2008年12月13日
90day hire-and-fire bill
国民党に政権が移ってどうですか?と聞かれることがある。僕の答えは「良かったですよ」だ。それは移民政策だけでなく経済政策において経営者の立場を理解した施策を行ってくれるからだ。
元々この国は社会主義国であり労働者が充分に強いし、経営者だって元々は労働者で、だから殆どのまともな経営者は労働者の事をきちんと扱っている。
けど、この国では労働党政権下では経営者が不当に低く評価されたり、苦労するだけで利益はすべて労働者に回ったりなど、どうしても働く意欲が下がってしまう。
そこで早速新しい法案が国会で可決された。
90日採用解雇法案とでも言うか、90day hire-and-fire billという名前で、要するに経営者が自分で雇った社員を90日以内なら自由に余分な費用なしで解雇出来るという法案だ。
野党である労働党は勿論反対している。
けどこの法案は、中小の経営者にとっては朗報であろう。これで雇用の自由度が生まれる。人なんて採用してみないと優秀かどうかなんて分からない。だから採用して見てダメなら切る自由は、経営者には必要。でないと萎縮してしまい、人なんて雇えない。
ここで問題になるのは、そうすると今の日本のように失業者が増えるという論点だけど、これはブログに書くには長すぎるネタなので簡単に言う。
経営者の経営の自由度と雇用問題を同次元で扱ってはいけない。国が継続的に発展していくには経済活動が必要だしそれを支えるのが企業で企業を作ったり発展させたりするのは経営者の仕事。その結果として雇用が発生する。
だから無意味な雇用や生産性のない労働者を採用するとか会社の経営方針を守らない人々が会社にいては経営の生産性が低下する。
そのような人々を「一旦採用したから」と言う理由だけで首に出来ないなら、そんなリスクのある商品は買えない。例えて言えば、企業が購入した新型機械が全然使えなかったら当然返品して必要に応じては賠償請求をするだろう。
ところが人間と言う商品だけは返品も出来ずずっと使い続けなければならず、万一返品(解雇)しようとしたら目の玉が飛び出るような賠償金を払わねばならないのだ。そんな不合理がどこにある?
その結果として経営者は採用をしなくなり、かえって失業率は高まるし、優秀な人間がその国の法律の不平等の結果として採用されなくなる。これは社会全体の効率から言ってマイナスなのだ。
使い物にならない労働者の仕事がなければ、それは国民であり国家が何らかの形で富の再配分をすれば良いのであり、生産性を求める企業に対して雇用保証を直接要求するのは全く筋違いである。
これは国民と労働者、または労働力の区別が出来ない感傷的な連中が採る「だめな政策」であり、部分の無謬を全体の誤謬にしている典型的な例だ。
けど、雇用契約書の書き方も知らない多くの日系企業には意味不明な話だろう。何故なら彼らは最初から雇用法を理解していないからだ。
一度くらい労働調停所に行ってみろ!
日系企業の社長と呼ばれる連中にはニュージーランドに住んでいながらNZの本当の生活を知らない人が多すぎ。
そういう人たちが親からもらった金で会社を作り何故か肩書きだけ「社長」と付けてNZ擬似生活を喜んでる、子供の運動会レベルである。
けどまあそれは今回の趣旨ではない。
ポイントとしては、民間企業上がりの首相が早速経営者向けの政策提案をしたってところかな、この法案。
期待させてもらいますよ、国民党。ぼくの一票、家族全部を合わせれば3票入れたんだから。