2008年08月13日
コロネットはピーカン
このスキー場、特に今年は20億円かけて降雪機を増設しただけあって、一言、すごい!だ。どこでも滑れるし、とにかく楽しい。日本のスキー場にはない雰囲気だ。日本だと斜面にコブがあれば潰す。キーウィだと、コブがないところにコブを造ってジャンプする。
そのおかげだろう、今年はオーストラリアからのお客や欧州からのお客が増えており、ゲレンデでも普通にフランス語とかオージー英語が飛び交ってる。ないのは日本語だけ?
それにしても日本人、減ったな。てか、インストラクターとして働く日本人が6人いる。それから山で働くスタッフの中にもいる。けど、客としての日本人の消滅の方が思い切り感じる。
僕がクイーンズタウンで仕事をしていた1989年頃は、日本は勿論バブル絶頂期。スキー場のアジア人と言えば日本人のみで、特に8月に入るとスキー場の三分の一は日本人じゃねーかと思うくらいだった。それが消えたのだ。
日本の二極化で、一般の人々は余暇にお金を使う余裕がなくなった。わざわざニュージーランドまでやってきて寒いスポーツなんてする気も起こらないのだろう。
仕方ないとは思う。そして日本のスキー場も大変だ。人口減少と二極化がスキー客激減と言う結果を招いている。
ただ、生き残る道はある。日本のスキー場だって、海外スキーツアーを扱う会社だって、方策はあるのだ。
それが海外からのお客を呼び込むことだ。現にニュージーランドのコロネットピーク、リフトチケット一日券は95ドルもするけど、資産のある外国人からすれば「だから何?」である。丁度、BMWに乗る人はガソリンが値上げしても気にならないって理屈だ。
ニセコに行った時も香港人やオーストラリア人が来てた。
要するにお金のない日本人相手に昔と変わらない商品を売ろうとしても、もう誰も買いませんよという事だ。
でも、その商品を買うことが出来る人は世界中を見回せば、たくさんいる。
考えて見れば、戦争に負けた日本は、焼け野原から町工場を作り、外国から原材料を仕入れてトランジスタラジオを作り、それを商社マンがスーツケースに入れて米国の田舎町で売り歩いたものだ。
その時にお金持ちだったのは米国人だった。日本にはお金がなかった。買いたい人に買いたいものを売る、そういう時代の事を忘れたのだろうか?
ちょっと考えれば分かることだろうが、「考える」と言う技術を戦後の学校教育で潰された人々からすれば仕方のないことかもしれない。
でも、このまま放置しておくと、そのうち日本のスキー場は金持ちの外国人に買い占められるよ。今の日本のゴルフ場の多くが外国ファンドに買収されているのと同じ理屈だ。
日本のゴルフ場に韓国人が来て、その利益は外国ファンドが持っていく。日本に残るのはこき使われた労働者とその子供たちの将来の不安だけ。
その点クイーンズタウンはちっちゃいながら要領よく外国からの投資を受け入れて設備を整えて、外国人を呼び込んでいる。その利益はきちんと地元に落ちると言うビジネスモデルが完成している。
米国や欧州の観光客は、一週間単位でクイーンズタウンに宿泊する。天気の良い日は山でスキーを少し楽しみ、昼ごろにはワインと食事を楽しみ、おしゃべりを楽しむ。
少し天気が悪ければ、街に出てお土産を探したりジェットボートに乗ったりミルフォードサウンド一日ツアーに行ったりしている。
夜ともなると皆が街に繰り出してきて、車を止める場所もないほどである。レストランでははいかにも観光客って格好の人々が、一回の食事に一人一万円以上を平気で使う。
ワインのボトルはどんどん空いて、レストランのシェフはばたついて、町は夜遅くまで賑わう。特にファーグバーガーでは、朝の4時頃に飲み終わったオージー連中が夜食代わりの1200円のハンバーガーを食い、そのすぐ後には、朝食としてハンバーガーを食いに来たオージー連中が行列を作っている。
ちっちゃな、地下資源もない国が、その国にある無料の雪を利用して、外国人相手にしっかり稼ぐ。最近は不動産不況も始まっているが、不動産投資をせずに堅実に商売をしているクイーンズタウンの人々には、あまり大きな影響がないようだ。
今回も友達の経営するレストランで食事をする。彼の店も急がしそうで、「ちょっとごめん」とか言って席を外すと、観光客の間を回ってトップ営業である。
ある晩などは、最初から顔を出さないのでどうしたのってスタッフに聞くと、ちっちゃな声で、「キッチンでお皿洗ったり野菜切ったりしてるんですよ〜」と、くすくすと笑いながら教えてくれた。
良いことだ。
そうやって皆が、明日の希望を持てる、そんな気持ちにさせるクイーンズタウンだった。


