2008年08月28日

床屋談義

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4月に家族で函館に行った時、ついでに散髪をしてきた。(散髪ってのも、もしかして死語か?)

 

駅前の平日の午後、人通りの少ない、でもその店だけは何故かたくさんのスタッフ(8名くらい?)とお客(10席もない)で埋まってた。初日に見かけてずいぶんお客が入ってるなと思い、翌日もまた偶然そこの前を通りかかると、お、スタッフばかりでお客は一人だけ。

 

ちょうど散髪したかったので、髪の伸びた竜馬と二人で飛び込む。

 

どこ切るんじゃ?とよくからかわれるくらい丸坊主のはげなのだが、短くするとそれなりに10日に1回は刈りそろえる必要があるのだ。

 

日本なので実に手際が良い。さっさと注文を取ってくれて、何より良いのは曖昧が通じることだ。「ここを大体こんな感じで〜、こっちがこうで〜」とか、「子供は普通に刈ってください」で通じる。

 

実は僕はオークランドにいる時は、いつも自分でバリカンで刈っていた。だから後頭部とか刈り忘れたりして、そこだけモヒカンになったりする。でも、地元のお店でキーウィ相手に「曖昧な」説明をして無茶苦茶に切られた挙句に金を払うくらいなら、30ドルで買えるバリカンを何十回も使ったほうが余程諦めもつくと言うものだ。

 

この時は旅の途中だしバリカン持ってきてなかったので、久しぶりに日本の散髪や=理容室に飛び込むことになったのだ。

 

ただ、何でこの店、特別でもないのに繁盛しているのかなと思って後でちょっと聞いたら、以前は個人経営の理髪店がたくさんあったのだけど、人口が減少して大手チェーンが進出(それがこの店らしい)、格安価格で客を取ってしまったもんだから、古くからやってる店はどこも赤字で子供は商売を継がず、結局廃業するか、チェーン店で働くしかなくなったとのこと。

 

元々この業界、ちゃんとした団体があって値段等は昔からどこでやっても同じ、大人一人4千円くらいってのが相場だった。

 

ところがQBハウスなど安売り?散髪やが参入してきて市場は激変。そこからすっかり値段競争に追い込まれて、古くからやってる理容室などは怒りのあまりにQBハウスが出来ると石ぶつけたり美容師を脅かすなんて騒動になった。

 

でも結局消費者の支持を得た安売り理容室が業界を席巻して、他の美容院もあの手この手で価格競争に走り、今の状況になっている。

 

たしかに価格競争で美容室チェーンの経営者は儲かるだろう。そこで働く人も仕事は安定するだろう。しかし、その人たちの収入は確実に減っている。

 

消費者は安いものを探して買う。その結果企業側は人件費を下げる。労働者の収入は減る。労働者は家に帰れば消費者だ。企業の安売りの結果給料が下がったから、消費者は安いものを探して買う。悪循環。

 

ここでもまた「働けど働けど猶〜」が始まっている。労働者が回りまわって同じ労働者を虐めているのだ。

 

価格競争はこれもあってしかるべきだろう。でも、適正価格がいくらかってのは大事だと思うし、適正価格の中には、必ず社員の生活の安定が入ってるべきだと思う。

 

雇用形態がどうであろうと、少なくてもその会社で5年から10年働けば、夫婦の共稼ぎで家を買う頭金くらい貯金出来る、それが一つの標準ではないかと思う。

 

その標準を作るのが政府の仕事である。

 

民間に任せていては、人間さえも商品の一部となってしまい、最低価格がどんどん下げられて、結局「食えなく」なる。5年経っても家が買えない、その日暮らしのサラリーマンになってしまう。

 

でも、人間だけは商品の部品ではなく仲間なのだ。その認識があれば、最低の生活を守ろうって気持ちになるはず。

 

例え派遣でもパートでも、最低守るべきものはあるはずだと思う。人が人を尊敬していれば、やってよいことと悪いことの区別がつくはず。

 

ところが今は職場で差別が広がり、同じ仕事をしても正社員、派遣、パートと、階級が発生している。職場内階級は、静かに人々の心に浸み込んでいる。

 

でもその格差是正を民間に求めても、民間は価格競争をやっているんだから他社が値下げすれば当社も値下げするしかない。そしたら一番経費削減に早いのは人件費である。だからどしても人件費の値下げに歯止めが効かない。

 

だから本来なら政府が国民生活の最低基準を守る為の「人が人に値する生活が出来る」最低賃金を導入してそれを遵守させるべきなのだ。ところが東京の最低賃金は739円である。ニュージーランドはどの地域で働いても12ドルだ。どっちがまし?

 

政府もやっと最近になって職場内格差の是正に向けて取り組み始めたが、キーウィ流に言えば「遅すぎるし少なすぎる」ではないだろうか。

 

結局いつの時代も一番損をするのは政府を信じて真面目に働いている人々だ。

 

写真はグレンフィールドのショッピングセンターでバーゲンやってるとこ。

 

しょうもない床屋談義であった。

 

 



tom_eastwind at 19:47│Comments(0)TrackBack(0) NZの不動産および起業 

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