2008年09月27日

都市鉱山と偽善エコロジー

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日経ビジネス2008年9月8日号より

 

都市鉱山という造語を最初に公表したのは東北大学音南條道夫教授だった。

 

家電や空き缶、都市空間を占める工業製品をリサイクルに回せば立派な鉱床になるという提唱だった。

 

日本の都市鉱山の埋蔵量は現在、金は世界の埋蔵量の16%、錫は11%、液晶の電極などに使われるインジウムで61%。これは世界有数の資源国に匹敵するそうです。

 

と、ここまでが日経ビジネスの記事。

 

日本人はDNAの中にモノを大事にする要因を持っており、それは2千年以上の歴史の中で自然と共生するって事が一番良い生き方だからと知っていたからだ。

 

ところが米国との戦争に負けて彼らの物質主義が導入されると、「消費は美徳」となってゴミが増えた。

 

でも、そのようなゴミからリサイクル品を取り出す技術がなかった時代は、結局レアメタルもゴミとなっていたのだ。

 

その当時ゴミ屋ってのはかなり地位の低い仕事と見られており、ちり紙交換、鉄くず拾いなどはネクタイをしているサラリーマン連中からは白い目で見られたものだ。

 

ところがリサイクルと言う言葉が世間でやっと認知されるようになってから、そのようなリサイクルが陽の目を浴びるようになっている。

 

うれしいことに、当社の取引先にもそういう会社がある。一つの廃品をすべてばらして、全く無駄の無いようにしてリサイクルする技術を持っているのだ。

 

地球

 

まだまだ新しい業種ではあるが勢いがあるし、何よりも「もったいない」を実行している張本人なのだから、これはうれしい。

 

 

 

都市鉱山の中でレアメタルを掘り起こし、無駄を減らす。こういう発想は、元々西洋人が苦手とするものだ。

 

彼らは使ったら使い棄て、もったいないという言葉の意味が分からない。

 

あえて言えばキーウィは、昔から質素な生活をしておりリサイクルや修理を大事にするから日本人に一番近い西洋人と言えるだろう。

 

それにしても都市鉱山って言葉、今年の僕の中で結構響いてる。

 

と言うのが、今読んでる本が「偽善エコロジー」だからだ。

 

環境エコとかリサイクルってのは、殆どが西洋人が金儲けの為にやっているようなもので、その際たるものは地球温暖化だけど、そんなもんに踊らされている日本人がいる中で、こういう本が出てきたことは、とても良い時期だと思う。

 

これは是非とも多くのエコ論者に読んでもらいたい。

 

日本人はその多くが「もったいない」という気持ちを持つ人々だろう。だから自然にいろんなものを節約したり再利用したりする。

 

ただ日本人の悪い癖で、何かを始めるとすぐ行き過ぎて反対側に飛び出してしまうってのがある。

 

澄ました顔で「わたくし、少しでも地球に優しく、自分に出来ることを少しでもしてあげたいんです」と、レストランでMy箸を出す人。本人は自己満足なんだろうが、見ているほうからすれば不快極まりない。

 

何故なら彼女の動作は自発的に科学的に森林資源の需給を計算した結果ではなく、世間の流れに乗ってわいわい騒いでるグリーンピースと同じ自己欺瞞と思考停止だからだ。

 

「偽善エコロジー」ではMy箸の無意味さを訴えている。

 

捕鯨反対の連中は、必ず「鯨がかわいそう」などの無意味な感情論を持ち出す。日本人は捕鯨論議をするときには必ず「科学的根拠」を持ち出す。

 

鯨がかわいそうならイラクで今も死んでいく人々はかわいそうじゃないのか?米国の兵隊に撃ち殺されてる人々はかわいそうではないのか?

 

まあそれは置いておいて、人間が生きていくにはモノを食べるしかないけど、植物も含めてすべての生き物には命がある。その命を奪わなければ人間は生きていけないのだから、それを前提にすべて考えていく必要がある。

 

バッファローつまり人間は殺生をしなければ生きていけない。だからと言って北米大陸の野牛みたいに殺しまくって、遂に絶滅寸前まで追い込んでしまったら、生きていくための食料がなくなる。

 

だからそのバランスを取って、地球が活動をすることで発生する余剰分を、てかわかりやすく言えば定期預金の元金は使わずに金利だけで食える状態で生きていく必要がある。

 

 

今人間が地球上に60数億人いて、その人たち全員が生活出来るだけの水、食料を確保するためには、どれだけの「金利」を得る必要があるのか?

 

もし不足なら元金を増やす方法を考える必要がある。これが効率化とか食糧増産にあたる。そして地球資源を、つまり元金を食い潰さないように持続的な生活環境を作らねばならない。そこで出てくるのが科学だし統計なのだ。

 

その意味で科学的根拠もなしに「何となくテレビで言ってるから」とか「環境を守るの大事だから」などと言ってる連中にぜひ読ませたい本だ。

 

エアコンを28度にすれば一体どれだけの電力が節約できるのか?その結果不快な環境で仕事をすることで落ちる効率はどう計算するのだ?

 

例えば紙資源のリサイクルと言って新品の紙を売ってる会社、一体何のためのリサイクル?

 

コンビニ弁当食べ物にしても、1日でも賞味期限が切れたものを売ったら「毒を売る会社!」みたいに言われるけど、じゃあそれを棄てたら、今度は「食料を無駄にする会社!」と言われ、ならばと一日に売り切れるだけの数を作ったら「何でいつも売り切れなんだ!」と怒る消費者。

 

 

これもすべては異常なまでに無知で無教養な人々が誰の批判にもさらされない「消費者」と言う高みから企業を痛めつけているからだ。

 

とにかくこの本、面白い。何が最も面白いかってのは、この本自体が、どれがほんとでどれが嘘か、自分で考えないと分からない仕組みになっているからだ。

 

つまり、この本の作者の指摘している内容は、明らかな間違いもあるし正しい内容もあるからだ。

 

・リサイクルペットボトルは既得権益者を肥え太らせるだけ
・石油の余り部分で作られるレジ袋はもっと使うべき
・バイオエタノールは環境にやさしくない

・ダイオキシンは毒ではない

・吉野家の牛丼では狂牛病には罹らない

 

さて、どれが本当でどれが嘘でしょうか?ちなみに本では「全部本当」と書いています。

 

この本の内容については賛否両論だけど、どちらの派でも共通して一致しているのは「こういう本が出ることで日本人が迷信や環境業者に騙されるのではなく科学的に自発的に考えるようになる機会が増えた」と言う点だ。

 

 

 

 

偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書 (た-5-1))

 

 

 



tom_eastwind at 00:51│Comments(0)TrackBack(1) 諸行無常のビジネス日誌 | 最近読んだ本 

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1. 『偽善エコロジー』  [ 月のブログ ]   2008年10月11日 08:13
エコを志向する人は一回読むべきだと思います。 偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書 (た-5-1))武田 邦彦 by G-Tools ...

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