2009年06月27日

東京到着

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成田空港に着くと昼過ぎだったせいか、飛行機の機体から一歩出るとその通路でさえ暑い。

 

ジャケットを片手に挟んで急ぎ足で荷物受け取り口に向う。今日のアポは成田と東京の中間点あたりだけど全く土地勘がないので早めに行かなくては。

 

荷物が出てくるとすぐに近くのトイレに駆け込んでスーツとネクタイに着替えてから出発である。トイレのドアを閉めて着替えるのがこんなに暑苦しいとは思わなかったぞ、ふ〜。

 

最近僕はタクシーに乗る前に、例えば係員のいるタクシー乗り場であれば最初にまず目的地を告げて運転手さんがそこまでの道を知っているかどうか尋ねるようにしている。あ、それとクレジットカードが使えるかどうか。

 

ニュージーランドでも以前、元副首相のウインストン・ピーターズがウェリントンでタクシーに乗った際に運転手が道を知らずにもめたこともある。

 

シドニーやオークランドでも状況は同じで、運転手が道を知らないケースが実に増えてきた。

 

日本でも最近はナビ付けてるタクシーが増えたので随分楽になったけど、商売なんだから少なくとも道路試験を定期的に行うとか、何とかならないのかな。まるで道を知らないこちらが悪いくらいの勢いだ。

 

目的地に到着したのは30分前。けど待ち合わせ場所が同じ駅構内に3箇所ある・・・どれだ?。。。

 

途中でお客様から電話を頂いて、成田で受け取った荷物をごろごろ言わせながらやっと5分前に正しい場所に到着する。いや、それにしてもこの時期の日本は暑いな、雨が降ってなくてよかった。

 

ここで2時間程度のミーティングを行い、次なるタクシー移動のために駅前広場に出る。2台ほど乗車拒否、てか運転手さんが道が分からないので次の車に順番を譲って、それでやっと3台目で乗り込み可能。

 

東京に戻り部屋に入る頃にはもう夜の8時過ぎである。汗で濡れたスーツとシャツとネクタイを早速クリーニングに出すと、すぐに風呂に飛び込む。

 

これだけは僕が日本人だな〜と思う瞬間。家族の中で僕だけが長風呂をするし、自宅に帰ったときでもまず風呂に入らないと気がすまないという性格には家族全員が毎回諦めムードである。

 

けど仕方ない、お風呂で神経をほぐすという習慣は日本人独特なのかもしれないけど、ありゃ本当に気持ちよいんだから。

 

風呂に浸かりながら今日の事を振り返ってみる。

 

香港で朝早く起きて水も飲まずにチェックアウトを済ませ空港に向う車内で水を飲みながらミーティング。

 

飛行機に乗り込む前にラウンジで「がが!」と飲茶とオレンジジュースの朝食を詰め込んで、機内では溜まった読みかけの本を少しでも読み進む。

 

てか、最近はやりの喫茶店では注文一つするだけで苦労する。何せ注文の仕方が分からないから後ろに行列が出来て「おいおい、早くしろよ」って抑圧が背中にかかってくると、何だかいたたまれなくなって「もう、いいです」と注文を取り消したくなる。

 

要領が分かっている人には手早くてさっさと出来る行動でも異邦人には辛い。こんな注文がさっさと出来るからって何が偉いんだ!なんてひねくれたくなったりする。

 

タクシーに乗るにしても、大きな荷物を持って歩くお客を前提にしていないから、駅前のエスカレーターを上がったり下がったり、挙句の果てには自分の行く先に行く為の道を知らない事が問題であるような駅の係員の顔。

 

都内に入れば渋滞だし、車のすれすれのところを過ぎ去っていくバイクを見ながら、「こいつらもしおれが突然ドア開けたらそのまま天国直行だろうねっと思ったりする。

 

歩行者用の赤信号で渡る歩行者は少ない。てかオークランドに比べると非常に少ない。オークランドでは最近特にアジア系の若者が半分面白がってキャーキャー言いながら完全に赤信号なのにばたばたと渡ろうとしている。

 

彼らの国ではおそらく跳ね飛ばされたら運転手の過失になるから突っ込む奴なんていないくらいの軽い感じで、赤信号を渡る無意味なスリルに身を浸しているんだろう。けど、あれこそ愚の骨頂。

 

こんな下らないことにきゃっきゃとはしゃいで、それでアジア系の評判を落とした挙句に運転手がいらいらとしたらどうするのか?誰にも何にも利益にならない一時の気まぐれで何が楽しいのか?

 

日本のように2メートル程度の細い道で真夜中でどう見ても車が来なくても律儀に歩行者信号を守るのは流石にどうかとは思うが、守っても大した時間の違いはないのだからこれは許容範囲。

 

お風呂で読んでるSAPIOでは「日本人のよさを見直す」ってテーマで色んな人が意見を披露している。

 

今の日本が世界の中でも珍しく格差の少ない国であることは外国に住んでみれば良く分かる。

 

水も電気もいつでも手に入る国で貧困とは極端過ぎるのでは?本当の貧困とは今日食べるものがなくて、水を飲んで寝るか泥棒するか乞食になるか、である。

 

基礎教育がきっちりしており犯罪率はそれほど高くなく、人々は小金を持って幸せに生きている。

 

技術立国として多くの技術を内製しており、1億2千万人の人口が大きな内需を作り出している。

 

どれも納得するし合意出来る。さすがSAPIO。やはりレベルが高い。感情だけではなく数字や現実をきちんと明示した上で「日本人はこう考えるべきだ」と言ってる。

 

これ自体はまったく問題ない。日本は、ある角度から見れば実に過ごしやすい国なのだ。ただそこで根本的に欠けているのが、その人生は自分で選んだのかと言う点だ。

 

要するに「自由」とか「他人の干渉」と言う言葉に敏感な人にとって日本は住みづらいということなのだ。多くの人にとっては日本は今だ素晴らしい国だと思う。他国と比較しても素晴らしい。

 

けどそれが自分で選択した結果ではなく与えられた結果であり、その結果としてこれから一生を食い物には不自由しなくても心が貧しくなっていくことに耐えれらない人もいるのだ。

 

ぼくは説明会でも移住希望者に対してきつい事を言う機会が多い。

 

ニュージーランドに行けば幸せになるなんてあり得ない。

 

日本がいやだからと言っても自分に戦闘能力がなければ海外生活は出来ない。

 

日本の良さを理解した上で、それでも海外で自分を試してみたいのならば大歓迎である。

 

長いお風呂に浸かりながら、香港の仕事、日本の仕事、そしてこれからの日本と、ばたばたの出張をちょびっと振り返ってみる。

 

写真は都内に入った時の夕暮れの東京タワーです。

 

 



tom_eastwind at 20:57│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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