2008年07月14日

四川大地震で生徒より先に逃げ出した高校の教師

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教師の告白があぶり出した中国社会の「危機意識」

 

日経ビジネスオンライン 「ニュースを斬る」 7月14日 遠藤誉寄稿

 

**抜粋開始**

中国で今、「四川大地震で生徒より先に逃げ出した高校の教師」が話題になっている。しかもこの教師は自らその事実を、ネットで「告白」した。

 

 最初は、なぜ彼がわざわざネットに書いたのか、何が言いたかったのかに関して、深く考察されることもなく、ただ単に卑怯か否か、道徳的に許されるか否か、といった賛否両論の方が表面化していた。

 

しかし彼のこの告白は、徐々にだが、中国を支配するイデオロギーに基づいた道徳観念や、価値観の是非に対する議論のきっかけになりつつある。それはゆっくりと、中国のネットに大きな潮流を形成しつつあるように思われる。

**抜粋終了**

 

中国では建国以来国民の意見は一切無視されて、共産党中央の意向と威光で国家が運営されてきた。

 

1949年に共産党国家が樹立されて、毛沢東周恩来の二頭立てで運営されてきたが、途中に大失敗に終わった「大躍進」、世界の歴史の中でも類を見ない大虐殺「文化大革命」を経て、1970年代後半になって、やっと後小平による南方巡話、経済改革が始まり、今の中国の基礎が出来上がった。

 

僕が生まれて初めて中国の土地を踏んだのは1970年代後半、北京ではほとんど全ての人々が緑の人民服を着て自転車で職場に通勤し、上海では少しだけ街が首都に離れてて外国に開けていた分だけ色気づいてたものの、基本は人民服と自転車、第一百貨店のトイレでさえ、すべてにドアがなかった時代だ。一部には、民衆同士のひそひそ話を防ぐ為とも言われている。

 

あの頃、中国には泥棒がいないと言われていた。外国人からモノを盗むというのは誇り高い中国共産党幹部にとっては、「おやおや、社会主義もどうなんですか〜?モノが不足しているんですかね〜?」と外国人に笑われることになる。

 

笑われる。これが中国人にとっては一番の侮辱である。

 

だから、中国人同士で殺しあおうがどうしようが関係ないが、外国人のモノを盗れば、それで死刑になる可能性がある。だから中国では外国人への泥棒が全く発生しなかったのだ。

 

決して道徳心が高いからモノを盗まなかったのではなく、費用対効果が合わないからやらなかったのだ。それは今の中国のビジネス現場を見ればよく分かる。

 

そのような中国で急激な資本主義が導入されている、てか、本家本元がいよいよ本性を出し始めたのだ。

 

が、だからと言っていきなり左から右に振れてしまえば、多くの学生や若者を外国人の面前で戦車や銃で虐殺した第二次天安門広場の二の舞になる。中国人は、熱いのだ。この点を世界中の人間は理解する必要がある。

 

彼ら中国人は、ある一線まではすべて合理的に動く。しかし、譲れないその一線に問題がかかった瞬間に、彼らの損益計算表は吹っ飛び、すべては面子の問題となる。侮辱、笑われる、謝罪させられる、このような行為は、彼らにとっては許しがたいことなのだ。

 

だから、政府は様々な問題を言論統制する方法として、あるときには反日を宣伝し、ある時はカルフールをたたき、ある時は海外に住む中国人留学生を動員して聖火を守らせる。

 

特にインターネットは爆発的な力を持っており、原則言論自由であるインターネットでの情報発信をどう制御して軟着陸させて愛国心と経済大躍進を同時進行させるかが大きな課題となっている。

 

しかし、インターネットは諸刃の剣である。うまく使えばすさまじいまでのパワーで国民や若者を動かせるが、一つ間違うと、政府の根っこからぐらぐらと揺さぶる強大な力となることを、政府自身がよく理解している。

 

だからこそ、何せ天下のグーグルでさえ、中国では政府による検閲を認めさせたくらいだ。天下のグーグルでさえ、頭を下げて中国と組んだのだ。

 

昔、インドの地方の王様がコカコーラの製法を教えねば売らせないと言ったら、コカコーラ社は、「ならば御宅の地方では売りません」と断固拒否したのと比較すれば面白い。

 

そんな中で今回、ある地方のたった一人の教員が投げ込んだ問題が、今中国のインターネット、てか中南海の今後の方向性に大きな波紋を投げかけている。

 

この問題は、中国の限界を示しているのではなく、中国のこれからのインターネットの発展を示している。

 

中国を好きな人も嫌いな人も、その知識を少し深いところに落とし込んでみようと思う人には、これは大変面白いテーマである。

 

日頃僕は、中国ネタのブログはあまり取り上げない。数が多すぎるし内容が多岐にわたるわりには、本質を突いたものが少ないからだ。

 

しかし、これは実に面白かった。中国の今日を描いて、これからの中国の変化を予測させてくれる内容であった。

 

 日経ビジネスのNBOnlinePremiumは、読み応えのある記事が多い。今の時代、日本にいるから日本の事を良く知ってるなんて時代ではなくなった。

 

自分から情報を取りに行く人間にのみ、情報はその価値を与えてくれるって時代になった。甘えてちゃ駄目。今の自分に満足しては駄目。そのうち、時代に棄てられて取り残されて、気づいた時は手遅れだぞ。

 



tom_eastwind at 18:49│Comments(1)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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この記事へのコメント

1. Posted by とある素浪人   2008年07月14日 20:44
日経オンラインは面白いですね。ダイヤモンド・オンラインも結構面白くてためになるように思います。
日本にいるよりも、むしろ海外にいる方が日本の現状を世界的な視点から捉えられるように思います。

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