2009年02月24日

亀と兎

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ニュージーランド経済についてちょいと一言。

 

NZdaisukiなどを見ると不動産のローン支払いの滞りが増えているという記事が出ていた。

 

それはその通り。けどこれには場外の人には見えない色々なずれや現実ネタがある。ここを知らない限り読み解いたことにはならない。

 

僕自身不動産を毎日のように見て扱っているので現場視線で見るのだが、市場外の人が思うほどには痛んでない。

 

まるで投売りのような印象を与える記事だが、僕がその記事を持って奥さんに

「ねえ、安い物件あるの?」と聞くと、

「ばっかじゃん、赤字になってまで売る人がそんなにいると思う?」

そう。新聞が言うほどには下がってないのだ。

 

これは数字のマジックで、銀行がアパート投資への新規ローンを実質停止した為にアパートを買う投資市場は消失したが、だからと言って家賃が下がってない現状では、ムリに叩き売る必要はない。

 

ここがポイントであり、米国では自分が住むマイホームを、本来払えるはずのない金利で借りて失業したから家を手放す結果になったのだ。

 

けどNZの投資家は自分が住む為にローンを組んだのではない。米国のような、途中から返済額が大幅に増えるローンでもない。

 

最初からきちんと払える計算をしてローンを組んでいるのだから、家賃さえ適正に入れば叩き売る必要はないのだ。 

 

そう、ここがポイント。オークランドで毎日家賃相場を見ているが、これが下がってない。何故ならアパートを必要とする学生の数が減ってないどころか増えているからだ。

 

ローンが払えずに手放すケースも確かに発生している。しかしその内容と大変さは、米国や英国の比ではないのだ。象さんと蟻さんくらいの違い。

 

第一、本当に生活に困ればその時は政府がすぐに出動して経済援助してくれるのがNZの一番の特徴、つまりセーフティネットである。

 

多くの投資家は自分の持ち家がある状態で投資の為に買い、利回りが5〜7%で回っているのだ。あえて叩き売る需要はそれほど多くはない。

 

そう、NZでは元々ムリして投資をしてないのだ。だからムリして返済する必要もない。ここがサブプライムと一番違うところだ。

 

では誰が売っているのか?

 

投売りの多くは、実は外国人投資家がNZの物件に投資して自国通貨ベースで計算して損失が拡大したので損切りをしたりとかのケースである。NZドルで持っている人は為替は関係ないのだ。

 

米国や英国の強烈な激痛、例えば痛風や奥歯の歯痛に比べれば、蚊に食われた程度と言うのが正直な印象。

 

ニュージーランド経済を読むときに絶対に忘れてはならない視点がいくつかある。

 

1・NZと(比較する)自国民の消費動向や労働志向を同じと思わないこと。

2・NZが自国のような経済大国と同じような動きをすると思わないこと。

3・NZの新聞はネタ欲しさにクロスチェックもせずに扇情的な記事をかくこと。

4・NZでは現場を最初に見てから記事を読むこと。何よりも現場が全て。

5・NZと自国の法制度やセーフティネットを同じと思わないこと。

 

このあたりを理解せずに、記事に載った内容だけで悲観したり楽観したりする姿は、僕から見れば正直こっけいでさえある。

 

叩き売りはある。しかしそれは諸外国に比べて異常に少ないし、大体叩かれた値段ではない。

 

答は常に現場にあるのだ。何なら不動産オークションに行ってみろ。全然安くねえジャねーか。

 

一次情報を新聞やネットから見て無批判に信用して記事にする新聞やブログに利用する人がいるけど、あれは通用しないよ。

 

今では一次情報に値しないのが新聞なのは日本もNZも同じ。

 

何よりも大事なのはまず自分が社会常識と世の中の全体の流れを理解した中で記事を読み熟考し、普通に考えれば「そんなことあるわけないじゃん」と判断する読解力を持つ事だ。

 

けど多くの人はそういう自己努力をしないまま周囲の嘘の波に飲まれてアップアップしている。

 

なぜ今回の世界的金融危機でニュージーランドがあまり大きく傷ついてないか、思いっきりはしょって簡単に言うと、

 

1・NZは農業が中心の国家であり食い物に困らないし基礎生活品の値段も上がらない。だから日常生活で目に見える部分に及んでない。(勿論ちょっとはあるけど、それはもう北半球と比較すれば蟻さんと象さんの違い)

 

2・NZという国は元々勤勉で節約なプロテスタントとか英国教会の敬虔な信者の集まりで出来上がった国なので過剰消費がない。(これも比較だが元は同じような集まりであった米国とは全く純粋度が違う)

 

3・元々経済発展が遅れておりグローバリゼーション経済とのつながりも少なかった。

 

要するに糞真面目で退屈で美味しい食い物のない、活発な人間にとては面白みのない旨味のない国だったけど、結果的に「亀さんと兎さん」の亀さんになったのがニュージーランドなのだ。

 

本当はこれに色んな数字を付けてそれらしく見せれば良いのだろうが、毎日書くブログにそこまでデータ収集をする時間もないので大雑把にしたままで申し訳ないが、僕の感覚は実際に金融関係者や政府関連の人々の読みとほぼ一致している。

 

彼らは数字で武装しているので、机の上と現場の意識は一致しているといって良い。

 

誰しも1年前の自分の生活と今の自分の生活を比べて悲観したりする。けどあなたが比較すべきなのは、今世界の反対側で発生している事と今自分の街で起こっていることなのだ。

 

北半球でまさに今核戦争が起こっている最中に、オークランドの道端でバナナの皮に滑ってヒザを擦り剥いたって、核とバナナとどっちがましだ?

 

犯罪も経済も現場で起こっている。現場を見ることだ。

 

そう、実は一番現場を無視しているのが新聞記事だと言っても良い。

 

バナナの皮がどれだけ危険かを大学の先生に調査してもらい、比較の方法をわざと扇情的にする事でNZも核戦争に巻き込まれたくらいの記事にして少しでも部数を増やそうとしているだけなのだ。

 

目先の机上の数値ばかり見て騒いで更に世間を不安に落とし込んでいる高給取りの評論家や分析者のお利口さんよりも、実はニュージーランドで一生懸命毎日野菜や芋を作っている人の方が社会の価値を高めているんだと言う現実を見たら、真面目に働くことの価値を見いだせるのではないか。

 

今回の金融危機で当初は大丈夫と言われてた日本も、円高と輸出激減で大変な問題になっている。

 

東尋坊で飛び込む人が急増したのもその一つであろう。

 

ただ今こそ言えるのは、他人の無責任な言葉や新聞に振り回されることなく、自分が何故生きているのかをもう一回考えて、なぜ「助け合う社会」がこの世に必要なのかを考えて、じゃあ人間らしく生きようとすればどうすれば良いのかを、根っこのところから考え直す良い機会ではないかと思う。

 

災い転じて福となす。これから50年の人生を考えたとき、あなたにとって何が一番大事ですか?

 

目先の金?ウォシュレット?(妄想の)社会的地位?高層ビルと立派なスーツ?

 

せっかくの100年に1度の機会なのだ、自分が欲しかったのは何なのか、今こそ考え直す一番の機会ではないかと思う。

 

写真は寝覚めの床で川底を覗き込むりょうまくん。面白がって飛び込むなよ、そこはニュージーランドじゃないんだから。



tom_eastwind at 00:10│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | NZの不動産および起業

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