2008年11月18日

「将軍の娘」 ネルソン・デミル

将軍の娘〈下〉 (文春文庫)
将軍の娘〈下〉 (文春文庫)

「将軍の娘」ネルソン・デミル

 

以前から読みたいと思ってamazonの中古で入手したのだけど、2ヶ月くらい読む時間がなくて自宅の本棚に置きっぱなしになってた。

 

その理由として、やっぱり本の分厚さにある。文庫本なら上下で800ページくらい行くのではないか?単行本で分厚くておまけに2段になっているので結構はまって読まないと、途中で降参してしまいそう。

 

やっと週末に時間を取って一気読みしたのだけど、結果から見て「初期の作品ですね」という感じ。

 

勿論出来はすんごい良いので標準よりすんごい上。ただ、ネルソン・デミルの21世紀の作品、例えば「アップカントリー」あたりを先に読んでしまったので、そういう「進化した作品」から比較すると、まだまだ弱さを感じるのは僕だけか?

 

ただこの1992年に書かれた作品は、その時代背景を考えると実に面白い。

 

ベトナム戦争で負けてサイモン&ガーファンクルの「アメリカ」や「ディアハンター」に見られるような長い暗い「自分探し」の時代を抜けて米国が再び体力を取り戻した時代に書かれた作品だから、ベトナムについてもやっと客観的に見ることが出来るようになっている。

 

「この席、あいてますか?」私は、ラウンジに一人で坐っている魅力的な若い女性にたずねた。

「ここへはよく?」

「あっちへ行って」

「君の星座は?」

「人食い座」

「どこかで会わなかったか?」

「いいえ」

 

実に小気味よく始まる最初の数行で引き込まれるし、そこにはデミル独特の「バカで自分の脳みそで考えることが出来ない男」と「バカを相手にしたくないけどその厚かましさについつい引っ張られる女」の機知に富むやり取りが繰り返される。

 

デミルが一番楽しいのは、そういう会話を真面目な話のあっちこっちに地中深く掘った時限爆弾のように仕掛けてて、こっちが真面目に引き込まれて読んでたらいきなり「ドカーン!」と来てしまい、周囲にいる人たちに「何この人?さっきまで真面目な顔で難しそうな本を読んでると思ったら、突然げらげらと笑い出してさ」となってしまうところだろう。

 

ある意味、周囲の人を敵に回してしまう本である。思わず「コホン」と軽く咳をして、周囲の人に「・・・失礼・・・」と言ってまた本の中にのめりこむしかない。

 

ちなみに単行本で定価2700円。平野書店より出品。たっけ〜な。けど買う価値はありました。

 

それから女性が読む際には予め深呼吸することです。人の言葉にとても敏感な人は、途中でこの本に火をつけるかもしれません。

 

しかしそれにしても、神様はこの世界に男と女しか作らなかったっつうのに、その扱いの不公平さはどうよ?デミルのせりふを一つでも覚えておこう。けど、使ったら確実に殺されるな。

 

 「アーメン」



tom_eastwind at 20:23│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | 最近読んだ本 

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