2009年03月03日

萎縮する人々

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今回の旅で官製不況というのをつくづく感じたのが小売業、特に特定の固定客を持たない小売業が思いっきり販売に関して萎縮しているってこと。

 

簡単に言えば、消費者がモンスターになってしまい何かあったらすぐにクレームを付けられる為に、販売する会社側がびびって、とにかく顧客へモノを売るサービスよりも自分の企業を守ることを優先しているってこと。

 

だってあれだけマスコミが罪のない企業を叩き、その結果として販売不振だけでなく、クレーム処理の為の費用をどれだけ払ったことか?中にはマスゴミ攻勢で首を吊った老夫婦もいるってのに、マスゴミは何もなかったように口をぬぐって次の餌を探しに行く。

 

マスコミって一体何だ?やっぱり視聴率や配布数の為に魂を売った悪魔のようなものだ。

 

白馬でちょいとしたことがあってマスコミと役人が作り上げた官製不況を肌で感じた、と思う。日本で毎日仕事をする人には分からないだろう。そんな事で?と思う人も多いと思う。

 

けどぼくは昭和後半の日本を見てきており、それから浦島太郎状態だったのだから、頭の中は昭和が残っている。

 

茹でカエルの法則だろうけど、時々熱いお湯に指を突っ込む立場の僕からすれば、「あれ〜?以前はこうじゃなかったよね」と言う感じだ。

 

日本で毎日仕事をする人たちから見れば何の疑問もないことかもしれないけど、いずれにしても書いてみる。どう思うかは人によって随分違うと思うので色んな意見があって良いと思う。

 

2月のあるスキー場のレンタルショップにて。

 

このショップはスキー場のビジターセンターも兼ねているのでスキー道具販売とかカップラーメン、飲み物、アイスクリームなども豊富に揃っており、天井の高い広い店内で全部で10人くらいの若いスタッフがきびきびと働いていた。

 

この日、午前中はリフトが動いていたものの雨が強くて滑る気になれず部屋でごろごろしてて、雨が抜けて晴れになった12時過ぎに「よっしゃ行こう」という事になった。

 

ホテルの目の前のビジターセンターを訪ねる。靴のサイズは?と聞くお店の人に「6!」と答える竜馬の元気さに呆れながらレンタル開始。そうは言っても世界中の靴のサイズの世界標準がないほうがおかしいから、もしかしたらりょうまの方が正しいかもしれん。

 

お店の人が3人がかりで僕ら4人分のレンタル道具を手際よく準備してもらい15分くらいで片付き、更にホテルから来てる人用の10%割引までこっちが何も言わないのにやってくれた。こっちゃそんな割引があることさえ知らんかったぞ。ありがたいものだ。しかしその理由は後で分かる。

 

レンタルを手伝ってくれた3人のうちの小柄な一人の顔、僕のスキーをチューニングしてくれた人、あとでセンター内に張り出された大きな写真の中のオリンピック参加者に全く同じ顔の人がいたのには驚き。それだけ地元の人が集まって経営されている店なのだろう。うれしいな。

 

問題はその後だった。

 

12:30 センターでレンタル開始

12:45 道具終了、書類の記入開始。4人分の番号から免許証コピーまで取る。一応言えば僕の免許はNZなのだが、彼らはそれでもOKとのこと。

13:00 すべて終了して山の麓のリフトまで歩きだす。「行ってらっしゃい」の声に送られて。

13:05 リフト到着

 

リフト横で板をがちゃがちゃ言わせながら子供たちを待たせてリフト券を買おうとリフト券小屋に行き、アクリル製の仕切りを見ると「この山強風で閉鎖してます」だって。はあ?強風ですか。

 

アクリルの向こう側にあんまり生活の苦労感ないままぽかっとセーターを着込んでいる、いかにも地元のお嬢さんと言う感じの若い女の子に「いつから止まってるんですか?」そう聞くと、もう30分以上止まっているそうだ。

 

そうこうするうちに受付にかかってきた電話を聞いてた係さん、僕の目の前でおもむろにアクリル板に貼ってた紙を剥がして唯一開いてた一番右側のコースも消しこんだ。でもってさらりと、

「あ、これも今閉鎖になりました」

 

他に居あわせたスキーヤーも、「こりゃダメだ」と引き返し始めた。八方は一度風が出るとリフトは殆ど止まるそうだ。その理由も翌日載ってみて分かった。

 

多くのツインリフトにスキー客の前に降りてくるはずのセーフティバーがないのだから背もたれの付いてるブランコ状態。強風が吹けばスキー客が落ちる可能性が非常に高いのだ。セーフティバーのないリフトなんて見たことなかったからびっくりした。

 

りょうまくんはこれを見てけらけら笑って大声で「No Protection !」と叫んでた。

 

そんな事はその時は知らない僕は「今後の見通しは」と聞くと、いかにも地元のお嬢さんって感じの受付係はブースの中からちらっと山を見上げて、「あ、今日はもうムリですね。これからもっと風が強くなります」だって。(これが僕がこの時にこの子地元って思った瞬間)

 

でもって八方の山のリフトはほぼ全部停止状態で、開いてるのは山の一番下にある子供用のソリだけみたいな状態。

 

仕方ないのでこの日は戻ることにしたのだけど、ここから話が始まる。

 

とぼとぼと5分歩いてセンターに戻り受付で「山に行ったらもう閉鎖してましたよ」と声をかけると、その先にいたのは先ほど僕らを担当してくれた人ではない。

 

多分お昼ごはんに行ったのか、他の人がいて、僕はその人にもう一度普通に声をかけると、その真面目そうで長髪な彼、一瞬どきっとしたような雰囲気で下を向いて「ああ、そうですか、返却ですね!」と妙に声を明るくかけてきた。

 

あれ?

 

「いやいや返却じゃなくて、今日は使えないから明日まで預かっててもらえばと思ってるんです。折角板調節とかもしたので、これ返却して明日また新しいのを借りて調節もお互いに面倒ですからね」

 

「なるほど、では延長ですね・・」上向けよ。

 

かちんと来た。

 

「いや、呼び方は何でも良いけど要するに今日は借りたけど滑れなかったからこの板を良ければ明日も使わせてくれってことですよ」だんだん大きくなる僕の声。

 

「では延長ですね、えっと、追加料金がですね・・・」だんだん小さくなる男性の声。

 

「あのですね、使えなかったんですよ、使わなかったんじゃなくて」日本にいながらモンスターなんて言われたくないし、みゆきと奥さんが後ろにいるからますます気を使う。あ〜、肩の力の調節が難しいぞ。

 

「いえ、それはもうお客様のご自由で、使えなくても使わなくても、契約書にありますとおりお支払い義務はございます」

 

何?話し合いの余地もなくいきなり契約持ち出したぞ。ほうほう、こりゃいいや。後ろにいる家族に気を使わなくても理論的な話し合いが出来る良い展開だな。

 

ビジターセンターの元スキーヤーの皆さん、長野の白馬の山の中で契約書を持ち出したんですね、なるほど。午後は長いしこちらもどうせ山が閉鎖ですることもないんだからゆっくり話しましょうね。

 

長くなったので明日に続きます。



tom_eastwind at 21:49│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | 日本ニュース

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