2009年06月10日

一人飯

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シドニー出張では事前の手配不足?と認識不足で、初日の月曜日が祝日と知らず、ホテルに入ってから初めて「あれ?今日の飯どうしょ?」となった。

 

夕方ホテルに入り一風呂浴びたらもう夜の8時過ぎだ。ホテルのバーに行くと閑散としているし、フロントに人気もない。白人は休日に出張入れないもんなとか思いながら、洋食は胃に重いし仕方ないのでインターネットで和食を検索すると、中華街のど真ん中にある居酒屋が開いてた。

 

夜の9時に電話して「あの、一人は入れますか?」と聞くと電話機の向こう側で忙しそうなお店の雰囲気が伝わりながら「あ〜、えっとですね、そうですね、ちっちゃいテーブルなら何とか〜」。

 

別にテーブルを食うわけではないので「はい、問題ないですよ、こちらの〜」と名前を言おうとしたら、相手はもう電話を切る勢いだ。名前聞こうよ。

 

ホテルの玄関でベルボーイに住所を見せて「この住所が分かるタクシーに乗せてくれ」と言うと、上品な言い方ではあるが「誰でも知ってる、問題ないし」だった。

 

あ〜あ、”nothing worries in Sydney Syndrome “ だ。パンデミック対策よりもシドニーのNoWorries対策をやってもらいたいよと思う。

 

タクシーに乗り込むと案の定、よく太った老人運転手が口の中をもごもご言わせながら「こんなとこ知らん」である。

 

とにかく中華街の近くなのでそこまで行ってもらうけど、案の定ダーリングハーバーの橋の近くで立ち往生。どっち行っていいか分からんな。住所は合ってるけどどうみてもここは道路とビルしかない。

 

このおじいさん多分移民一世なんだろうけど、英語が思い切り聞き取りにくい。訛り以前に、口をもごもごしかしないから、口から単語が出てきません。

 

なのにいかも「お前は英語が分からんのか?」みたいな態度である。道が分からないのがまるで僕の英語力問題だ、みたいな。

 

全くな〜、ほんと、この街には優しさってもんがないよね。皆が生きていくのに一生懸命でいるのは分かるけど、「優しくなければ生きる資格はない」って言ったのはフィリップマーロウですぜ。

 

大体のところまで来たと思ったら、そこでタクシーを止めてもらい、13ドルのメーターに対して20ドル出して「おつりはいいですよ」と言うと嬉しそうにもごもごさせながら、タクシーから降りた僕に対して一生懸命手を振って「店はあっちの方だ」と示している。知らんくせに。

 

結局5分ほど歩いて店を発見。なんっじゃ、これは中華街の端っこの商店街ではないか。この時間でもどこの店も込み合っており、中華街独特の香りが周囲に漂う。

 

最近はシドニーでも居酒屋が流行していて、手頃な値段で和食が食えるってんで中国人や韓国人の若者に人気がある。

 

全部で70席程度のお店は確かに込んでて、たった一つ空いてたキッチンの横の二人掛けの椅子に案内された。その時はまだ他のウエイトレスがテーブルを一生懸命拭いてた。

 

うむうむ、繁盛は良い事。

 

礼儀正しいウエイターのお兄さん、きちんと目が行き届いてますね。一人で飯を食う僕はヒマなのだ、だからお酒や料理はさっさと出しましょうって雰囲気が伝わってくる。

 

ウエイトレスのお姉さんたちもワーホリなんだろうけど、かなりしっかりしてお客を観ている。一人だけ天然さんがいたけどね。たぶんこの子だろうな僕の電話取ったのは。

 

そうそう、最近のワーホリ市場においては思いっきり変化が起きている。

 

ニュージーランドにおいて一昔前はワーホリと言えば独立起業の第一歩、ここ5年くらい前まででも真面目で良く働く人々が中心であった。

 

ところがここ2年くらいでワーホリ層が大きく変化している。まず働く人が少ない。それは雇用する側の労働条件云々ではなく、最初から働く気がないのだ。

 

また観光ビザ代わりにワーホリビザを取得して半年くらいで帰国してしまうのだから、何のために来たのやら。あ、観光か。

 

5年ほど前までは実はオーストラリアのワーホリが「やる気ない系」の集まる場所だった。ゴールドコーストに行くと毎日だらだらとして働かずに、どうやって保険金詐欺をやるかとか、どこならマリファナを吸えるかとか、そんなことだった。

