2008年11月07日

焼き討ち

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「殿、謀反で御座います!」

そんな言葉を放つ間もなく屋敷に花火が撃ち込まれた。

 

花火?

そう、今日からガイフォークスデイ。

 

 

花火解禁でまたも消防署が一年で最も忙しい時期になり、一晩中どこかの家が焼き討ちに遭って丸焼けにならないように見張るのが仕事という、それってどうなん?なガイフォークスデイが始まる。

 

1605年、当時の英国国王は英国国教会を優遇しカソリックは弾圧されていた。

 

それに激怒したカソリック教徒ガイフォークスが国王の参加する議会の開会式を狙って議場を火薬で焼き討ちにしようとした結果は事前のチクリで失敗。結局彼は政府によって首吊り、内臓掻き出し、心臓抜きの上に肢体ばらばらで処刑されたのだが、彼が望む焼き討ちという分では大成功したのではないか?

 

何故なら彼が処刑になった1605年から今日まで約400年間、一体どれだけの英国国教会の家が「ガイフォークスデイ」の名の元にキリスト教社会で焼き討ちに遭っただろう。

 

ただそれもカソリックの手にかかって焼き討ちにされた英国国教会の家もたくさんあるだろうが、信者分布からしてそれと同じかそれ以上の英国国教会以外のクリスチャンの家が焼き討ちに遭ったことは明らかである。

 

少なくともニュージーランドの信者数を月刊NZの資料で見てみると、400万人の人口の半数がキリスト教で、国教会が17%、カソリックが14%、長老派が11%だとのこと。

 

だからまあ、こうなると乱れ打ち、プロレスで言うと各チーム3人づつ参加型のバトルロワイヤルではなかろうか。

 

毎年この季節になると、最後の一軒が焼けるまでやり続けるのか、思わずそう思ってしまうほど、あちこちの家の屋根に打ち上げ花火のカラが落ちてくる。

 

だってさ、目の前森林だってとこに住んでる人でさえ自分の家のまん前で空高く真っ直ぐにロケット弾打ち上げて、片手にビールではしゃいでいるんだから、こりゃもう焼けるしかないでしょう。

 

日頃森林沿いの道路を走ったら「たばこのポイ捨て禁止」って書いた標識が出てるのに、市街地の焼土作戦はOKなんですかい?

 

もちろん政府も手をこまねいて喜んでいるわけではない。保険会社からすれば、バカ騒ぎを越した話である。法律で規制したくなるのも当然で、はい、毎年規制をやってます。

 

しかし、上が政策を作れば下は対策、あ、これは中国や日本などの社会主義国家だ、上が作った政策など無視してバンバン花火を打ち上げるのがキーウィ精神。

 

家が焼けようがどうしようが、毎年このどんちゃん騒ぎは続くのですから、初日の昨日はドキドキものでした。

 

そういう僕らの祈りが通じたのか、昨日は花火が打ちあがり始めると共に雨が降り出し、これこそ恵みの雨!って感じですね。

 

ニュージーランドが自由な国であるのは大事なんだけど、それはあくまでも他人に迷惑をかけないことが前提。

 

ピハビーチで溺れてビーチセーバーに救助してもらうのは、これは自己責任だし楽しんだ結果として自分が溺れてるんだから仕方ない。けどさ、花火は他人の家を焼くことが基本なので、やっぱり無責任で危険でしょう。

 

むしろ折角花火をしたいなら、きちんと花火が出来る場所を作ってみんなで打ち上げ花火大会をやった方が、よほど生産性も安全性も上がるし、うまくいけばこれがオークランド名物ってことで売り物になるかもしれないではないか。

 

それこそハーバーブリッジの上で花火並べて、四つ裂きにされて血だらけになったような真っ赤な花火が飛べば「ガイヤ〜!」とか、首を釣られて青い顔をしているような真っ青な花火が飛んだら「フォークスや〜!」とか、みんなで海岸にござをひいて眺めればいかがなものか。

 

 



tom_eastwind at 00:28│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | NZニュース

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