いの馬鹿話が始まる。

 

「今年のNZへの渡航者数は、もしかして10万人切るかもよ」

「やばいじゃん、旅行業界。中国からの渡航者が12万人だし、韓国にも抜かれるのは時間の問題だよね」

 

旅行業者に関する悪い話を、二人で散々大声でしゃべりまくる。「馬鹿どもが、ナンもせずに座して死を待つつもりかい」

 

たぶん周囲には旅行業で働いてる連中もいるんだろうな。でもこれは、彼らも聴く耳を持っているなら是非とも聞いてもらいたい内容だからと、二人で今後の旅行業が目指す方向性の話などをする。

 

そのうち「ちわっす!」と声をかけてくる取引先とも時々挨拶しながら、馬鹿話は盛り上がる。

 

こういう連中は、いろんな情報を持っている。特にこいつは、日本の情報に強い。でもって、体の半分はまだ日本に置いてるような奴だから、あまりNZに思いいれもない分、NZに対しても結構批判的な意見を展開する。

 

時々こっちも熱くなって、周囲が黙り込むような大声で怒鳴ることもあるのだが、そこはイケメンスタッフ連中も慣れたもので、けろっとしながら「tomさん、飲みが足りないっすね〜」とかちゃちゃいれをしてくる。

 

NZが良い国かどうかなんて、そんな抽象的な議論に意味はない。僕の仕事は、お客様が個人生活のレベルでNZを楽しめるかどうかである。

 

カネがあってもNZで不幸な生活をしている連中もいれば、カネがなくても楽しく生きてる連中もいる。そのどちらもNZで生活をしているのだから、NZが良いかどうかなんて議論に、あまり意味はない。

 

途中で山水のスタッフも合流して一緒に飲む。経営者レベルの連中の話も役立つが、現場で働いてる女の子視線から見たNZも、とても興味がある。

 

そう、生きるってのは小難しい理屈ではなく、単純な感情なのだ。今日は野菜が良くなかったとか、魚の新鮮なのが増えたとか、アパートの家賃の電気代が月10ドル上がったとかどうのこうの、そんな事の積み重ねがNZでの生活の気分を作り、それが生活の喜びとか苦しみになるのだ。

 

そうやってしっかりとネタの仕入れをする・・・。あまりの忙しさに何故か途中で記憶がなくなり、気がついたら自宅のベッドだった。「おお、仕入れとは大変だ、あはは」と自分で言い訳しながら、家族の夕食の準備を始める。今日はクリームシチュー。

 



tom_eastwind at 12:20│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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