2009年04月11日

21世紀の夢

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今日はちょっと面白い夢物語を一つ。

 

自動車産業は現在苦境に陥っており、米国のビッグ3は倒産寸前、日本でも減産に継ぐ減産で2時下請けが次々に倒産している状況だ。

 

日本のお家芸である金型や鋳造、鍛造、キメの細かい技術を持つ企業が立ち行かなくなっている。

 

ところがある人に話を聞くと、トヨタは手元資金があるにも関わらずそういった下請けを救おうとしていないらしい。

 

その理由は、いずれビッグ3が吹っ飛んだ時の買収費用と言うことだ。

 

この時は単純に「なるほどね」と思った。資本の理論で言えばそうなるし自分たちが資本主義の世界で生きていると言うことを理解出来ない経営者であれば、それは淘汰されるしかないだろう、そう思った。

 

ところが自宅に帰って日経ビジネスを読んでいると、オバマのニューディール政策特集をやってた。

 

そこには100年に一度の構造改革が描かれていた。

 

米国ではどんな人種であろうが受け入れる移民政策がある。それが米国にとって良ければOKなのだ。例えばインテルの創業者は東欧出身の難民だ。

 

もしトヨタが100年先を見越して世界を考えれば、次はエネルギー革命とそれに応じた移動手段の開発だが、それは当然石油から電気になるだろう。

 

問題はどうやって電気を作って溜めるかだが、創る部分は風力などがあり、溜める部分は三洋電機などがすでにかなり技術開発を行っている。

 

であればビッグ3が吹っ飛んだ後に優秀な車つくり会社であるトヨタがTOYOTAとして米国に入って米国の市民権を勝ち取っていけば、何の問題がある?

 

何で日本にいる必要がある?

 

勿論日本の下請け産業は大打撃を受けるだろう。けどそれって、米国が1970年代に日本の経済侵略に遭って、遂にはテレビさえ作れなくなって製造業から撤退したと言う歴史を振り返れば、日本がどうこう言う権利はないと思う。

 

下請けを潰すのか!とか雇用を奪うのか!などと言っても、現実に日本は米国の製造業を叩き潰したのだ。彼らに教えてもらったラジオ、テレビ、いろんな技術を学んで本家を潰して雇用を失わせたのだ。

 

今になって何を言うか、である。

 

大変言い方は悪いかもしれないが、トヨタと一緒に仕事をすることで生活を支えてきたという事はトヨタに頼って生きてきたわけだ。ならばもしトヨタがいなくなったら?そういう危機意識を持って生きてきたか?

 

生き残りたければ自分を変化させろ。時代に合わせて自分を変えて、名前や業種なんてどうでも良い、とにかく生き残る為に戦っていくのだ。そしてトヨタから「おい、一緒にアメリカに行こうぜ、おまえがいないとおれ、ダメなんだよ」と言わせるくらいの技術を磨いてきたか?

 

豊田がTOYOTAになる日、その時日本人は何を考えるだろうか。

 

だって米国の工場で車を作り米国人を雇うのだ。精密工作機械を利用して金型やなんだの難しい技術をすべて機械化したモジュール生産に切り替えてしまえば、実は職人技術は過去のものとなるのだ。

 

そうなると金型技術の職人芸は江戸時代の消防のハシゴ登りのような、年に一回お正月に見るだけの芸になり、実際の現場で必要となくなる。

 

エネルギー需要は風や太陽が源となり、そうすれば面倒な中東政策なんて考えなくて良い。

 

おい中東、もうお前らを相手にしないよ、シーア派とスンニ派で勝手に殺し合いをしてくれ、アメリカはもう降りたよ、ばいばい、である。

 

思えば20世紀の米国の戦略の基本はエネルギーであり、20世紀後半からはエネルギーの為に過激な中東政策が必要となった。それがことごとく短視眼であった為に失敗したのは、歴史を見ればよく分かることだ。

 

ここでオバマがやろうとしているグリーンニューディールはその意味では100年に一度の大転換である。1800年代の鉄道輸送が、大恐慌のニューディール政策で無料高速道路を作り、その高速道路の発達で自動車が発達して鉄道が次々に姿を消していったようなもんだ。

 

だからTOYOTAがここで日本を見捨てて米国にシフトすれば・・・・。

 

大事なことは、ハワイに移住した日本人の孫が米国上院議員になってもやっぱり日系議員として日本を助けようとするように、TOYOTAが米国に行っても日系企業でありやっぱり日本を助けようとするだろうって事。

 

この、助けようとする相手は政府ではなく個人レベルでの日本人である。カネばかり使って何もしないどころか個人から税金を取り上げて自分たちの利益だけの為に回す政府役人を助けるのではない。

 

考えて見れば、これこそ日本人の国際化ではないか?しょうもない政府など無視して、国民レベルで世界に日本民族を展開して、世界中で日本の素晴らしさを見せてあげようではないか。

 

まああり得ないだろうけど、トヨタがTOYOTAになるその日、日本が国際化する日ではないかと夢見た。

 

 



tom_eastwind at 19:30│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | 日本

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