 

ところが今シドニーに来て見ると、昔NZにいたようなワーホリが多い。30歳手前で何かを掴みたいと考えている女性が豪州にやってきて頑張っている。ほんっと、一昔前とは様変わりだ。

 

居酒屋メニューは手頃な値段で、周囲はアジアのあちこちから集まってきた人たちの賑やかな声。

 

豚の耳、ミミガーとホッケ、牛タンを注文して料理が来るまで周囲を見渡す。てか一人飯なので他にすることもない。

 

すると結構普通の日本人社会人が混じっているのが分かる。日本のどこの居酒屋でもあるような飲み会である。

 

「わたしはね〜、こう思うのよ!あなたどうよ!」なかなか声高におしゃべりをしている女性グループ。

 

「くしゃみが止まんないっすよ、ハクション!」こら、そこの男出入り禁止だぞ。豚インフルに罹ってるんじゃね〜か。

 

料理が出てきたが、ここらあたりからdandan雰囲気が変わってくる。

 

というのが、ミミガーはどう見てもついさっき業務用の袋から取り出しましたって状態の、全く味付けも何もない、でれーんと伸びた状態。お味は醤油か塩かと聞かれたので塩と応えておいたら、この塩が完全に塩化ナトリウム。こんなしょっぱカライものをよく出すな。

 

次に出てきた牛タンだけど、あの〜、丸々焦げてるんですけど。おまけに分厚いし完全に表面が乾ききってて、こりゃゴム草履ですよ。

 

でもってホッケ。勿論新鮮なのがあるわけない、冷凍で輸入したんだろう。けど、解凍して焼くときにもうちっと味付けとか出来ないか?「そのまま」のホッケは思いっきり水っぽい。それに魚のドリップが真ん中あたりに溜まってて、これが臭い。

 

贅沢は言うもんじゃないと思いながら、端っこのほうをちびちびと齧る。

 

でもって最後に白いご飯を注文した。これがないと魚が喉を通りそうもないからだ。けど出てきたご飯、明らかに前回炊いて乾き切ってごっちんになった状態の上に温かいご飯を乗せましたよね。

 

せっかくのサービスと雰囲気なのに料理がぶち壊しだよね〜とか思いながら周囲を見てると、およよ、キッチンからシェフらしき中年の人が出てきた。仕事中に金のネックレスやサングラスは不要でしょうと思うのはぼくだけか。

 

とか思ってたら何といきなり知り合いを見つけたようで、「おう、今日はお休みかい、じゃあこっちで飲もうぜ」と自分でビールを持ってきて僕のすぐ後ろのテーブルに座り込んだ。

 

へ〜、この店はキッチンのシェフがフロアに出てきてビール飲んでお客さんの女性グループときゃーきゃー騒げるんですね、ずいぶん伸びやかな雰囲気ですね。

 

けど面白いことに、フロアのウエイターは出来るだけシェフと眼が合わないようにしているし、シェフを見つめている僕に済まなさそうな顔をしている。君の責任ではないよね。

 

料理は結局半分も食べれずだったけど、まあそれなりにお腹も一杯になったのでお勘定を頼む。

 

するとそれまでも気を使ってくれてたウエイトレスさん、「お料理、大丈夫ですか?」と声をかけたりしてくれてたのだけど、こっちの食べ残しを見て「ほんとうによろしかったですか?問題ございませんでしたか?」とか済まなさそうな声になる。

 

いやいや、貴方たちの問題ではないですよご心配なく。ただ料理を作ってる人があれじゃあ、どうなのかな。まあ居酒屋であるしお客も外国人が多いのだからこの程度でOKなんだろうけどね。

 

結局お勘定を終わらせたのが10時過ぎだったけど、その時間でも次から次にお客が入っており、これは立派な繁盛店。

 

家賃高いんだろうけど、これだけ市場があればいいよね。帰路はチャイナタウンの端っこまで歩いてタクシーを拾って戻った。すると今回の運転手さんは中東系だったけど、ホテルの場所を知ってるのがとても嬉しいのだろう、「オレは知ってるぞ!」と何度も何度も繰り返していた。

 

オークランドで生活をしているとシドニーで生きていくのが辛いと感じた瞬間だった。早く寝ようっと。

 

 

 

 

 

 



tom_eastwind at 16:02│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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